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東京目黒から山梨へ育児のためにお引越し。40代高齢出産ママの雑記帳です。

草莽枯れ行く(北方謙三)

2008年08月06日 | 本のこと
日本史で好きな時代は、古代(飛鳥時代)・南北朝・戦国時代かな。
世間でけっこうもてはやされている幕末は・・・あんまり興味がなかったなあ。
幕末、新撰組、清水次郎長などのキーワードが飛び交う本書は、その存在は知っていたけど
手を出すまでにずいぶん時間がかかった。

本書よりちょっと前の時代を扱った「杖下に死す」は読んでいたのにね。

草莽枯れ行く (集英社文庫)草莽枯れ行く (集英社文庫)
北方 謙三

集英社 2002-05
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のちの明治政府の要人たちの登場や西郷隆盛、坂本龍馬などなど登場人物の多くは
歴史の教科書で知ってはいるけど。

けど、けど、けど、けど、やっぱりだめだ~、ちっとも終わらなかったあ。

同じ北方作品でも、受け付けないのってやっぱりあるのね。

甘い蜜の部屋(森茉莉)

2008年08月02日 | 本のこと
夏だし、ちょっと刺激的なことにも手を出したい。

ということで、本当に久しぶりに森茉莉の作品を読むことにした。
森茉莉は森鴎外の娘で、相当なファザコンだと思うけど、父親の森鴎外も彼女を相当甘やかしたらしい。
なんせ16歳になるまで、森茉莉は森鴎外の膝にのっていたらしいから。

お父さん大好きの森茉莉の描く世界は、わたしにとっては見てはいけない世界で、
よっぽど気持ちが刺激を求めているときでない限りは、あまり目に入れたくないものでもある。

甘い蜜の部屋 (ちくま文庫)甘い蜜の部屋 (ちくま文庫)
森 茉莉

筑摩書房 1996-12
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「この世で一番きれいな愛は、父親と娘との愛」という森茉莉の強い信念は、本書の主人公の藻羅(モイラ)と
その父親の林作との関係に投影されていて、森茉莉の官能的な表現のせいで、あらぬ妄想が止まらない。
本を読んでいる最中に間違ってうちの父親のことなんか思い出そうものなら、なんだか左の二の腕あたりがモゾモゾしてくる。

うちのあの父親では、決してあり得ない話だわ。
オロロロロロロロ~

楊令伝6 (北方謙三)

2008年07月30日 | 本のこと
楊令伝 六楊令伝 六
北方 謙三

集英社 2008-07-24
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待ちに待った楊令伝の6巻が出ました。
発売日に購入して、1晩で読み終えちゃった。

アマゾンでなかなか画像が入らないから、ブログに書くのも遅れちゃった。
アマゾンさん、新刊の画像ですけど、もっと早く入れるようにしてくださいね。

楊令伝ですが、相変わらずの北方節です。
呉用がなんとなくおじいさんっぽくなってしまったけど
広さとか奥深さを身につけたような。今後の活躍が楽しみ。

童貫とあの人が対面するとは思いもよらず。

全体的には、いつもよりセンテンスが短め・・・に感じるのは気のせい?
事件らしい事件は扈三娘がらみしかなかったので、そんなもんか。

次回7巻の発売が楽しみです。

西の魔女が死んだ (梨木香歩)

2008年07月26日 | 本のこと
先日会社で席替えをした。
デスクやキャビネットの配置は変わらず、人間だけが自分の荷物とともに入れ替わっただけ。
なのに、なんでこんなにすっきりと気持ちが入れ替わるんだろう。
オフィスに新鮮な空気が漂うような感じで心なしか明るくなった気もする。

引っ越しっていうか、引っ越しに伴って各自で行った身辺整理の効果だと思う。
引き出しの中に知らず知らずにたまっていた不要な書類や文具やほこりなどを
ここぞとばかりに掃き出して、物理的なスペースができたことで、心のスペースにも余裕ができた感じ。

