こいのぼりの里(kanra town)090504 ↑↑
5大紙は5日、それぞれの「こどもの日」を社説にした。
全体の論調は毎日の「大人が問われる日」である。
産経は「親業もプロを目指せ」と、「読売は子どもたちが持っている『心のノート』を親子で開け」という。
日経は、子育てや少子化に対して行政の改革を訴え、朝日は子供の視点から「世代間負担を見直せ」と書いた。
■朝日新聞(社説)こどもの日に―世代間負担を見直そう
子どもたちの目から財政と社会保障の現状や雇用情勢を見たら、どう見えるだろうか。大人たちに何と言うだろうか。その思いを代弁してみた。
子どもたちの心配は、決して誇張ではない。納税や社会保障などを通じた受益と負担の「損得格差」は、今の高齢者と未成年で生涯に1億円にもなるという試算がある。
また新生児は、生まれた時点ですでに1500万円以上の「生涯純負担」を背負っている。秋田大の島澤諭准教授が世代会計という手法を使って、そうはじき出している。「私たちは将来世代が払うクレジットカードを使っている」と島澤氏は例える。
経済も人口も、右肩上がりの時代ではない。世代間負担の仕組みを根本から見直さなければ、子どもたちの未来は削り取られる一方だ。
この国の将来を支える世代に、どう希望を残すのか。それを考えるのは、参政権をもつ私たち大人の責務だ。
■産経新聞【主張】こどもの日 “親業”もプロ目指したい
戦前の軍国主義を忌むあまり、修身という観念を置き去りにしてきた。物質的な豊かさは手に入れたが、精神的豊かさはとてもそれに及ばない。道徳は乱れて、自分本位が幅を利かす。
しつけることよりも、子供の自己活動を重視し、幼児の主体的活動を促す、保育所保育指針や幼稚園教育要領の個性の重視に問題点があったとの疑念なしとしない。同時に、家庭でのしつけがなおざりにされてきたツケであることは間違いない。
小1プロブレム解消のために、幼保小一貫教育が東京都品川区などで模索されているが、どういう子供に育つかは、親が日常生活の立ち居振る舞いにどれだけお手本を示せるかにかかっている。してよいこと悪いことの分別、寛容、謙譲、惻隠(そくいん)の情、規律を守る習慣など、自ら恒常的に学んで“親業”のプロを目指してほしい。
自ら学び積み上げた親らしさを十分に発揮して、子供が心身ともに健やかに育つように、愛情を持って子育てに心を砕いてほしい。よい親がよい子をつくるのである。
■日本経済新聞(社説) 規制緩和で多様な保育サービス充実を・チェンジ!
少子化を克服するには、働きながら安心して子どもを産み、育てられる環境の整備が欠かせない。規制を緩和し企業や非営利組織(NPO)の参入を促すなど、多様な保育サービスの充実を急ぐべきだ。
厚生労働省社会保障審議会は2月に保育制度改革の一次報告をまとめた。基準を満たせば自動的に認可することや、民間企業へ施設整備費を補助することなどを報告に盛り込んだが、既存の保育団体などは「保育の質の低下」を理由に反対している。
子どもの健全な成長や経営の安定に配慮するのは当然だが、規制を緩和し多様な事業体が知恵を競うことは保育の質の向上にもつながる。既得権益を守るための反対であってはならない。国はおおまかな目安を示し、自治体が実情に応じて独自に認可基準を決める形でいいはずだ。
保育所の待機児童が問題になる一方で、幼稚園には子どもが集まらない。国は両者の融合を図ろうと06年に認定こども園制度をスタートさせたが、幼稚園は文部科学省が保育所は厚労省が管轄したままだ。
最近、不足が大きな問題になっている小学校低学年児の放課後対策にしても、2つの省が重複して行っており無駄が多い。学校長が空き教室利用を拒む例もある。働く親から「小1の壁」と言われるほど要望の強い学童保育をどう充実するか、省庁の壁を越え迅速に対応すべきだ。
■毎日新聞(社説)こどもの日に 真の宝とするためには
子は宝という。親だけでなく社会のだ。しかし、その現実や守り育てる仕組みは言葉からはほど遠い。児童虐待は端的にそれを物語るが、携帯電話や学力の問題にも共通した課題がある。おせっかいと言われようと、大人たち、地域社会が子育てに連帯する責任意識を持ち、必要な注意や対処をためらわないことだ。
