モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

松枯れの原因は松くい虫じゃなかった。大気汚染で土壌が強酸性化したことによる(妻女山里山通信)

2014-12-23 | アウトドア・ネイチャーフォト

 松枯れ病の被害が深刻な妻女山です。写真は、被害が最も大きい場所。上信越自動車道ができてから、急速に松枯れが始まりました。特に真ん中の杉林が切れて空いている場所の上が酷く、立ち枯れの赤松が数本。立ち枯れて折れてしまった赤松が十数本。長野森林組合の人達によって伐採され、玉切して農薬をかけてビニールで覆ったものが二十数本という状態です。
 ちょうど杉林の切れ目から、排気ガスが山に吹き付けるのでしょう。写真の右手には、薬師山トンネルがあり、その中に充満した排気ガスが排出されているので、それも吹き付けるのでしょう。本当に酷い状況です。

 左は、上信越自動車道の建設により無残に削り取られてしまった妻女山(旧赤坂山)の先端と展望台。ここの赤松もほとんどが枯れています。中は、立枯した赤松が先日の湿雪で折れてしまったものです。写真の赤松の向こうに、もう一本倒れており、非常に危険な状態です。この処理は、プロでないと無理です。上で切断し、グラップル等の重機で引きずり下ろして玉切りする必要があります。(28日現在、市により撤去されました。車で展望台へ行けますが、上杉謙信槍尻ノ泉のカーブが凍結しているので要注意。また、積雪が最低地上高を超えるとスタックします)
 右は、その上部の林。右の折れた赤松は、根本の太さが70センチぐらいある巨木でしたが、地上3mぐらいのところで、強風の日にあっけなく倒れてしまいました。元は桑畑だった所なので、赤松にとっては栄養があり過ぎてヒョロヒョロと育ってしまい、材が密でなく弱いのです。とても住宅建材にはなりません。

 右側の杉林の切れ目から排気ガスが、この斜面に吹き付けるのです。右にか細い赤松があり、まだ葉は緑ですが、立枯するのは時間の問題でしょう。よく見ると、杉の木も赤茶色に枯れている葉が見えます。赤松よりは排気ガスに強いようですが、それでも影響が出ています。山栗の木やコナラ、山桜もやられています。ケヤキは強いようです。
 上信越自動車道は、更埴JCと長野ICの間の一日の交通量が、32000台以上あります。その向こうの国道403号線は、1万台以上あるそうです。排気ガス規制で綺麗になったとはいえ、昔では考えられない交通量で、莫大な排気ガスが出ているのです。

 左の写真は、上のカットの上部なんですが、こんな風に森林組合によって伐採された赤松が二十数本あります。中は、立枯れした赤松。完全に立ち枯れていると伐採してくれないのですが、まもなく倒れるでしょう。右は下部から上部を見たカットですが、地上2~3mで折れた赤松がたくさんあります。まるで赤松の墓場の様です。
 以前、『松枯れ病の原因は、本当にマツノマダラカミキリのセンチュウだけなのか!?』という記事を載せましたが、今回非常に興味深い記事を見つけました。

松枯れの原因は松くい虫じゃなかった…(農薬散布は、何のため?)
 原因は、大気汚染で土壌が強酸性化したことだというのです。そのシステムは、少しむずかしいのですが、下記の様です。農薬と肥料の歴史も。必読記事です。
自動車の排気ガス・工場の煙⇒大気汚染⇒酸性雨⇒マツタケ衰弱⇒かび:セノコックム菌⇒松の根腐れ⇒アルタナリア菌⇒松が更に衰弱⇒相当弱った松の木にカミキリムシが産卵⇒線虫が媒介し幹に侵入⇒松が枯れる⇒農薬散布⇒虫が神経毒で死ぬ⇒人間も神経にかかわる病気などに。

 ただ、マツノマダラカミキリは、尾根の南面で繁殖するらしいのですが、南面の土口側は松枯れがあまりありません。北面のこの赤松も、特に増える7月に徹底的に探しましたが、一匹も発見できませんでした。ミヤマカミキリやキマダラカミキリ、貴重なルリボシカミキリさえ見るのに。
 ネオニコ散布をされた赤松林は、土壌が汚染され、松茸菌も弱りいずれ松茸も出なくなるでしょう。また出た松茸も農薬汚染されているため食べられません。ネオニコチノイド系農薬は水溶性のため、キノコや山菜は中まで汚染されるため、洗っても落ちません。農薬がかかった山麓の畑の作物も同様です。

