goo blog サービス終了のお知らせ 

52 Crescent Street

東京目黒から山梨へ育児のためにお引越し。40代高齢出産ママの雑記帳です。

源氏物語 (瀬戸内寂聴)

2008年10月19日 | 本のこと
生まれて初めて扁桃腺を腫らし、生まれて初めて40度の高熱をマーク。
高熱を出すと体中が痛くなるし、体力を消耗するということを実感。
熱が引いた今でも階段のぼっただけでゼイゼイいってます。
単なる運動不足という噂もありますが・・・・


そんなこんなの体調不良時ですが、密かに読み始めた瀬戸内寂聴訳の「源氏物語」。

源氏物語 巻一 (講談社文庫)源氏物語 巻一 (講談社文庫)
瀬戸内 寂聴

講談社 2007-01-12
売り上げランキング : 2946
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


思えばわたしの源氏物語は、大和和紀のマンガ「あさきゆめみし」から始まりました。

あさきゆめみし 1 完全版 (1) (KCデラックス) (KCデラックス)あさきゆめみし 3 完全版 (3) (KCデラックス) (KCデラックス)

憂いのある表情をした貴公子・光源氏が、様々な女性に興味を示し、
すぐにその気になって口説き初め、強引に逢瀬に至ることの繰り返しで、
当時は退屈しながらも、エッチなシーンが楽しみで読んでいたようなものです。

源氏物語の文学的価値に関しては、今回この現代語訳を読むまでは
まったく気にもしていなかった次第です、はい。

今のところ2巻目まで入っていますが、「あさきゆめみし」から仕入れていた
全体のあらすじ通りことが進んでいるため、ある意味懐かしさを感じています。

また、理想の女性像・妻像というのが、平安時代のこの頃も現代も
そう変わらないことにある種の感銘を受けています。

作者は女性だし訳者も女性なので一概には言えませんが、男性心理の勉強になるかも。

丹生都比売 (梨木香歩)

2008年09月24日 | 本のこと

丹生都比売梨木 香歩4875990731

この著者にしては珍しく、史実を元にしたお話。
とはいっても、本書は歴史小説などではなくて
丹生都比売伝説をベースにしたファンタジーの世界です。

主人公の草壁皇子は、史実では「虚弱で凡庸」と言われたい放題ですが、
本書では心優しく清らかな魂を持つ皇子として描かれています。

ちなみに、草壁皇子は、大海人皇子(後の天武天皇)と鵜野讃良皇女
(後の持統天皇)の一人息子。大海人皇子が無事天皇になった暁には
次の皇太子として鵜野讃良皇女が期待をかける大事な息子です。

吉野で決起の時期を待つ父母と異母兄弟たちをよそに、草壁皇子は、
これから起こるであろう争いを前に不安で悲しい気持ちでいっぱい。
強靱でドライな性格のお母様は大好きだけど、期待に応えられないのも悲しい。

そんな孤独な草壁皇子は、キサという口がきけない少女と出会い、交流を深め、
寂しく悲しい気持ちを和らげます。このキサというのが、実は丹生都比売の化身。
丹生都比売は天照大神の妹神で水銀・水・稲作・戦の神様なのだそうです。

ところで、本書では草壁皇子の母親である鵜野讃良皇女がゾッとするような
人物として描かれています。ゾッとしてしまうというのは、弟皇子を毒殺、
草壁皇子が若くして亡くなってしまったのも、母親である鵜野讃良皇女が
毎日少しずつ毒を盛っていたからというような仄めかしがあります。

後の持統天皇である鵜野讃良皇女は、歴史上でわりと好きな人物。
同母姉である大田皇女といっしょに叔父に嫁いだ彼女は、
華奢で繊細で「かたかごの花のよう」に美しい大田皇女と比べて
健康で物怖じせず、ドライで強くたくましいという印象を持つ。
ただ、このドライさは彼女の生い立ちに関係していると同時に、
息子を毒殺して自分が皇位に即くという野望にもつながるのかも。