うちも最近いらないものがたまり気味で空気の流れがよくない気がする。
思い切って夏休みにいろいろ捨てちゃおうかな。

ところで、今日の読書は「西の魔女が死んだ」です。

西の魔女が死んだ (新潮文庫)西の魔女が死んだ (新潮文庫)
梨木 香歩

新潮社 2001-07
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なんだかメルヘンチックなタイトルですが
本書の内容そのものはメルヘンではまったくない。

それどころか、思春期によくある問題に苦しむ主人公まいと、
まいを温かく見守り、必要なときには手を差し伸べる「西の魔女」こと
おばあちゃんとの交流を通して、幸せに生きる秘訣が話題の中心という
わりと実践的な書だと言える。

幸せに生きる秘訣は、「シンプルに生きること」で、そのために、
「自分で決める」「早寝早起きをする」など具体的なステップが紹介されている。

物が溢れ、人が溢れ、情報が溢れる今のような社会中では
知らないうちに体も心も窮屈になってきて、突然何もかも
面倒くさくなって放り出したくなることもある。

自分に必要なもの不必要なもの、受け入れるべきこと、
受け流すべきことを選り分けるだけでも大変なエネルギーの消耗だし。

自分の立ち位置を測るのがとても難しい時代に
「シンプルに生きる」というのは言うほど簡単ではないが、
「自分で決める」「早寝早起きする」というのは実践可能。

でも、これって、小学生の時に家でも学校でも言われていたこと。
誰でも知っていることなのに、ちょっとずつ大人になるにつれて
ないがしろにしちゃったり、忘れちゃったりしていた。反省。

最近休みの日でも、8時前に起きるようにしています。
自慢できることではないですが、はじめの一歩として。

デイモスの花嫁

2008年07月23日 | 本のこと
最近は夫の使いで近所の区民図書館に行くことがある。
借りていた本を返却しがてら予約していた別の本を借りてくるのですが
この前図書館に行ったときにちらっと目に入ったのがこちら↓。

悪魔の花嫁 1 (1) (プリンセスコミックス)悪魔(デイモス)の花嫁 (2) (プリンセス・コミックス)悪魔の花嫁 3 (3) (プリンセスコミックス)

「王家の紋章」と並ぶ、わたしの小学生時代の愛読書。
思わず1~17巻まで大人買いならぬ、大人借りしてきました♪

人間の醜い部分が赤裸々に描かれたマンガです。
昔は怖すぎて夜には絶対読めなかったものが、さすが大人になったもので
夜一人っきりのときにもスラスラ~。

お気に入りのエピソードがいくつかあって、ギリシャ神話ベースのもの、
日本の怪談ベースのもの、ミイラがらみのもの、砂漠の民なんかが印象深い。

子供のときに読んだマンガを大人になってから読み直すと
実はけっこう奥が深かったことに気づいたりする。

たとえば、キャンディキャンディなんて、アニメを全部観たわけではなかったので
孤児のキャンディが明るくたくましく生きているお話、としか印象がなかったけど
ちょっと大きくなってマンガを一度読んだら「あしながおじさん」の主人公同様
女性としての魅力に溢れたキャンディの姿に感動してしまった。
恋愛事件も入ってくるのでドキドキも楽しめたし。

それにしても、もう一度読み直したいマンガがけっこうあるんです。
「王家の紋章」「あさきゆめみし」「パタリロ」「日出処の天子」、
絶版になってしまった「マスターキートン」などなど
もう一度読みたくなってきた~!!

