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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

ツル性トリカブトを探して冠着山(姨捨山)と聖山へ。三種類のトリカブトが混生か。イヤリトリカブトか。鞍骨山と天城山のトリカブト(妻女山里山通信)

2023-10-18 | アウトドア・ネイチャーフォト
 前の記事でツル性トリカブトを載せました。花期は終わっているだろうとは思いましたが登ってみました。まず冠着山へ鳥居平登山口から登りました。山頂までは30分ですが、途中北面巻き道の群生地へ。その後で山頂へ。次に聖山へ向かいました。冠着山では、どうも三種類のヤマトリカブトが混生しているのではないかということが分かりました。ひとつは、大町で発見されたツクバトリカブトの変種イヤリトリカブトかも。
 トリカブトは全国的に変種が多く、ヤマトリカブト、オクトリカブト、ツクバトリカブト、イブキトリカブト、タンナトリカブトに加えて長野県北部特産として茎の長さ300cm、上部はツル状のイヤリトリカブトがあるそうです(1~1.5mという記述もあり)。結論からいうとトリカブトには変種が非常に多く、そのためか詳細な分布や研究は充分には行われていないということ。おそらく九州のハナカズラと当地のツル性トリカブトは別種でしょう。トリカブト亜属でも40種以上あり、花弁の舷部が距に向かって膨大するキヨミトリカブト節には、アズミトリカブト、ハナカズラなどがあります。
「トリカブト亜属に属する種は、多年草のなかの疑似一年草に分類される。地上部と地下の母根(塊根、「烏頭(うず)」)はその年の秋に枯死するが、母根から伸びた地下茎の先に子根(嬢根、「附子(ぶし、ぶす)」)ができ、その子根が母根から分離して越冬芽をもち、翌年に発芽し開花する。地上部と地下の母根から見れば一年草であるが、子根が翌年にも生存するため、擬似一年草のカテゴリーにはいる。分離型地中植物とも呼ばれる。」トリカブト(Wikipedia)
  今回取り上げた北信のトリカブトについても、専門的な研究機関がDNAレベルまで調べてくれるといいのですが。

 冠着山北面巻き道の群生地のトリカブト。ツル性ではなく直立性ですが、ここのものは全て斜めに倒れています。

 一瞬つる性のトリカブトと思いましたが、葉を見てマメ科のクサフジの仲間と分かりました。

 ツル性のトリカブトでしょうか。花がないのではっきりしませんが、クサフジの葉ではないですね。ヤマブドウの葉かしら。

 左向こうにツル性かと思われるもの、手前に斜めに太い直立性のもの。さらに手前にはツル性と思われるものがあります。

 それを引いて撮影したカットです。やはり花が満開の9月に来ないと判別が困難です。

 冠着山北面巻き道の入り口。倒木があり藪でとても道には見えません。北面の久露滝コースが合流するのですが、その登山道が廃道になりこの巻き道も廃道となっています。群生地はここから15mほど入ったところですが、あちこちで道が崩落していて大変危険です。

 山頂すぐ手前にある冠着権現の祠。前の記事に載せた2020年9月にあったツル性のトリカブトは完全に除草されて無くなっていました。ショックで写真がぶれてしまいました。

 山頂にわずかに咲いていたトリカブト。高さは70センチぐらいで上部がツル性です。左下には別のツル性植物が絡みついています。イヤリトリカブト(居谷里鳥兜)でしょうか。300センチはありません。ただ、草丈1~1.5mの多年草。 茎はよく分枝し、枝はつる状に伸びる。葉は互生し、長さ10cm程度の心形で3深裂し、裂片の縁は鋸歯状になる。花柄には屈毛が生える。花は散房花序につき、青紫色で長さ3~4cm。と書いてあるところもあります。環境省の絶滅危惧ⅠA類(CR)です。大町市の居谷里湿原で最初に採取されたのでこの名前があります。大町以外には戸隠高原や飯綱高原に自生していることが確認されています。
 ただ前の記事に載せた聖高原のトリカブトは全部がツル性の様で、そうするとイヤリトリカブトではなく新種か、変種ということになるのではないでしょうか。『長野県植物誌』には載っているでしょうか。

 冠着山山頂から北方の眺め。眼下に姨捨サービスエリアと棚田。千曲川の向こうは茶臼山。奥の戸隠連峰や飯縄山は雲の中です。

 下山の途中で撮影した直立性のトリカブト。風が強くなってきました。夫婦が一組、次いで養護学校の生徒たちが7,8人。トリカブトに触ったり匂いを嗅いだりしないでねと伝えました。さらに登山口で神奈川から来た男性が。聖山に登ってきたそうです。ハウチワカエデの黄葉が綺麗だったとか。聖湖に下り聖山へ向かいました。

 聖山山頂北面のハウチワカエデの紅葉。山頂付近には直立性のトリカブトしかありませんでした。かなり北風が強く寒くなってきたので下山します。前回撮影した車道脇のツル性のトリカブトは分かりませんでした。今年は花期が終わってしまったので、来年また観察したいと思います。

 下山途中から見る三峯山と眼下に聖湖。左奥に噴煙を上げる浅間山。右奥にさっきまでいた冠着山。

 冠着山と聖山は千曲川左岸の山です。以下にあげるのは、千曲川右岸の鞍骨山と天城山(てしろやま)です。
■2012年10月30日【天城山十人平】 冠着山山頂で見たものと似ている上部がツル性のトリカブト。これもイヤリトリカブト(居谷里鳥兜)でしょうか。

■2015年10月10日【鞍骨山】 鞍骨山の鞍骨城本郭手前の尾根で。ツル性かといわれれば悩むところです。ただ左下の向こうに地面をはっている茎が見えます。これがトリカブトのものであれば完全にツル性ということになります。これも確認したいところです。

■2015年10月18日【鏡台山】 暗い林床で。全体を写したものがないのでなんとも言えません。

■2016年10月21日【天城山十人平】 三枚上のカットと同じ場所。高さは100センチほど。やはり上部がツル性です。トリカブトの仲間は北半球に約300種が分布し、日本にはヤマトリカブトなど30種ほどがあるそうです(もっとあると思います)。トリカブト(鳥兜・草鳥頭、学名:Aconitum)は、キンポウゲ科トリカブト属の総称です。つまりトリカブトという名前の植物はありません。

 ハナイグチ(ジコ坊)と里芋の親芋、大根、砂肝の煮物。ハナイグチから甘く極上の出汁が出ます。あとは鰹と昆布出汁に本味醂と醤油だけ。天然キノコで、秋の里山の滋味を堪能。キノコの胞子が雨を生むという説があります。いずれキノコの記事の時に記します。

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本の概要は、こちらの記事を御覧ください

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