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ケーブルテレビによる伊賀市水道部説明に対する反論

2017-08-25 11:19:51 | 日記

伊賀市水道部は、2017年3月策定の水道事業基本計画(水道ビジョン)について、ケーブルテレビを通じ、説明を行った。しかし、その内容には、多くのごまかしがあると考える。

 

1.     伊賀広域水道計画の目的

 水道部は「水道施設の老朽化、水源が小規模で不安定なこと」を目的と説明している。しかし事実は、多くの自治体のご他聞にもれず、合併前の6市町村も「工場団地建設による多くの工場誘致」「雇用の確保による人口流入」「テーマパーク建設による水需要増」などを当て込み、大量の水需要予測増に基づき広域水道事業を求めたのである。三重県は「6市町村は独自の企業団設立を断念し、三重県企業庁による水源開発を行い、県営水道受水を望んだ」と説明している。バブルの夢を見ていた頃でさえ「手に余る」と判断した事業を、なぜ伊賀市が引き継いだのか、水道部は説明していない。

 「水道施設の老朽化、水源が小規模で不安定」は、本来の目的を失った、後付けの口実に過ぎない。

 

2.     費用は、本当に安いのか?

 水道部は「水源を一元化した方が費用は安い」と説明している。たとえば、今回の水道ビジョンで廃止・減量される水源を維持した場合と維持せず広域化を進めた場合の費用比較を策定委員会で説明しているが、維持しない場合は約60億円、水源を維持した場合は、90億円以上かかると述べている。つまり、廃止・減量予定の水源は耐震診断やそれに伴う補修、機械や設備の更新が必要なために約30億円必要で、それらを廃止するのならば、当然その費用は発生しないと言うのである。

だが今後、広域化を進めるためには、さらに約60億円が必要でもある。三重県はすでに、ゆめが丘浄水場以外の施設(管路やポンプなど)のために約100億円を投じ、それを伊賀市水道部に譲渡している。つまり、伊賀市水道事業は、ゆめが丘浄水場の総工費230億円、管路などの他施設に160億円、川上ダム建設負担に1180億円×11%=129.8億円(補助金除く)と水資源機構への利息(現時点でわかるのは約40億円)で成り立っている。総事業費は、550億円を超える。このような事業が、伊賀市の身の丈に合っているのか?

三重県が、ゆめが丘浄水場59億円と他施設100億円の設備投資を放棄してでも避けたかったゆめが丘浄水場の償還約110億円と川上ダム建設負担を、伊賀市民が引き受けねばならないことについて、説明ではまったく触れていない。三重県は、伊賀市1市を犠牲にして県の経営を守ったのだ。

また、40年もたつと、ゆめが丘浄水場や三重県から譲渡された施設の更新も必要となる。既存の水源すべての更新費用より、ゆめが丘浄水場の更新費用の方が高くつくのは明らかである。「未来につなげる伊賀の水道」でなく、「お先真っ暗」の計画ではないのか?

 

3.     既存水源は本当に不安定か?

 水道部は、近年の異常気象などを上げ、既存水源(6市町村が合併前から独自に開発してきた水源)が、今後取水が困難になるかのような印象を与えている。本当に取水量は減っているのか?

 公表された水源計画は、2004年川上ダム水利権を減量したときの三重県のもの、2008年策定

の伊賀市合併後はじめての水道ビジョン、今年策定されたものの、3つがある。2004年の計画は、既存水源を一部廃止・減量して取水量を約30000㎥/日に減らし、川上ダム水利権28750㎥/日とし、計画水量を約58000㎥/日するというものだった。2008年の水道ビジョンは、計画水量を約57000㎥/日に減らした以外は、ほぼ三重県の計画を踏襲している。今年策定の水道ビジョンも廃止水源などは前回をほぼ踏襲している。川上ダムの完成時期が2005年から延期され続けているので、廃止時期などは違っている。川上ダムが完成したら廃止するとした水源が完成前に廃止されているのは、急速に水需要が減り、ダムの水利権が不要になることの証明である。

3つの計画を比較すると、2004年に「取水可能量が減少」との理由で予備化の方針だったのが、2008年以降は「現況と同様に運用」となったり、「予備化」とされていたのが2008年では運用を続け、2017年では廃止となったり、また多くの水源が2004年には何の問題も指摘されなかったのに、2008年以降「取水可能量の減少」や「不安定」を理由に廃止の方向へ転換されている。 

 つまり、水源計画には一貫性がなく、廃止理由の根拠には疑問があり、決定的な理由は施設の老朽化や利便性であり、川上ダム水利権28750㎥/日ありきの数字合わせに過ぎないのだ。

 

4.     水質悪化は避けられない

 水道部もさすがに認めざるを得ないのは、水質の問題である。伊賀市は、地下水に恵まれ、山から湧く渓流の水も豊富である。既存水源の多くがそれらの水を活用している。一方、川上ダム水利権を優先し、木津川からの取水に一元化するとどうなるのか?現在の木津川上流にはダムはない。しかし川上ダムができると、ダム湖の水は必ず富栄養化する。水は流れを止めれば腐るのである。大量に発生するプランクトンがカビ臭の元となり、それらを消毒するために多量の塩素が必要になる。

また、管路が長くなれば、消毒のための塩素は多く必要になる。その付随物として発がん性物質のトリハロメタンが増えることも避けられない。おいしい水に慣れた伊賀市民には、耐え難い水のまずさになるのではないか。

三重県が、水道水の需要を当てにしていたサンガリアの工場は、敷地内に井戸を掘り「伊賀のおいしい天然水」を売り文句にしている。サンガリアの製品は伊賀の水道水を使っていないことが、商品価値なのである。既存水源の維持には非効率な面もあることは否めないが、「伊賀の水」には十分な付加価値がある。ダム湖下流の大量に塩素が投入された水を飲むのか、既存水源を維持して「伊賀のおいしい水」をできる限り飲み続けるのか、その選択権は市民にあるべきである。

 

5.     水道部は、判断を間違ったまま走り続けている

水道部は、三重県から事業を引き継ぎ施設の譲渡を受ける判断を、議会にかけていない。市民に情報提供することなく、もとは自身が「負担が大きすぎる」と難色を示していた事業を、無理やり進めようとしている。伊賀市の計画水量は、川上ダム参画を決めた時の約70000㎥/日から47000㎥/日に減っている。これまでに廃止してきた水源を含めれば、既存水源だけで足りる量である。既存水源、特に守田水源を廃止していなければ…と、まったく悔やまれるが、今水道部は何をすべきなのか。さらにごまかしを積み重ね、川上ダム水利権ありきの計画を進めるのではなく、正直に今の伊賀市の現状を市民に説明し、水道ビジョンを進めるかどうかを問うべきである。

                                                                                                                                          以上


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