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黛信彦の時事ブログ

フルハムロードを買った男(1)

2008年03月01日 | 国際

(お断り) ロサンゼルス観光協会は、ロス疑惑のトラウマから、Losの略記をLAとするようメディアに求めていることから、日本で一般的な「ロス市警」は「LA市警」と表示している。

●弁護士決定
  2月27日、コールド・ケース班(未解決事件捜査班)のリック・ジャクソン班長らの執念で容疑を固めたロサンゼルス(LA)市警は、サイパン司法当局に「FUGITIVE FROM JUSTICE (正義からの逃亡者)」と太字で印字され、更に罫線まで引かれた逮捕状を送信。
サイパン当局は「カリフォルニア州での死刑、または1年以上の禁固刑に処せられる可能性の罪に 問われているため」と明記された逮捕状を示して三浦和義氏を捕縛した。
ウィリアム・ブラットン本部長は、LA市警で身柄の移送を心待ちにしている。
  
  LA市警としては、デビッド・ワイズマン裁判長率いるサイパン地裁で、三浦氏側から移送応諾を得るのが平和的でベストであるが、三浦氏は徹底抗戦していて、29日、ようやく、サイパン検察当局の関係者が「経験のある腕利きの弁護士だ。移送手続きに強く反対し、われわれと争うことになるだろう」とコメントをするほどの、腕利き弁護士、ブルース・バーライン氏とマーク・ハンソン氏が選定された。
  両弁護士は、サングラスが良く似合い、まるでハリウッドの男優のようで、報道陣の扱いも上手だ。一昔前のアメリカ的イケ面という感じだ。しかし、実務の方はサイパン検察当局の関係者が言うほどのものではないというのが私の見立てである。
  
  と、思いきや、1日、ブルース・バーライン弁護士は早速、「カルフォルニア州の『一事不再理』が法改正で廃止されたのは04年であるが、三浦氏が日本で無罪になったのは03年であり、一事不再理を適用しないのは誤りだ」と、噛み付いている。
 
  LA市警のメンツとして、アーノルド・シュワルツネッガー州知事の署名をもらって強制移送するようなことは避けたい。

●『フルハムロード』を買った男 
  以下は、 雑誌Hanako、88年16号(渋谷の町を震わせたマグニチュードショップ、ベスト5)の1の全文
 ===== まさか、まだあるとは思わなかった。渦中(ロス疑惑報道~)に毎晩、電柱に上っては良枝さんを撮っていたカメラマン氏も驚いている。
「残っていたボトルはフライデーとかフォーカスばかりでしたね」
86年半ば、売りに出たのを真っ先に押えたという坂本フミオ(掲載名の「文男」は誤植であり、且つ、ご本人の個人情報保護に鑑み、読みのフミオとした)氏は、当時を振り返る。
  タッチの差でレオナルド熊さんはじめ芸能人も欲しがった物件だったとか。
「小菅(三浦氏収監先)から手紙が来たんですよ。アドバイザーとして雇えとか、お客さんからの(ロス疑惑に関する)質問を受け付ける窓口を作れとか。三浦さんのアイデアって奇抜でしたよ」
  商売人としては、やっぱりやり手なんですね。結局、全て丁寧にお断りして(フルハムロードという)店名を50万円で買うことだけOKしたそうです。

「鍵をもらって入ってみると全部水浸しでした。製氷機の菅が壊れていたんです。ほとんど使い物になりませんでしたね」
長引いた離婚訴訟も良枝さん側の全面勝訴で落ち着きそう。渋谷の雑踏を離れて静かに飲みたいときはオススメ。肴はロス疑惑!? =====


  坂本氏は、エントランスのテントを赤にして、白く「Fulham Road」のロゴを配し、オレンジ色の照明で照らした。又、入り口の左側にある植栽壇の真上の壁面には、妖しく青い光を放つケースに、白いネオン管で「Fulham Road」のロゴが、おぼろげに見えるようなサインを設置した。
更に、店内は世界的彫金家・ジミー西村氏(故人)に依頼した彫金で壁を贅沢に装飾し、ディスプレイ&セルの雑貨を並べて、洒落たバーをオープンした。

  雑誌『Hanako』の記者が取材に訪れたのは、それから2年後。
記者が当時からの常連客に「思い出は?」と尋ねると、男客は、黒いトライアングルの灰皿を差出して黙ったままだ。 『・・・・・・・灰皿だけが昔を知っている!?・・・・・・』と記者は思った。


●『フルハムロード』のそれから
  フルハムロードといえば、ヨシエもアゲインもあるとのことだが、ロス疑惑と言えば渋谷桜丘。

  私は、見てみたかった。
坂本氏に借りた20年前のHanakoを見開きながら、グーグル地図に頼らず、東京都渋谷区桜丘9-18をターゲットに歩いた。
  渋谷駅、モヤイ像を背にして国道246号線を歩道橋で越えると、桜丘だ。さすがに桜並木がある。南平台方面に向かう急激な坂道を右に見ながら、道なりに、オープンカフェの前をしばらく直進し、ミニストップを過ぎて最初の交差点を右折、30mほど歩いて左側、要するに桜丘の中腹、3階建て『タカシマ桜丘マンション』の一階に、それは、面影を残していた。

  Hanakoの写真と比べてみる。
赤レンガの植栽壇、凸凹のある白い石の外壁、これらはそのままだし、入り口のドアは白から濃いグリーンに変わっているだけ。東側にある、大きな5枚のガラスを組み合わせた採光出窓の白い枠は、当時の面影を残しているようだ。

  今は、飲み屋さんのようだが、看板はなく昼間のことなので、中を覗いてみて、初めて「飲み屋か?!」と得心する。楽器ケースが雑然と立てかけてあり、テーブルには、あの、三角形の灰皿の代わりに、エンジンのピストン様の灰皿2個が、吸殻を無造作に詰め込まれて苦しそうにしているのが見えた。

  ロス疑惑渦中、良枝さんを撮るために、カメラマンが毎晩上がったと思しき、電柱が立っている。周囲はマンションとオフィスビルに囲まれて古い建物はなく、勿論、あの灰皿もないことだろう。
  坂本氏がフルハムロードを手放した瞬間、渋谷桜丘のフルハムロードはなくなったのだ。証人は電柱だけになってしまった。

坂本氏に、現況写真をお見せしつつ、『フルハムロードのそれから』を報告せねばなるまい。

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