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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

ツル性のトリカブトを冠着山(姨捨山)と聖山で発見。絶滅危惧種のハナカズラが信州に?(妻女山里山通信)

2023-10-06 | アウトドア・ネイチャーフォト
 ひとつ前のアサギマダラの記事で、ツル性のトリカブトを載せました。環境省のレッドデータブックー日本の絶滅危惧種で、絶滅危惧ⅠB類(EN)に指定されている離弁花類キンポウゲ科の猛毒の植物です。学名はAconitum ciliare。国内では九州の一部だけに極稀に自生するとされています。それが信州の山に自生しているのです。牧野植物園では、九州、朝鮮半島、中国東北部、ロシア沿岸地域に分布とあります。発見した冠着山(姨捨山)と聖山は何度も登っているので開花時期の9月の写真をすべてチェックしてみました。以下はその記録です。見られた標高は、1100〜1400mぐらいです。

■2011年9月27日【冠着山】
 山頂の北面のトリカブト。急斜面から横に長くツルが伸びています。

 コバルトブルーの青く美しい花。9月下旬なので結実しているものもありました。

 樹木がない開けた斜面に群生地があります。結実しているものもたくさん見られます。茎は長いもので2mぐらいです。上の2つのカットと同じ場所なのですが、直立性で斜めに倒れているものと。明らかにツル性と分かるものがあります。ここは北面巻き道ですがほとんど廃道となり崩れていて危険です。

■2014年9月15日【聖山】
 聖山で。15日だとまだつぼみも見られました。

 聖山の標高1300mぐらいの尾根道。

■2017年9月16日【聖山】
 ツル性とよく分かるカットだと思います。根は林の縁にあり、光を求めて伸びてきたということでしょう。

 聖山山頂直下からの北アルプスの仁科三山。双耳峰の鹿島槍ヶ岳。

■2020年9月5日【冠着山】
 山頂近くの冠着権現の石の祠の脇に咲くトリカブト。ツルは長いものは2mぐらいあり地面をはって横に伸びています。咲き始めなので花の色がやや薄い。つぼみもたくさん見られます。短いものは直立しています。

 鳥居平からのコースの山頂下にある北アルプス展望所。右にアンテナのある聖山が見えます。近いので植生は似ていますが、冠着山には山梨やヤマボウシがありますが、聖山には見られません。

■2021年9月23日【聖山】
 このツルは非常に太く長く2m50cm以上あったと思います。

 鳥兜は舞楽で使用する伶人の冠に似ていることからつけられた名前です。全草が猛毒なので素手で触るのも厳禁です。

 ハナアブが吸蜜。毒は大丈夫なのでしょうか。大丈夫だから吸蜜しているのでしょうけど。猛毒のキノコを食べる昆虫もいますし自然のメカニズムは不思議です。

 聖山から下って眼下に聖湖。向かいの三峯山にはないでしょうか。来年は調査しないといけませんね。右後方に見えているのが冠着山です。聖湖対岸から一本松峠経由で冠着山登山口の鳥居平へ行くことができます。

■2023年9月26日【聖山】
 2021年と同じ場所ですが、夏が猛暑で少雨だったので細いツルが数本あるだけでした。右の花は残花になり結実しています。その下にはだれかに食べられた様な痕跡が。

 結実して葉が枯れ始めているものが多く見られました。花の見頃は、9月10〜20日ごろだと思います。

 2011年に発見して絶滅危惧種と知ったのが今年ですが、絶滅危惧種に指定されたのが2020年なのです。今回ツル性のトリカブトの希少性を知り、北海道以外で本州では上田の半過岩鼻にしか自生しないモイワナズナの例があるので、もしかしたらこれもと思い色々調べてみました。来年はもう少し調査の範囲を広げてみようと思います。私のブログはgooブログ300万以上ある中で常にアクセスランキング1000〜2000番にいます。でも最もアクセスが多いのはBABYMETALやハロプロや80年代ポップスの記事ですが。でもネイチャーフォトの記事もかなり人気があります。私が里山観察で最も重要視しているのは、蝶とかある種の昆虫とかに特化するのではなく、樹木から山野草、哺乳類から昆虫、蜘蛛、鳥類、藍藻類、菌類、粘菌、地質、歴史までと総体で里山を観るということを最重要視していることです。それで里山の全体像が浮かび上がって来るのです。特に日本の里山で妻女山の陣場平にしかない貝母(編笠百合)の記事には毎年凄いアクセスがあります。4月のアーカイブをご覧ください。

●聖山は、長野県の長野市、千曲市、東筑摩郡麻績村の境に位置する山で、標高は1447メートル。
●冠着山(かむりきやま)は、長野県千曲市と東筑摩郡筑北村にまたがる標高 1,252メートルの山。別名は姨捨山(おばすてやま)。両山とも拙書に載せています。

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