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東京目黒から山梨へ育児のためにお引越し。40代高齢出産ママの雑記帳です。

茜に燃ゆ (黒岩重吾)

2008年12月10日 | 本のこと
有名な万葉歌人・額田王の物語。

天智天皇と天武天皇という二人の兄弟に愛された女性としても有名です。
むかし井上靖の「額田女王」を読んで以来、久しぶりに読んだ額田王の物語です。

読後の感想としては、時代背景や額田王の人物像、皇極天皇との関係など
歴史的な観点からみてもかなり興味深い内容だったと思いますが、同時に
男性に飽きられないようにするための秘訣が盛りだくさんだったのも面白かった。
この点については著者の独断と偏見の部分もかなりあるとは思いますが・・・

額田女王といえば、心が強くて聡明で情熱的で、男の言いなりにはならないわよ
って感じで格好いい女性ですが、ちょっと浮いた存在でもあります。

当時の一般的な女性像としては、美しく可憐であることが大事な条件だったようです。
本書では、「かたかごの花」のような鏡女王が額田王の好対照として登場します。
額田と同時代に生きた歌人で天智天皇の妃でしたが、後に臣下の中臣鎌足に与えられ、
泣く泣く受け入れることになってしまう。
愛する人からのお願いだったとしても、額田には考えられない結末。

年頃になった額田王は鏡女王を近くで見ていて、男性に飽きられない方法を考え始めます。
歌人としての腕を磨くこと、政治的な話もできるようになること、など
「美貌以外に強みを持つ」というのが額田が選んだ道です。

最近の女性誌でもよく取り上げられていそうなポイントですね。

飛鳥や吉野、大津などが舞台なので、読んでいるうちに奈良や琵琶湖の辺りに
興味が出てきてとっても行きたくなりました。

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