心療内科 新(あらた)クリニックのブログ

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ビプレッソ発売

2017年11月28日 | 抗精神病薬

クエチアピンの徐放製剤である“ビプレッソ”が本年の10月27日に新発売されました。従来のクエチアピンは速放錠で半減期が短く、1日に2~3回の内服が必要でしたが、ビプレッソは1日1回、寝る前の投与のみとなります。

ビプレッソの適応症は、「双極性障害におけるうつ症状の改善」となります。クエチアピン速放錠の適応症は統合失調症のみでしたが、ビプレッソの発売により、双極性障害のうつ症状への治療オプションが増え、治療者としては大変有難いです。というのも、双極性障害のうつ症状の改善はなかなか難しく、これまでに本邦にて正式に双極性障害のうつ症状に適応を持っていた薬剤はジプレキサのみでした。

ただ、ジプレキサはある程度の効果が期待できる反面、長期的にみると食欲増進に伴う体重増加が少なからずあり得ますので、なかなか使いづらいというのが本音でした。クエチアピンにも体重増加の副作用はありはしますが、ジプレキサ程ではありません。

今後も双極性障害におけるうつ症状の治療薬のさらなる開発が待たれます。