王家の紋章 (50) (プリンセスコミックス)キャンディ・キャンディ (1)  講談社コミックスなかよし (222巻)あさきゆめみし―源氏物語 (13) (講談社コミックスミミ (422巻))パタリロ 81 (81) (花とゆめCOMICS)
MASTERキートン (1) (ビッグコミックス)パイナップルARMY (Operation 1) (小学館文庫)MONSTER 1 完全版 (1) (ビッグコミックススペシャル)

ふつうがえらい (佐野洋子)

2008年07月22日 | 本のこと
ジャングルのような実家の庭は、父に言わせると、計算し尽くされた作品なのだそうです。
何の脈絡も根拠もなさそうに、桜や椋の木や金木犀や金柑や松の木などが
で~んと植えられているのも、紫陽花だの朝顔だの水仙だの薔薇だの何だのって
ところかまわず咲いているのも、芝の厚みの違いも何もかも計算ずくなんだって。

いいかげんの代表のような父の作品らしく、無秩序この上ない庭ですが、
ボ~っとするのにも、イヌと遊ぶのにも、甥っ子と水遊びするのにも欠かせない場所。

久しぶりに実家に帰ったついでに、父の庭の一部をもらって東京に帰り、
今は東京のうちのベランダに無秩序な空間が出現している。

ところで、連休中に実家の庭でも読んでいたのは、この作品。

ふつうがえらい (新潮文庫)

「100万回生きたねこ」の著者である佐野洋子さんのエッセイ。

100万回生きたねこ (佐野洋子の絵本 (1))

絵本作家とは思えないほどの毒舌と独自の視点で物事をバッサバッサ切りまくる。
お年を召してからもこの調子なら、若いときはさぞかし台風のような人だったろう。
遠目に見ている分には楽しいけど、近くにいたら毒にあたっちゃうかも。

アルケミストー夢を旅した少年

2008年07月10日 | 本のこと
夫のお下がりのパナソニックのノートブックで初投稿。
ちっちゃいノートブックなので、ソファの上で膝とおなかを台にして
コンピュータを乗せて中途半端なラッコスタイル。
けっこういけるかもも。

今日読み終わったのは、「アルケミスト-夢を旅した少年」。

アルケミスト―夢を旅した少年 (角川文庫―角川文庫ソフィア)

薄い本なのですが、言葉を噛みしめ味わいながら、
なぜか唯識の岡野先生のコスモロジー話とかぶるなあとか思いながら
カタツムリ読みしていたので、結局3日もかかって読了。

素直に感動したので、感じたことをいっぱい書きたいんだけど
陳腐な言葉しか出てこないため、断念。

ひとつ言えるのは、北方謙三の水滸伝と同じく、
この本はわたしの愛読書リストに載っかったってこと。

春になったら苺を摘みに(梨木香歩)

2008年07月07日 | 本のこと
春になったら苺を摘みに (新潮文庫)春になったら苺を摘みに (新潮文庫)
梨木 香歩

新潮社 2006-02
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本書は二十数年前に著者が英国留学をしたときに出会って以来
懇意にしているウエスト夫人との交流が中心に描かれたエッセイです。

様々なバックグラウンドを持つ「下宿人」を受け入れるウエスト夫人と
下宿人にまつわるいろいろなエピソードは、人種や宗教などといった重い
話題もあるのだけど、ユーモアを忘れずにいれば、こんなにおもしろくって
刺激的な話題は他にない。

わたしの場合、20代のほとんどは、

「飛行機とテーブルの脚以外は何でも食う」世界ですとか、
「奥さんを4人まで持つことができる」世界ですとか、
「進歩とお金の力を信奉しすぎる」世界ですとか、

とにかく、言語的・文化的に、自分の理解を超える世界にいたこともあり
「理解できないことは一旦保留」にしておいて過ごした。

おかげで、初めて知る文化的習慣はたいていの場合、あまり驚くことなく、
こんなこともある、と受け入れられる自信が今でもある。

最近わたしが受け入れられる自信がないのは、
極端な行動や考え方に走りがちな一部の自国民のほうかもね・・・

「りかさん」「からくりからくさ」

2008年06月25日 | 本のこと
不思議な1日だった。
小さな偶然がいくつか重なった。

前の晩、ある翻訳関連団体のHPを見て登録するかどうかけっこう真剣に悩んでいたら、青森に住んでいる友人からその団体に登録しようと思うんだけどどう思う?と朝相談メールが来た。翻訳にはあまり興味のなさそうな友達だったので、まさかこのタイミングでこのメールが来るなんてまったく予想だにせず、何だかとても嬉しくなったので資料を取り寄せ、登録する方向で考え始めた。

