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古賀メロディ聴き比べ3:影を慕いて

2010年01月07日 | 歌謡曲
 「影を慕いて」は、昭和4年に作られた。
昭和4年(1929年)といえば、10月にニューヨークで株式市場が大暴落を起こし、世界恐慌が始まった年で、日本はすでに2年前に片岡大蔵大臣が東京渡辺銀行が破綻したと失言したことにより、金融恐慌が起こっており、不景気の只中にあった。
 古賀政男は当時明治大学の学生であり、大学を卒業しても前途に明るさが見えないという状況の中で彼は、恋にも破れ、絶望の淵に立っていた。ある山奥の温泉で自殺を図ろうとしたが、死に切れません。その時の悲しい失恋の思いを曲にしたのが、「影を慕いて」であった。

当時、彼は、マンドリンクラブの指揮者で、演奏会に、当時第一線の歌手であった佐藤千夜子が参加してくれることになり、この曲を彼女に歌ってもらい、演奏会は大成功を納めた。これが縁で古賀政男はレコード界入りし、文字通り出世作となったわけである。
レコード化は昭和5年(1930年)12月にテイチクレコードから発売されており、歌手は当時東京芸大の学生だった藤山一郎である。

 古賀政男の青春の絶望のどん底から生まれた、聴いていて胸が締め付けられるような悲痛が叫びに共感を覚えるが、それを乗り越えて生きていこうという精神の強さも感じられるのだ。



<「影を慕いて」 自選聴き比べ>
1.藤山一郎 レコードを最初に出した歌手。戦後復興期に活躍した正統派。
2.ギター演奏 80年前の蓄音機で聴く「影を慕いて」、ギター演奏:木村好夫 。
3.島倉千代子 女性歌手でこの曲ではベスト。長谷川一夫と若尾文子の映像シーンも見もの。
4.カラオケバージョン



        影を慕いて

    作詞・作曲:古賀政男、唄:藤山一郎


  1 まぼろしの 影を慕いて雨に日に
    月にやるせぬ 我が思い
    つつめば燃ゆる 胸の火に
    身は焦れつつ 忍び泣く

  2 わびしさよ せめて傷心(いたみ)のなぐさめに
    ギターを取りて 爪弾(つまび)けば
    どこまで時雨(しぐれ) ゆく秋ぞ
    振音(トレモロ)寂し 身は悲し

  3 君故に 永(なが)き人生(ひとよ)を霜枯れて
    永遠(とわ)に春見ぬ 我が運命(さだめ)
    ながろうべきか 空蝉(うつせみ)の
    儚(はかな)き影よ 我が恋よ


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