携帯電話によるいじめなどのトラブル防止や察知、目先の点数アップにとらわれない真の学力育成での学校との協力や支援など“首を突っ込む”べき余地は多くある。
子は宝。もう一つ肝に銘じたいのは、子供たちは大人たちを映す鏡。子供たちの環境を改善することは、すなわち暮らしやすい社会を整えることにほかならない。こどもの日は「おとなが問われる日」である。
■読売新聞(社説)こどもの日 「ありがとう」あふれる社会に
「ありがとう つたわるこころが うれしいよ」
こどもの日から始まる児童福祉週間の今年の標語は、34歳の男性が作った。若い親の読売新聞(社説)世代から子どもたちへのメッセージだ。
「ありがとう」という言葉はいい響きだ。だが、感謝よりも抗議や非難の声の方が社会にあふれ、このところ少し耳に届きにくくなってきた。
読売新聞が昨年末に行った世論調査で「家庭でのしつけや教育のうち、きちんとできていないと思うもの」を尋ねたところ、約半数の人が「他人を思いやる気持ちを持つこと」(51・1%)と、「あいさつなどの礼儀を身につけること」(49・2%)を挙げた。
大人はもっと、子どもたちに「ありがとう」の大切さを伝えるべきだということだろう。
きょうは、子どもたちが持っている「心のノート」を親子で開き、だれもが多くの人に支えられていることを語り合ってはどうだろう。
大人がまず、子どもたちの良い行いには「ありがとう」と大きく声をかけたい。
5大紙は5日、それぞれの「こどもの日」を社説にした。
全体の論調は毎日の「大人が問われる日」である。
産経は「親業もプロを目指せ」と、「読売は子どもたちが持っている『心のノート』を親子で開け」という。
日経は、子育てや少子化に対して行政の改革を訴え、朝日は子供の視点から「世代間負担を見直せ」と書いた。
■朝日新聞(社説)こどもの日に―世代間負担を見直そう
子どもたちの目から財政と社会保障の現状や雇用情勢を見たら、どう見えるだろうか。大人たちに何と言うだろうか。その思いを代弁してみた。
子どもたちの心配は、決して誇張ではない。納税や社会保障などを通じた受益と負担の「損得格差」は、今の高齢者と未成年で生涯に1億円にもなるという試算がある。
また新生児は、生まれた時点ですでに1500万円以上の「生涯純負担」を背負っている。秋田大の島澤諭准教授が世代会計という手法を使って、そうはじき出している。「私たちは将来世代が払うクレジットカードを使っている」と島澤氏は例える。
経済も人口も、右肩上がりの時代ではない。世代間負担の仕組みを根本から見直さなければ、子どもたちの未来は削り取られる一方だ。
この国の将来を支える世代に、どう希望を残すのか。それを考えるのは、参政権をもつ私たち大人の責務だ。
■産経新聞【主張】こどもの日 “親業”もプロ目指したい
戦前の軍国主義を忌むあまり、修身という観念を置き去りにしてきた。物質的な豊かさは手に入れたが、精神的豊かさはとてもそれに及ばない。道徳は乱れて、自分本位が幅を利かす。
しつけることよりも、子供の自己活動を重視し、幼児の主体的活動を促す、保育所保育指針や幼稚園教育要領の個性の重視に問題点があったとの疑念なしとしない。同時に、家庭でのしつけがなおざりにされてきたツケであることは間違いない。
小1プロブレム解消のために、幼保小一貫教育が東京都品川区などで模索されているが、どういう子供に育つかは、親が日常生活の立ち居振る舞いにどれだけお手本を示せるかにかかっている。してよいこと悪いことの分別、寛容、謙譲、惻隠(そくいん)の情、規律を守る習慣など、自ら恒常的に学んで“親業”のプロを目指してほしい。
自ら学び積み上げた親らしさを十分に発揮して、子供が心身ともに健やかに育つように、愛情を持って子育てに心を砕いてほしい。よい親がよい子をつくるのである。
■日本経済新聞(社説) 規制緩和で多様な保育サービス充実を・チェンジ!