同じ日の夕方、普段は行くこともない神楽坂を歩いていたら、道でばったり友人に会った。彼女が勤めている会社のビルの真ん前だったらしい。

古びたビルだったけど建物の前にはちょっとした広場みたいなのがあって、木に囲まれた広場の真ん中に木製ベンチとテーブルがあって、おじさんたちがビールを飲んでいた。その広場の脇に古民家のような雰囲気の建物があって展示会みたいなことをやっていて、なんだろここ~って中を覗き込んでいたら「なんでここにいるの!?」の声とともに友人が登場。2週間ぐらい前に赤坂でベトナム料理を食べて以来。近々また遊ぶことを約束して別れた。

最後に、待ち合わせしていたわけでもないのに、駅前で夫にばったり会った。これも神楽坂での話。もちろん行き先は同じだったんだけど、JR飯田橋からずっと歩いてきたわたしとしては、この時間に東京メトロの駅を通りすがっただけなのにばったり会うとは思わなかったなあ。

こんな不思議なことが重なったのは、このとき読んでいた「りかさん」と「からくりからくさ」のせいだったのかもしれない。

りかさん (新潮文庫)からくりからくさ (新潮文庫)

この2冊は続き物で、「りかさん」の方は、主人公の容子がまだ幼い頃のお話。おばあちゃんにプレゼントされた市松人形の「りかさん」と不思議な絆を築いていくと同時に、人・家・人形の歴史を垣間見ることができる。「からくりからくさ」は大人になった容子と不思議な縁で手繰り寄せられ集まった同居人たちとの命の絆のお話。「りかさん」の中にたくさんの伏線がはってあって、それが「からくりからくさ」で繋がるのだけれど、謎を読み解くのが面白い。

でも、一気に読むにはちょっと重かったかなあ。

博士の愛した数式 (小川洋子)

2008年06月21日 | 本のこと
博士の愛した数式 (新潮文庫)博士の愛した数式 (新潮文庫)
小川 洋子

新潮社 2005-11-26
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生来の捻くれ者につき、話題に取り上げられている最中は
ベストセラーと呼ばれる本には手を出さず、とんでもなく
後になってこっそり読んでいい本だったなと感動する性質。

今週半ば暇つぶしに本屋さんに寄ったとき、
眼に留まった本書をちらっと読んでみた。出だしが良い。

「彼のことを、私と息子は博士と呼んだ。そして、博士は息子を、ルートと呼んだ。」

出だしの一文がいい本は、最後まで良いに決まってる。
センチメンタルな気配の漂う出だしは、すでに亡き人を偲ぶ様子。
この時点ですでに涙がじわ~っと滲んでくる。

ヤバイヤバイ。通勤電車では読めない。
いつ泣き出してもよいように、コンタクトを取り外し
化粧を落とし歯を磨いて枕の横にティッシュを置いていざスタート。

万全の用意で読み始めたものの、80分しか記憶がもたない「博士」への
同情よりも、心から数式を愛している「博士」のロマンチストさに感動し
ティッシュはあまり必要なかった。

「数学者はロマンチストである」とよく言われるけれど、
本書の「博士」も間違いなく、こうしたロマンチストの1人。

交通事故による脳への損傷で記憶が80分しかもたなくても
彼の数や数式に対する情熱と信奉は生涯変わることがない。

数の後ろに隠されている秘密を解き明かし、意味を見出す術に長けている
「博士」の話は、数学好きではない人をも好きにさせちゃうほど魅力的。
ひとりの男の子の人生にも多大な影響を与えるのでした。

好きこそ物の上手なれ、じゃないけど、本当に好きなことであれば
他人に話すときも熱が入るし、それだけ影響力もあると思うので
そういう人は他人に教えるのに向いていると思うのですよ。

わたしも「博士」のような数学者に数学を学んでいたら
数学ができるできないは別としても、今頃もっとポジティブに
数字を受け止めることができたんだろうなあ。
現実は・・・ボロボロです。