全体的に幻想的で、静的で、少々霊的な物語です。
冒頭部分がはかなく寂しげながら、特にきれいなので以下に引用しておきます。

草壁皇子は夢を見ています。空気が、びぃぃんと張りつめた秋の野を、おばあさまのお葬式の列が音もなく通ります。世界は冴え冴えと澄み渡り、その果てまでも見渡せそうなぐらいです。けれどこの秋の野は、どこまでもどこまでもただ刈萱の茂りゆくばかり、行列の音もなく進みゆくほか、動くものとてなく、不思議な明るさに隈なく満たされておりました。この明るさは日輪とは無縁のもののようでした。皆の足元には影すらできておりません。……日のもとに生きる、すべてのものには影ができるさだめ、と菟女は言っていたのに。これほど静かで明るいのに、この秋の野には、少しも心休まる感じがありませんでした。それどころか、細い細い氷の糸が、縦横に空気に織り込まれているように、身の引き締まる思いがいたします。 このように、凍り付いたような明るさがあまねく世界を覆っているのは、殯の悲しさからではなく、おそらく緊張のためだろう、と草壁皇子は思いました。

20世紀少年(1~3巻)(浦沢直樹)

2008年09月23日 | 本のこと
となりのデスクに座っている爽やかだけど説教くさい年下の男子。
以前ちょっとしたおしゃべりで映画「20世紀少年」を観たことを話したら
先日「20世紀少年」のマンガを貸してくれました。

全部で20巻以上あるそうで、2巻ずつ貸し出ししてもらっています。

今のところ3巻まで読んだけど、映画はマンガに忠実に作られているらしい。
一番始まりの場面も一緒だし、所々シーンが重なる。もちろん、抜けている部分や
いっしょにまとめられちゃった部分なんかもあるけど、そういうのを見つけるのが面白いんだよっ!

映画の宣伝で言われていたように、登場人物も映画とマンガとほんと~によく似てる~。
映画では豊川悦司演じる「ショーグン」が格好良くてドキドキしたんだけど、
マンガでは3巻でやっとその「ショーグン」が登場。この後も楽しみです♪

20世紀少年―本格科学冒険漫画 (1) (ビッグコミックス)20世紀少年―本格科学冒険漫画 (2) (ビッグコミックス)20世紀少年―本格科学冒険漫画 (3) (ビッグコミックス)

史記武帝紀1(北方謙三)

2008年09月21日 | 本のこと
先日NHKで北方謙三氏が熱~く熱~く語っているのを見た。
「水滸伝で中国史を知る」とかいう企画らしく、もちろん話題の中心は「北方水滸伝」。

北方水滸伝はキューバ革命に多くの影響を受けているとか。
カストロとチェ・ゲバラと2人のリーダーがアメリカという超大国に対して起こした革命は、
晁蓋と宋江という2人のリーダーが宋という大国に挑んだ水滸伝と構造が瓜二つ。

晁蓋がチェ・ゲバラで、宋江がカストロなのかな、役割分担として。
「替天行道」で読んだはずなのに、全然理解していなかった・・・

「日本には革命なんてなかった。明治維新も革命ではない!」と口角泡を飛ばして語る氏に
「そーだ、そーだ、あたしも同じ意見よっ」同意しながら、ちょっと待てよ、
これって「替天行道」で読んだし。氏の意見を自分の意見のように思ってた愚かなあたし・・・


要するに、完全に北方ワールドの住人なのよ。
だから、もちろん新作も読んじゃいました。

前漢時代の武帝劉徹と、武帝に見いだされた武人・衛青、その甥の霍去病、
外交官・張騫、「史記」作者司馬遷の父・司馬談など面白そうな人物が多数登場。

「楊令伝」とあわせて、今後の楽しみが増えたわん♪

史記武帝紀 1 (1)史記武帝紀 1 (1)
北方 謙三

角川春樹事務所 2008-09
売り上げランキング : 2012
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

私は美人(酒井順子)

2008年09月15日 | 本のこと
私は美人私は美人
酒井 順子

朝日新聞社 2005-11
売り上げランキング : 305497
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


「負け犬の遠吠え」の著者のエッセイ。彼女の書いたものを初めて読んだけど、
リズムもいいし、語彙も豊富だし、本音もズバズバ出てくるので、とても楽しい。

本書では、いわゆる「美人」というものを、いろんな角度から検証しているが、
これまで口にはしなかったけど、いつも思っていたことがズバズバ書かれていて抱腹絶倒もの。

やっぱり女子なんて、腹黒いもんよね。

考えるヒント (小林秀雄)

2008年09月04日 | 本のこと
初めて目黒区民センターの屋外プールに行ってきました。
50メートルのビックな屋外プールは、体を鍛えたい男子たちと
近所のガキんちょたちで、いつでもごった返しております。

それもそのはず。入場料が大人でも200円という安さ。
一応制限時間が2時間となっていますが、十分でしょ。

図書館帰りにプールに寄って、ちょこっと泳いではプールサイドで本を読みながら
休んでみたり・・・ちょっと想像しただけでも有意義な時間の過ごし方じゃない?

