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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

信州千曲市あんずの里。あんずが見頃、全てが満開になるのは13日の土曜日。明日は雪?(妻女山里山通信)

2019-04-09 | アウトドア・ネイチャーフォト

 拙書でも載せているカット。里山の原風景が広がります。黄色い花はレンギョウ。ご婦人が土筆を摘んでいました。すぐ下にヤブカンゾウがあるので教えてあげました。春の山菜です。

 在来種のあんずの花。在来種も色々な花があり、色もバリエーションがあります。現在はピンク色が主流ですが、高校時代に教室から見たあんずの里は、コーラルピンクでした。大きなキャンバスを持っていって油絵を描いたものです。

 樹齢200年以上と伝わるあんずの古木。「森のアンズは、天和年間(1681~1683年)元禄時代、伊予宇和島藩主伊達宗利侯の息女豊姫が、松代藩主真田幸道侯に興し入れの際、故郷の春を忘れじとして国許よりアンズの苗木を取り寄せ、松代東条地区に植え付けたのが始まりとされるが、それ以前にもあった可能性はある。安永年間(1772~1780年)松代藩は、森村・倉科村・生萱村・石川村などへ苗木を配布し、栽培を奨励した」と伝わっています。

 スバル乗りなもので、毎年気になって撮影してしまいます。暗い里山(五一山脈)を背景に、杏の花が萌え立ちます。

 諏訪立川流の天才、和四郎富昌作の「子持ち竜」の木彫がある興正寺山門と枝垂れ桜。

「子持ち竜」。和四郎富昌は八幡の武水別神社の再建中でした。そこで、森出身の弟子・宮尾八百重を案内役に住職、世話人、名主らが建築現場に赴き建築を依頼。引き受けた富昌は三月頃から、父富棟が寛政二年(1789)に建築した善光寺大勧進の表御門形式を参考に絵図面を制作。四月には八百重の家に投宿し近くの薬師山に登って酒宴を催し、満開の杏花を愛でたといわれています。夜は篝火の下で鼓を鳴らし謡曲の「鞍馬天狗」を吟じ、見事な龍を描き上げ、村人や近郷近在の話題をさらい、村では日本一の宮大工が来たと喜んだそうです。興正寺は、浄土宗西京大谷知恩院の末派で、創立年は不詳。

 神龍山禅透院の鐘楼と鮮やかな在来種のあんずの花と黄色いサンシュユ(山茱萸)の花。禅透院は、曹洞宗佐久郡前山村貞祥寺末派で、弘治元年(1555)創建。

 禅透院の上からの眺め。昔は、民家の屋根がほとんど藁葺きでしたね。その頃のカラー写真は残っていないでしょうか。見たいですね。黒い瓦屋根とはコントラストが強くメリハリがありますが、藁葺き屋根は黄土色や茶色なのでもっと柔らかい風景だった記憶があります。

(左)禅透院の鐘楼と在来種のあんず。(右)あんずの里おもてなし食堂で「おしぼりうどん」を。辛味大根の絞り汁に味噌をといていただきます。信州でも旧埴科郡と更級郡でしかいただけない伝統食です。汁は辛くて甘い。それを「あまもっくら」といいます。他には野菜たっぷりの「おにかけ」もあります。野沢菜漬けと沢庵がつきます。両方共500円です。ほかにおやきとかもあり、おすすめです。

 あんずの花越しに見る飯縄山。飯縄神社の祭神は、白狐に乗った烏天狗。有名な東京の高尾山の薬王院の祭神でもあります。鎌倉の建長寺の裏山にも烏天狗が。失われた古代ユダヤ人説。徐福伝説も。明日は雪とか。上雪なので、北信より中信、南信の方が積雪が多そうです。スタッドレスから夏タイヤに履き替えてしまった人も多いでしょう。かく言う私もそうなのですが、出かけなければいけません。地温が高いので幹線道路は積雪はないと予想します。信州の春は、梅、杏、ソメイヨシノ、レンギョウ、菜の花、カスミザクラ、オオヤマザクラ、ズミ、クサボケ、リンゴと咲き乱れ、あっという間に駆け足で過ぎていきます。

 最後は、地元の受験生には有名なんですが、訪れる人もいない少し外れの岡地天満宮へ。菅原道真に関する重要な品があります。花は紅梅です。ここで、母の実家の従兄弟二人と娘さんと3歳の可愛い孫の女の子に邂逅。しばし歓談。その後、寒風で冷えた体を温めに、戸倉上山田の万葉超音波温泉に向かいました。
菅原道真の木像と、法華経妙荘蔵王品一基が所蔵されるあんずの里の岡地天満宮(妻女山里山通信)

(左)上から三つ目の杏の古木を少し登ると、オカムラさんのテントがあります。そこで買い求めた左は姫杏の焼酎漬け。農薬散布をするので普通は作れません、これは希少です。右は天日干しの干し杏とあんず焼酎。干し杏は天日干しに限ります。あんず焼酎は、アルコール分少なめで甘いので、更に焼酎や炭酸かお湯を足して飲むのがおすすめです。(右)妻女山陣場平の貝母(編笠百合)の開花状況です。ポツポツと開花し始めました。今週末から来週末が見頃です。これほどの群生地は、全国でも稀。本当に希少です。妻女山里山デザイン・プロジェクトの仲間と保全活動をしています。ぜひおいでください。4月の茶花でもあり、その慎ましやかな群生は誰もが心を打たれるでしょう。薬草畑の名残ですが、死亡することもある毒草です。愛でるだけにしてください。妻女山駐車場の奥に登山ノートと地図があります。もちろん拙書でも詳しく紹介しています。下山後は、拙書の販売もします。1700円で、書店で買うより少しお得です。希望があればサインもさせていただきます。
 土曜日にもう一度撮影と取材に行く予定です。寒の戻りで花も一番上まで満開になるでしょう。期待しています。

4月21日(日)に、松代夢空間のハイキング「妻女山 花と歴史のハイキング」を行います。貝母の群生地(上杉謙信陣城跡)や、斎場山(旧妻女山・上杉謙信本陣跡)などを案内します。私がインタープリターをし、自然や歴史について時に面白おかしくお話しながらハイキングをします。参加費2000円で、下山後は「はなや」さんでのあんず御膳もつきます。非常にリーズナブルだと思います。参加希望の方は、松代夢空間にお問い合わせください。拙書の販売も行います。 ℡026-278-1277
松城夢空間ホームページ
GWの前半は、山菜採りと松代夢空間のハイキングと春爛漫の髻山へ(妻女山里山通信)

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

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