心療内科 新(あらた)クリニックのブログ

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ブレインジムについて

2020年05月29日 | 専門外来
 ブレインジムは、アメリカの教育学博士、ポール・デニソン氏により開発された脳を活性化する画期的なエクササイズです。名前の通り、「ブレイン(脳)」を活性化させるための「ジム(体操)」です。脳の活性化と聞くと、頭を使って訓練するものを連想しがちですが、ブレインジムは体を動かして行う学習プログラムです。
 
 体を動かす、といっても、特に激しい運動や訓練をするわけではなく、簡単な体操を数分間行うだけで、体が楽になって、その後の振る舞いや行動に変化が現れます。「頭がすっきりして、楽に物事を考えられるようになった」という方もいます。
 
 現在、日本をはじめ、イギリス、アメリカ、オーストラリアなどの世界80カ国以上に広がり、たくさんの学校教育の現場、企業、スポーツ機関に取り入れられています。アキレス腱を伸ばしたり、目を大きく動かしたり、耳を引っ張ったりと、簡単にできることから、アメリカやオーストラリアの小学校などではラジオ体操のように取り入れられています。
 
 当初は学習に困難を持つ子供たちに向け、開発されましたが、現在では医療の分野でも導入されつつあります。知的障害の少ない発達障害(ADHDや自閉スペクトラム症)やPTSDにも有効性が認められています。少し時間はかかりますが、地道に継続することで、発達障害などに伴う感覚過敏の改善も期待されます。
 
 その他、パニック障害や社交不安障害、強迫性障害などの不安障害や解離性障害、双極性障害、統合失調症、高次脳機能障害にも効果的です(ただし、ブレインジムだけでこれらすべてが良くなるわけではなく、従来の標準的な治療法に加えることで、補助的に効果を発揮します)。
 
 EMDRとの相性もよく、EMDRにブレインジムを取り入れることで、より効果的にPTSDやトラウマ関連症状を和らげることも可能です。当院では臨床心理士の上野がブレインジムの研修を修了しており、実施しております。興味のある方は、まずは主治医にご相談ください。

(院長 森)