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水痘ワクチン(帯状疱疹) [Varicella vaccine]

2011-05-25 | Vaccine 各論

米メルクが、60歳以上の高齢者における帯状疱疹予防の適応を取得している弱毒化生ワクチンZostavaxについて、50-59歳の中年者における同適応をFDAが承認した(2011年3月)。

60才以上の(80歳未満まで)健常な高齢者38,500例の研究でも、3年後帯状疱疹発生率を51.3%低減(1000人年当たり13.0 versus 6.4)、帯状疱疹後神経痛発生率は66.5%低減された[JAMA. 2011]。


2011年3月の承認は,米国および他の4カ国で50~59歳の約2万2,000人を対象に行われた多施設研究に基づいている。被験者の半数にZostavax,半数にプラセボを投与した後,帯状疱疹の発症を1カ月以上監視した。その結果,プラセボ群と比べてZostavax群では,帯状疱疹の発症リスクが約70%低下した。

主な副反応は,発赤,注射部位の痛みと腫脹感および頭痛であった
 

Zostavax
対象:50歳以上
接種方法:0.5mLを皮下接種


帯状疱疹の既往歴によらず高齢者にも安全性に接種ができる(J Infect Dis, 2013)

日本の水痘ワクチンの5年間年平均力価はZostavaxに匹敵する高い力価を有する(感染症雑誌, 2011


日本人の高齢者(60-70歳代)127人に水痘ワクチンを接種すると帯状疱疹ウイルスに対する細胞性免疫の上昇を認めた(Vaccine, 2003)


日本での接種適応

2014年10月より定期接種化(2014年度のみ3-4歳にも1回接種の経過措置あり)

2014年9月19日(第38週)から小児科定点からの報告は継続したまま、24時間以上の入院を要した水痘症例が全数届出対象(他疾患で入院中に発症し、その後24時間以上入院した症例も届出対象)となった。

2016年3月18日、水痘ワクチンに50歳以上の帯状疱疹予防の効能を追加する一変承認

2016年6月22日、帯状疱疹ワクチンの定期接種化について審議を開始

シングリックスが2018年3月23日、国内での製造販売承認を取得

2017年10月13日
GSKによる不活化帯状疱疹ワクチン(Shingrix)がカナダで承認される
50歳以上を対象として、2-6月間隔の2回の接種(筋肉注射)で90%以上の予防効果

米国におけるShingrixの状況(2018年
2017年10月20日
GSKによる不活化帯状疱疹ワクチン(Shingrix)が米国でも承認される

2017年10月26日
ACIPが、50歳以上であれば、2-6月の間隔を置いてShingrixの接種を推奨、Zostavax接種歴があれば2月以上の間隔を置いてShingrixを接種開始することを推奨
60歳以上であれば、Shingrixがより好ましいが、ShingrixかZostavaxのどちらか一方を接種することを推奨


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