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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

長野県立歴史館の「至宝の名品」ー学芸員のイチ押し 絵画工芸展ーの後期を観に行きました。オススメ(妻女山里山通信)

2021-05-19 | 歴史・地理・雑学
 長野県立歴史館に「至宝の名品」ー学芸員のイチ押し 絵画工芸展ーの後期を観に行きました。もちろん前期も観ました。6月13日(日)までやっています。オススメです。全ては紹介できませんが、オススメの一部を紹介します。

 「川中島合戦図屏風」江戸時代後期の作。川中島の戦いは、江戸時代のバイアスがかなりかかかっています。これもそんな作品のひとつです。江戸時代後期の物語『甲越信戦録』を元にしたものでしょう。

 上杉謙信が、八幡原を本陣と構える武田信玄に一騎打ちを仕掛け、信玄が軍配で防いだという物語を描いたもの。
甲陽軍鑑』はなぜ斎場山を西条山と誤記したのか!?(妻女山里山通信)それ以外の記事は、川中島の戦いで右上からブログ内検索をしてください。

 斎場山がもぬけの殻と知った武田別働隊が、千曲川を渡って八幡原に駆けつける場面。戌ケ瀬とか猫ケ瀬とかでしょうけれど、その季節は渇水期なので、歩いて渡れたと思います。

 その武田別働隊を筏の上から攻撃する上杉軍。渇水期なので筏は要らなかったと思いますが、描写的には面白いですね。

 武田軍が駆けつけました。たくさんいる白頭巾は、信玄の影武者を表しているのでしょうか。武田菱に加えて、武田家本来の家紋の花菱も描かれています。

「永禄四年九月川中島大合戦」1883(明治16)〜1887(明治20)年作の錦絵。作者は、歌川芳藤。これも馬上から大太刀で信玄に斬りかかる謙信を描いています。

 以下の4枚は、江戸の浮世絵師、二代歌川広重の「諸国名所百景」。1859(安政6)〜1861(文久元)年の錦絵。(左)ぶらんど薬師の久寿里山。山藤が咲いています。(右)信州桔梗ヶ原。野に咲く花は、やはりキキョウでしょうか。

(左)木曽の雪。(右)戸隠九頭竜大権現。下から宝光社、中社、奥社。

 これが一番観たかった作品。大正広重と呼ばれた絵師「吉田初三郎」の「長野県之温泉と名勝」1932(昭和7)年作の非常に大きな絵巻物。私が大好きな画家です。右は野沢温泉から左は諏訪湖まで。左奥には門司、右奥には函館まで描かれています(笑)。

(左)野尻湖と飯山。(右)野沢温泉とスキー場。

(左)湯田中から地獄谷温泉。熊の湯はあるけれど志賀高原の開発はまだですね。(右)善光寺界隈。善光寺の右上の電波塔みたいなのは何? 左上の平らな大地は、いまの浄水場でしょうか。

(左)上田と戸倉上山田温泉。岩端も感じが出てますね。(右)真田十万石の松代。地蔵峠スキー場ってあったのですね。

(左)塩田平。別所温泉と生島足島神社。(右)小諸城跡と布引観音。

(左)諏訪大社上社と前宮。(右)諏訪大社下社の春宮と秋宮。大隅流と諏訪立川流の見事な宮彫りが見られます。当時は温泉はここまで。南信にはまだ温泉がありませんでした。1932年といえば、まだモボ・モガの時代。私は「1930年代頃の日本」というスライドショーをYouTubeにアップして、世界中から沢山のアクセスがあります。このお洒落で平和な時代から、一気に軍国主義と変貌して行くのです。今と似ています。
【1930年頃の日本】OLD JAPAN-1930s と 東京復興の父・後藤新平【妻女山里山通信】

 2011年に当館で「観光地の描き方」という特別展示がありました。その時に買い求めた吉田初三郎の昭和5年に描かれた『長野電鉄沿線温泉名所案内』という絵図。かなり写実的なので、実際の山名や地名をあててみました。「信州を描いた絵師達」という展示会をして欲しいですね。

 歴史館の後背には、森将軍塚古墳があります。歴史館にも見学に来ていた小学生が登っていました。あそこからの眺めは絶景です。シャトルバスもあります。歩いても20〜30分で頂上。ぜひ古代科野国に思いを馳せてください。

 『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

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