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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

山姥伝説の虫倉山へ(妻女山里山通信)

2010-08-15 | アウトドア・ネイチャーフォト
 長野市中条(旧中条村)の信州百名山の名峰「虫倉山(1,378m)」に息子と登りました。虫倉山は、江戸時代に「山姥嶽」と記されたことがあるように、子供の守り神、子宝の神様が祀られた信仰の山です。旧盆の13日は、あいにくの曇り空で、しかも湿度が100パーセント近くというサウナ風呂の中を登るような山行となりました。コースは、太田の水車の前に駐車し、虫倉神社から「さるすべりルート」へ。帰路は山頂から西へ尾根を辿り「不動滝ルート」を下るというものです。

 この「さるすべりルート」は、サルスベリの木がたくさんあるわけではなく、猿も滑るほどの急斜面という意味の様です。虫倉神社から始まるコースは、奥の院の裏手の崖登りから始まり、鞍部に着いてほっとしたのもつかの間、頂上まで鎖場の急登が連続するというなかなか厳しいものでした。神社から山頂までは、1時間半弱でしたが、前夜の雨で岩や木の根が滑るので難儀しました。また、異常な湿度で必要以上に体力を消耗。汗びっしょりのバテバテ登山となりました。葉が生い茂っているので、今回はそうでもなかったのですが、落葉期だともっと高度感があってスリル満点だと思います。

 あいにく山頂からの展望はほとんどなし。それでも、わずかに鹿島槍ヶ岳や五龍岳が顔を見せ、善光寺平も少しだけ見えました。展望は諦めて山頂に旋回するオニヤンマを追いかけました。パサパサと音を立ててホバリングするのですが、なかなか留まってくれません。それでも辛抱強く待っていると、アブを捕らえ小枝に留まって食べるところをなんとか撮影できました。その他にはキアゲハやツマグロヒョウモンの雄と雌が飛来したのですが、活性が高く残念ながら撮影できませんでした。

 お昼を食べていると正午になりました。厚い雲海の下のあちこちからチャイムや音楽が流れてきて、こんな厳しい山塊のすぐ下に山里があるのだなと不思議な感じがしました。時折雲が切れて眼下に集落の屋根や棚田が見えましたが、それはまさに日本の山村の原風景といえるもので、強い郷愁を誘うものでした。わざわざ首都圏から登りにくる充分に価値のある山だと思います。晴天の日には北アルプスから戸隠連峰、四阿山と360度の大展望も堪能できます。信州むしくらの湯「やきもち屋」に一泊して登るのもいいかもしれません。

 途中で小雨もぱらついて、こんな日は誰も登って来ないだろうと思っていたら、男性がひとり不動滝コースを登ってきました。彼が下山した後から小学生の女の子を含む家族四人が登ってきました。やはり信州は、山好きな人が多いのだなと思いました。この家族は後から下山してきましたが、ツリフネソウの残花が揺れる不動滝の渓流でお父さんがサンショウウオを発見しました。種類は黒焼きなどで食用にされるハコネサンショウウオです。今は、手厚く保護されているようですが、虫倉山麓の人たちも昔は貴重な食料としていたのではないでしょうか。

 あいにくの天候でしたが、この季節でなければ見られない動植物や菌類に出会えました。偶然にチチタケの群生地を発見できたのも収穫です。次は紅葉の季節に登ってみたいと思います。
 この虫倉山、松代から見ると茶臼山のかなたに見えるいかにも遠い奥山で、無関係にみえますが、さにあらず。中条村、小川村までが松代藩の領地で、松本藩の美麻村との境には口留番所が置かれ、出入り口を取り締まっていました。また、虫倉神社は、松代藩真田家の尊崇が厚く、江戸幕府の老中となった第八代藩主幸貫は、定紋の幕、祭礼幟、鳥居を寄進。夫人が神簾、姫が千羽鶴を奉納しています。




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1 コメント

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サルスベリ ()
2010-08-16 10:10:26
虫倉山なつかしいです。小1の時、父と途中まで登ったことあります。ワラビを採って来ましたね。
サルスベリの丘が若穂保科の八幡にあります。山際の放棄畑を活用した規模が大きいピンクの花園です。

去年の9月3日のサルスベリの丘。

http://d.hatena.ne.jp/negisi6960/20090903/1251970215
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