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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

ネオニコチノイド系農薬が生態系を壊す。ミツバチを殺し人間をも・・(妻女山里山通信)

2013-06-26 | アウトドア・ネイチャーフォト

 千曲市の農薬空中散布のことを蝶の研究家のTさんにメールしたところ、散布の事実を知らなかったようで、怒りのメールが帰って来ました。ゼフィルス以外にも、ちょうど幼虫期のアゲハ類が壊滅的な被害を受けるのではないかというのです。そればかりか受粉してくれる蜂や花虻を全滅させ、果樹農家や野菜農家に壊滅的な被害を与えるのです。前回書いた様に、千曲市と坂城町が実施しました。理由は松茸栽培業者のためです。それだけのためなら、業者の山だけを地上でやればいいのです。他の赤松は、枯れても問題はありません。本来ザレ場の様な所に自生するものを、桑畑の跡に植林したので過栄養でひょろひょろに育ち、材も病気に弱く柔らかいので建材にもならないのです。少しの強風でも折れます。うちの山にある父が植えた赤松も何本も枯れたり折れたりしていますが、気にしません。それでいいのです。枯れて倒れればギャップができ、いずれ広葉樹が生えます。Tさんは、「長野県は生物保護にうるさい! 特に採集行為には新聞含めて犯罪的な見方としていますが、生息地破壊による絶滅行為は大歓迎の様です。」と、書いています。全くその通りです。農家は、自分の畑は自分で農薬散布します。自己責任です。松茸業者も自分の山は自分でそこだけ散布すればいいのです。税金を使う理由はないのです。

 以前は有機リン系の農薬を散布していたのですが、危険と分かったので、安全性の高いエコワン3フロアブル(ネオニコチノイド系)に替えたと行政はいうのです。しかし、このネオニコチノイド系農薬というのは、ベトナム戦争で使われたベトちゃんドクちゃんを生んだモンサントの枯れ葉剤と成分が同様のものです。蜂が全滅し発癌性があり(蜂の大量死と関係がある事を、金沢大学が突き止めました)、脳発達障害、流産、自閉症、注意欠陥多動性障害、うつ病、ぜんそく、アトピー性皮膚炎、化学物質過敏症などを引き起こすといわれています。欧州では危険なために発売禁止になっている国もあるのですが、日本は野放しどころかホームセンターはもちろん、なんと100円ショップでも同タイプである神経毒のグリホサート系除草剤が売られているのです。製造元の住友化学会長が経団連会長だから? ホームセンターにあるラウンドアップは、まさにそれ。こんなものを空中散布するなど、狂気の沙汰です。長野県自体は中止の方向へ動いているというのに、両市町の議員や担当職員の無知さが伺い知れるというものです。自分の子や孫も被害に遭うというのに。放射能と同様に、被害が顕在化してからでは遅いのです。危険を示すエビデンスは既に各国からいくつも出ています。日本の農薬摂取量は、欧州の500倍! この記事を読むべし。ミツバチが一瞬にして死ぬ…世界一危ない「ネオニコチノイド系農薬」
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 全く見られないゼフィルスや激減したハチやハナアブはともかく、オオムラサキは順調に羽化していますが、これも空中散布がなかった長野市側が主です。妻女山上の境界の長坂峠はまだ数頭しか確認できていませんし、千曲市側の堂平では一頭も確認できていません。この時期は、まだ樹液が出ないので、オオムラサキは雨後の地面に口吻を刺して地中にしみ込んだ水分を吸うのです。土に含まれるミネラルなどが栄養になるのでしょう。また、ヤマザクラやヤマグワの熟した実が落ちて潰れた果汁を吸ったり、イノシシの糞が雨に当たって柔らかくなったものを吸ったりします。つまり地面に農薬が散布されると、直ちに影響を受けるわけです。もちろん放射性物質、特にホットパーティクルがあったら致命的。羽化不全による奇形というのは、蛹期の物理的刺激でも起こり得るのですが、一カ所で大量に奇形が発生した時には、放射能や環境ホルモン、農薬の影響を考えるべきです。

 昼頃までは盛んに低空飛行して、地面の水分を吸っていたオオムラサキですが、お腹がいっぱいになったのか、午後になると皆神社の鬼瓦に集まって昼寝を始めました。たまに元気のいい個体が、お腹がすいたのか地上に降りて来ます。その一頭が私の周りを舞った後、ズボンに留まりました。汗に含まれる塩分が目当てでしょう。これはよくあることで、ある時は撮影中の手に留まって汗を吸い始めたことがありました。もの凄くくすぐったかったのですが我慢しました。それにしても、この時期現れるはずのゼフィルスが全く見られないというのは、Tさんならずとも非常に気掛りです。今後も観察を続けていきます。この時期に山仕事や撮影をすると、ありとあらゆる虫に刺されまくるのですが、免疫力アップと諦めていますw。

 妻女山展望台から見る川中島(善光寺平)も緑が濃くなってきました。眼下の長芋畑のつるが伸びてくれば、辺り一面緑一色になります。ここから見える低山には、どこでもオオムラサキが発生しています。ただこんな梅雨時にわざわざ山に行く人などいないので知らないのです。オオムラサキは里には下りて来ない蝶ですから。ただ山村の人達は知っています。畑仕事に行くと舞っていますからね。気がつく人は気がついています。昔の人は、自然界の営みを観て農作業の目安としたのです。そういう知恵はほとんど失われてしまいましたが。

★Youtubeスライドショー(BGMは、GarageBandで作曲したオリジナルです)
■Omurasaki butterflies in Japan 2011 Part 1of3【オオムラサキ】


■Omurasaki butterflies in Japan 2011 Part 2of3【オオムラサキ】


■Omurasaki butterflies in Japan 2011 Part 3of3【オオムラサキ】


■Suminagashi butterflies in Japan 2011 Part 1of2【スミナガシ】


■Suminagashi butterflies in Japan 2011 Part 2of2【スミナガシ】


*ツイッターやブログ、ホームページの昆虫に最接近したマクロ写真はどうやって撮るのですかとよく聞かれます。気配を殺す。木や石になる。生態を熟知して、来る場所でひたすら待つ。視線を感知するので近くでは直接見ない。あとは精進あるのみ。上手く撮影できた時は、ありがとうと言う。

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■ツイッターMORIMORIKIDSは左のサイドバーでご覧頂けます。主に原発情報、地震情報を呟いています。非常に重要な情報を選んでツイートしています。ときには自然、歴史も。写真もアップします。福島第一原発からは、今も毎日2億4000万ベクレルの放射性物質が流出しています。事故は終わっていません。太平洋は死の海になろうとしています。現実を学び見ないと生き残れない時代です。それでも原発は必要ですか。「命より 金が大事な 日本人」詠み人知らず
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