ところで、ずっと前に購入したまま放っておいた「考えるヒント」を今日読み終えました。

考えるヒント (文春文庫)考えるヒント (文春文庫)
小林 秀雄

文藝春秋 2004-08
売り上げランキング : 16205
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

様々なテーマに関する散文ですけど、個人的には四季の項の「人形」と「ネヴァ河」が好き。
サンクトペテルブルグのネヴァ河は、実はだんなさまがプロポーズしてくれた記念の場所。
わたしにとってはロマンチックな思い出の地も、小林秀雄にとっては文豪たちに思いをはせる場所。
なんたる違いでしょうか。

でも、待てよ。
ネヴァ河沿いやネフスキー通りを歩きながら、または文学喫茶で食事しながら
ドストエフスキーみたいな文豪さんに思いを巡らすというのは、よっぽどロマンチックなのではないか。

サンクトペテルブルグは街自体が情緒溢れているからね~♪
自分流ロマンに陥りやすいのよね。あぁ、また行きたいなあ。

斑鳩宮始末記(黒岩重吾)

2008年08月28日 | 本のこと
ある本では脇役に徹していた人物が、別の本で主人公で取り上げられると何やら知り合いが大出世したような喜びに包まれる。

斑鳩宮始末記 (文春文庫)斑鳩宮始末記 (文春文庫)
黒岩 重吾

文藝春秋 2003-01
売り上げランキング : 189678
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


本書の主人公は「斑鳩王の慟哭」で聖徳太子の舎人として登場していた調首子麻呂(つぎのおびとねまろ)。子麻呂の仕事は、今で言うなら刑事のようなもの。部下の魚足(うおたり)といっしょに、斑鳩の都で起こる様々な事件を調べて解決していきます。政敵の多い聖徳太子の寵臣である子麻呂は、ときに暗殺者に狙われることもあるけれど、危機一髪でいつも勝利を収めるのです。

途中に変な歴史的講釈が入らないので、小説的な話の流れが損なわれることもないし、登場人物のキャラクター描写が濃いのが本書の魅力です。例えば、主人公の調首子麻呂(つぎのおびとねまろ)は「学識者でもあるが熱血漢」。ときに理想と現実の狭間で揺れ動き自身を戒める姿は十代の少年のようです。調氏の家訓は「腹を満たすほど食ってはならぬ、それは獣になること」らしいが、これはわたしも耳が痛い。部下の魚足(うおたり)は子麻呂よりも農民や奴(やっこ)や(ぬひ)の生活に詳しく、彼らにも親しい言葉を自然にかけることができるので、事情聴取には最適。でも、魚足の洟汁をすする癖に子麻呂は「気勢を削がれる」らしい。

生きている人間のキャラクター描写だけではなく、著者の死人の描写もなかなか。ある死人は「屁を放ったら糞も出た、という顔」をしているし、男性の一物に玉をしこんだ死体は薄目を開けて「この世を窺うというより未練のありそうな顔」をしていたり。

こういうところがやけにツボにはまるのよね~♪

斑鳩王の慟哭(黒岩重吾)

2008年08月27日 | 本のこと
斑鳩王の慟哭 (中公文庫)斑鳩王の慟哭 (中公文庫)
黒岩 重吾

中央公論社 1998-09
売り上げランキング : 216124
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

斑鳩王というのは、厩戸王子(聖徳太子)のことです。

聖徳太子は、ご存じの通り、推古天皇の皇太子として蘇我馬子と一緒に外交をはじめとする政務に当たった人物で、遣隋使の派遣や官位十二階を定め天皇の中央集権を高めることに尽力したことで有名です。

本書では、聖徳太子の晩年と、太子没後の上宮王家の滅亡までが描かれています。仏教に造詣が深く、博識で、一度に10人の話を聞くことができたなど人間離れした伝説が有名な聖徳太子ですが、本書の中では、博愛主義で理想家で悩み多い凡夫(仏教用語で普通の人の意味)として描かれています。理想的な人間像・国家観を持ちつつも現実はそうは行かないことから厭世感を募らせ、政治から距離を置くようになるまでの心境や、年老いて太子を頼り切る母親を疎ましく思いつつも突き放せないところや、息子の山背大兄王を天皇にするために蘇我馬子や推古天皇を相手に政治的な駆け引きを繰り広げるところは、歴史の教科書には絶対にない面白さです。