必見!◆新農薬ネオニコチノイドが脅かすミツバチ・生態系・人間:JEPA(pdf)ネオニコチノイド系農薬は、松枯れ病だけでなく、水田の除草剤やカメムシの除虫、空き地の除草剤や家庭用殺虫剤に使われていますが、元は、あのベトちゃんドクちゃんを産んだベトナム戦争の化学兵器の枯葉剤と同様で(代表的なのがラウンドアップ:グリホサート剤)、奇形児や脳の発達障害、多動性障害(ADHD)を引き起こす強力な神経毒の『農薬』ではなく、『農毒』です。千曲市や坂城町による、ネオニコチノイド系農薬の空中散布は、必ず人的被害が出ます。専門家がそう断言しています。すでにゼフィルスが全滅状態など、影響が出ています。知らなかったで済む話ではありません。因果関係は既に証明されているのですから、認可した自治体は首を洗って弾劾されるのを待つべきです。森永ヒ素ミルクもそうでした。窒素水俣もそうでした。歴史に学ばない者は、いずれ必ず天罰が下ります。
 自然を慈しみ愛せない人は、人も愛せないんでしょうね。そういう輩が日本のエスタブリッシュメントには多いのです。そして無関心と無知。愛を知らず機能不全家族に育った者が、日本を世界を滅ぼす・・・。

 赤松の立ち枯れの林には、上杉謙信槍尻ノ泉に水を飲みに行ったのでしょうか、狸の足跡がありました。真ん中は、ヒヨドリジョウゴの赤い実。右はアオツヅラフジの青い実。どちらも有毒なので、いつまでも冬枯れの森に残っています。現在、狩猟期なので日曜日には、妻女山の奥、天城山手前の谷などで猪狩りが行われます。鞍骨城跡等へ行かれる方は、ホイッスル等、存在を知らせられるものを携行してください。

 妻女山展望台から見る上信越自動車道。中央は、松代SA。正面の山は奇妙山。左に尼巌山。いずれも山頂に山城の跡があります。(12月18日撮影)

◉関連記事もご覧ください。
千曲市森の杏が最盛期、朝採り杏で焼酎漬。松枯れ病が深刻。ネオニコは農薬でなく農毒!(妻女山里山通信)

妻女山山系のゼフィルスが壊滅状態なのは千曲市による農薬の空中散布だと断言するKさん(妻女山里山通信)

松枯れ病の原因は、本当にマツノマダラカミキリのセンチュウだけなのか!?(妻女山里山通信)

【追記】千曲市は、2016年の空中散布を中止することを決めたと信毎Webに載っていました。評価できる嬉しい決定ですが、ネオニコチノイド農薬は、非常に残留性が高く、水溶性で植物や地面に深く浸透し、その影響は何年も続きます。ほぼ絶滅してしまった十数種類いたゼフィルスを始め昆虫たちが復活するのには相当の年数がかかるものと思われます。赤松林への散布は土壌汚染を引き起こすため松茸菌を弱らせ、結果として松茸も出なくなり、共生関係にある赤松も弱ります。千曲市は中止ですが、坂城町は実施するという愚挙。村上義清も泣いていることでしょう。

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『信州の里山トレッキング東北信編』川辺書林が発売中。平安堂やAmazon等で。カラー668枚の写真とコース地図 http://blog.goo.ne.jp/morimorikids/e/fc7830d7ae4e8b6ecf38ff12b3d68f04 信州の里山は、多くが古墳や山城、神社の奥宮がある。歴史巡りの山歩きも楽しい。そんな歴史も記述。歴女も歴男も信州の山へ! #歴史

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3 コメント

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松枯れ原因情報 ("e")
2016-03-11 15:47:09
こんにちは
神奈川で進むブナ枯れやササの退行現象を危惧している者です。友達のfacebookに どなたかが貴方のブログを紹介していたのを見て このコメントさせてもらってます。
樹木枯れの原因と対策について 大森禎子さんをご存知でしょうか。もしご存知なら 以下の情報は不要です。

https://www.youtube.com/watch?v=SotTWhupvCI

ちょっと長いんですが 頑張ってみて下さい。
炭の効果 どうもあるみたいですよ。

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炭の効用 (モリモリキッズ)
2016-03-11 18:37:14
情報ありがとうございます。
炭の効用については存じています。畑の柿の木が弱ってきたので、キノコの培地と炭を根本に撒いたら大豊作になりました。
ただ広い山林に炭を撒くのはあまりに大変で現実的ではないですね。
それだけの炭を用意するにはたくさん堅木を伐採して炭を焼かないといけないですし。
まずネオニコチノイド系農薬の製造使用を禁止することですね。
自然には自浄作用がありますし。
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Unknown ("e")
2016-03-11 21:33:10
コメントへの返信ありがとうございます。

  >畑の柿の木が弱ってきたので、キノコの培地と炭を   根本に撒いたら大豊作になりました。

●そうでしたか! やっぱり大森先生の理論通りですかね~ 自分のフィールでもトライしてみます。

  >ただ広い山林に炭を撒くのはあまりに大変で現    実的ではないですね。

●神奈川は面白いところで 県独自の水源環境税で 毎年40億円が県民から上がってきます。丹沢の環境保全への理解もあるので 一旦方向が決まると 事業として動き出す可能性があります。まあ それを期待してるんですけどね (^_-)-☆ 


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