少子化を克服するには、働きながら安心して子どもを産み、育てられる環境の整備が欠かせない。規制を緩和し企業や非営利組織(NPO)の参入を促すなど、多様な保育サービスの充実を急ぐべきだ。
厚生労働省社会保障審議会は2月に保育制度改革の一次報告をまとめた。基準を満たせば自動的に認可することや、民間企業へ施設整備費を補助することなどを報告に盛り込んだが、既存の保育団体などは「保育の質の低下」を理由に反対している。
子どもの健全な成長や経営の安定に配慮するのは当然だが、規制を緩和し多様な事業体が知恵を競うことは保育の質の向上にもつながる。既得権益を守るための反対であってはならない。国はおおまかな目安を示し、自治体が実情に応じて独自に認可基準を決める形でいいはずだ。
保育所の待機児童が問題になる一方で、幼稚園には子どもが集まらない。国は両者の融合を図ろうと06年に認定こども園制度をスタートさせたが、幼稚園は文部科学省が保育所は厚労省が管轄したままだ。
最近、不足が大きな問題になっている小学校低学年児の放課後対策にしても、2つの省が重複して行っており無駄が多い。学校長が空き教室利用を拒む例もある。働く親から「小1の壁」と言われるほど要望の強い学童保育をどう充実するか、省庁の壁を越え迅速に対応すべきだ。
■毎日新聞(社説)こどもの日に 真の宝とするためには
子は宝という。親だけでなく社会のだ。しかし、その現実や守り育てる仕組みは言葉からはほど遠い。児童虐待は端的にそれを物語るが、携帯電話や学力の問題にも共通した課題がある。おせっかいと言われようと、大人たち、地域社会が子育てに連帯する責任意識を持ち、必要な注意や対処をためらわないことだ。
携帯電話によるいじめなどのトラブル防止や察知、目先の点数アップにとらわれない真の学力育成での学校との協力や支援など“首を突っ込む”べき余地は多くある。
子は宝。もう一つ肝に銘じたいのは、子供たちは大人たちを映す鏡。子供たちの環境を改善することは、すなわち暮らしやすい社会を整えることにほかならない。こどもの日は「おとなが問われる日」である。
■読売新聞(社説)こどもの日 「ありがとう」あふれる社会に
「ありがとう つたわるこころが うれしいよ」
こどもの日から始まる児童福祉週間の今年の標語は、34歳の男性が作った。若い親の読売新聞(社説)世代から子どもたちへのメッセージだ。
「ありがとう」という言葉はいい響きだ。だが、感謝よりも抗議や非難の声の方が社会にあふれ、このところ少し耳に届きにくくなってきた。
読売新聞が昨年末に行った世論調査で「家庭でのしつけや教育のうち、きちんとできていないと思うもの」を尋ねたところ、約半数の人が「他人を思いやる気持ちを持つこと」(51・1%)と、「あいさつなどの礼儀を身につけること」(49・2%)を挙げた。
大人はもっと、子どもたちに「ありがとう」の大切さを伝えるべきだということだろう。
きょうは、子どもたちが持っている「心のノート」を親子で開き、だれもが多くの人に支えられていることを語り合ってはどうだろう。
大人がまず、子どもたちの良い行いには「ありがとう」と大きく声をかけたい。
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