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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

スズランが咲きカッコウが鳴く菅平高原へ(妻女山里山通信)

2013-06-09 | アウトドア・ネイチャーフォト
 空梅雨でまるで真夏の様な暑さの善光寺平から菅平高原の大松山へ登りました。ところが、若穂川田で403号線から34号線に入ると、菅平まで全面通行止めの看板が。愕然として近くのコンビニのおばさんに聞くと、道路の拡幅工事で6月30日まで通れないということです。長野市からは、松代の地蔵峠を超えて真田町から登るルートがありますが、渋滞で時間が押したので、長野ICから上田ICまで高速に乗る事にしました。上田ICを下りて144号線から大笹街道を登っていくとすぐに菅平高原。大原学園の横を登って行き、ゲレンデ下のT字路に出ると、そこが登山口です。適当な場所に駐車します。

 ここの標高が、1370mぐらい。目指す大松山が1648.7mですから標高差は、300m足らず。ハイキング程度のものですが、さにあらず。登山道がなくゲレンデをひたすら登るのですが、上に行くと上級者コースでかなりの急傾斜。今回はコブだらけのアルペンコースを登りました。カッコウが鳴き、時折キジのケーンという甲高い鳴き声も聞こえます。夏の花はまだですが、あちこちにスズランの群生が見られます。大松山の頂上からは、正面に三角の四阿山と丸い根子岳がそびえています。眼下には高原野菜のマルチが白く光っています。この風景がたまりません。2010年の夏に息子達と、あの山の向こうに広がる直径3-4キロのカルデラを一周したことを思い出します。今は群馬県側の放射能汚染があるので行く気にはなりませんが。

 大松山の山頂には特になにもありませんが、ちょうどズミの花が七分咲きでした。コリンゴと呼ばれるズミの花はバラ科リンゴ属なので、花もリンゴそっくりです。妻女山のズミはずっと前に咲き終わっていますが、大松山は今が盛りでした。落葉松の下では、アマドコロの花が揺れていました。可憐なツマトリソウは、咲いていませんでした。

 山頂を少し北へ下ってリフト乗り場に出ると、樹間から北アルプスの絶景が見えます。善光寺平は少しもやっていましたが、北アルプスの稜線は、白く光っていました。妻女山の展望台からは、この大松山の三角の山頂が地蔵峠から保基谷岳への尾根越しに見えるのですが、大松山からは妻女山から天城山、鞍骨城跡、御姫山から鏡台山への戸神山脈の稜線がよく見えます。そしてその向こうには西山山系の茶臼山も。

 リフト乗り場からさらに北へ下るとスズランの群生地がありました。花があれば分かりますが、スズランは猛毒なので、山菜のギョウジャニンニクと間違えない様にしないといけません。『古事記』の天の岩戸で天宇受売命(アメノウズメノミコト)がたすきがけにしていたというヒカゲノカズラも群生してます。
「見まく欲り 思ひしなへに かづらかげ かぐはし君を 相見つるかも」(大伴家持:万葉集)。--逢いたいと思っていたら、ちょうど折りしも、かずら飾りを着けた美しい君にお逢いすることができました--。万葉集には四首詠まれています。ヒカゲノカズラの胞子は、石松子(せきしょうし)という淡黄色の粉。湿気を防ぐので丸薬・花粉増量剤・火薬の衣などに利用されます。

 長居する時間もないのでそそくさと下りましたが、帰路に少しだけドイツトウヒの森に寄りました。ドイツの「黒い森」
(シュヴァルツヴァルト)の主要樹種で、細長い松ぼっくりが特徴です。この森は林下が明るく、植生が豊かなので、来ると必ず立ち寄るのです。もちろんここも熊の生息域なので熊鈴は必須です。以前、ここで幻の?奇怪な形のオオシャグマタケを見つけたので探しましたが、ありませんでした。

 森の小さな流れの脇に、クリンソウが咲いていました。渓流沿いの森床にはニリンソウやクルマバソウ、シロバナオドリコソウの群生が見られました。シロバナオドリコソウは、アップにすると、白装束の女性が大勢で踊っている様に見えます。なかなか神秘的で妖艶。趣のある花です。

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■歴史は繰り返す:864年:富士山噴火/868年:播磨国地震(阪神)/869年:貞観地震M9・貞観津波(東北)/871年:鳥海山噴火/874年:開聞岳噴火/878年:相模武蔵地震(関東)M 7.4/887年:仁和地震(東海南海地震)M9(M=推定)

★妻女山(斎場山)について研究した私の特集ページ「「妻女山の真実」妻女山の位置と名称について」。「きつつき戦法とは」、「武田別動隊経路図」など。このブログでも右上で「妻女山」でブログ内検索していただくとたくさん記事がご覧いただけます。
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