だいたい歴史の教科書では、推古天皇は中継天皇として聖徳太子を全面的に信頼して政治を任せていた云々とあったのに、本書の推古天皇はしっかりと権力を握り、複雑な血縁関係の中で自分の血統に執着する凄まじい人物として描かれていて、推古天皇の権力を改めて見直した作品ということらしいです。

この当時の血縁関係は本当に複雑で、表を手元に置きながら読み進めないとすぐにこんがらがっちゃうのですが、こういうときはマンガもけっこう頼りになります。

今回は、いっしょに「暁の回廊」を読んで何とか混乱を防ぎました。

暁の回廊 【コミックセット】長岡 良子B00007CEM4

古代ロマンシリーズで有名な長岡良子の作品で、聖徳太子や推古天皇没後の中大兄皇子の少年時代(葛城王子時代)の物語です。本筋からはずれたところで、聖徳太子の長男である山背大兄王子率いる上宮王家の滅亡に関する記述がありますが、上宮王家の評価や山背大兄王と舂米女王の関係に関する解釈は少し独特です。

この2人はすごいよ~

2008年08月10日 | 本のこと
最近読んで元気をもらった本を2冊紹介します。
著者は、お二方とも社長です。

ずっと若い頃から自身のアイデアと人間力で戦って成功された方たちで、
「人間の顔をしたビジネス」が、お二方共通の特徴です。


「できるやんか!」は、お好み焼きチェーン「千房」の社長・中井政嗣さんの著書。

できるやんか!―「人間って欠けているから伸びるんや」できるやんか!―「人間って欠けているから伸びるんや」
中井 政嗣

潮出版社 2004-03
売り上げランキング : 2499
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


3年前に新橋にある千房にお好み焼きを食べに行ったことがあったけど、
そこの社長がこんなに苦労人でアイディアマンで人情味溢れた方だとはつゆ知らず。

本書では、ビジネスについてだけではなく、人間として大事な基本的なこと
(他人への接し方とか仕事に対する姿勢とか)について自身の生い立ちや体験を
例に挙げながら、わかりやすく中井社長の考えが述べられています。
また、社長業だけではなく、大阪・ミナミの発展のために尽力している様子などは、
こういうふうになりたいなあと思わせるものがあります。
全体的に心温まる内容の本でした。



「痛くない注射針」を開発した岡野工業の岡野雅行社長は、チャキチャキの江戸っ子です。
本書も江戸っ子振りが全面に出ていて、本を読んでいるのに、感覚としては
目の前に岡野社長がいて、テンポのよい語り口でしゃべっているのを聴いている感じ。

人生は勉強より「世渡り力」だ! (青春新書INTELLIGENCE 204)人生は勉強より「世渡り力」だ! (青春新書INTELLIGENCE 204)
岡野 雅行

青春出版社 2008-06-03
売り上げランキング : 285
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


「絶対、ツイている人とつきあえよ」
「チャンスは人が持ってくる」
「何かしてもらったらお礼を四回言え」
「真正直ばかりじゃダメ、頭を使え!」
「必ずできると信じろよ」
「不可能を可能にする"勘"の磨き方」

ときには叱りとばし、ときには励ますように「ビジネスのコツ」というか、
「人間づきあいのコツ」を伝授してくれる岡野社長。

他の本ではあまり出てこないような痛快処世術もある。

「ナメてくる相手を返り討ちにする方法」
「イヤなヤツを使いこなす知恵」
「嫉妬や皮肉屋をやり返す技術」

読み終わった頃には、元気を充電できるお勧め本です。

独り群れせず(北方謙三)

2008年08月08日 | 本のこと
口直し、じゃないけど、別の北方作品を図書館で借りてきた。
以前、友達を待つ間に本屋でちょっと立ち読みしてそれっきりになっていたやつ。

独り群せず独り群せず
北方 謙三

文藝春秋 2007-06
売り上げランキング : 49097
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


本書は「杖下に死す」の主人公、光武利之のその後のお話。
っていっても、ずいぶん時間が経っていて、孫の利助までいるのです。

もうとっくに武士ではなくなり、料理人になってしまった利之ですが、
肝のすわったところは相変わらずかっこういい。

料理人が主人公なだけに料理話が多いのですが、魚が苦手なわたしとしては
レシピ増加にあまり貢献しなくて残念。

ところで、本書には新撰組の土方歳三が登場するのですが、「草莽枯れ行く」で次郎長が好意を持っていた
土方歳三とはちょっと違って大変嫌なヤツ。

そういえば、北方版「新撰組」っていうのがあったはず。
「黒龍の柩」だったかな。そこでは土方歳三がどのように描かれているのか興味あり。
次はあれも読んでみよう。