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建築を旅する

ズントー講演会

2008-10-21 12:06:45 | Weblog
先日、憧れのピーターズントーの第20回高松宮殿下記念世界文化賞記念講演へ行ってきた。
非常に楽しみにしていて、かなり早めに会場に到着したので、砂かぶり、最前列近くに陣取る。
しばしの間、いわゆる少し前の現代音楽的な前衛風な曲が流れ、ズントー氏登場!
くあ、でっかい。思ったより背が高く、それに驚く。

司会より、本当は最後に質問会が予定されていたが、その時間も含め、今回は全てズントー氏の演出、独壇場で話しまくってくれるとの事。嬉し。

ズントー氏より、曲の意味が話される。数日前に出会った曲で、それぞれの音を素材と捉え、それを組み合わせ音楽を作っている作家の曲らしい。それが自分自身の作風にも通じると。
様々な素材を、オーケストラの様に必要に応じて、3つ、4つと組み合わせ、作り上げる建築。
かれは、コントラバスを演奏するらしいけれど、音楽と建築、二つの要素は彼の中で重要な繋がりを持っているようである。


『3 Buildigs,5 Projects』と題し、レクチャースタート。

スライドを交えての講演会、緑豊かで美しい、スイスの現在の自宅件オフィスから始まり、ドイツのブラザー・クラウス野外礼拝堂、聖コロンバ教会ケルン大司教区美術館、北極圏のプロジェクト、オランダ、イングラドのプロジェクトと続いた。

あれ、3プロジェクト?

手振りを交えつつ強烈なエネルギーで熱弁をふるうズントー氏。
既に還暦を5年も過ぎたとは思えない創造力と挑戦への息吹。
やはり、大成する人間は違うなあとその存在感に感動する。

それぞれの物件は、やはり魅力的。
特に、ブラザー・クラウス野外礼拝堂のエピソードは驚かされた。
ドイツの農民(通訳の方、もうちょっと言い方あるんじゃないか?)?よりの依頼で、実現。
当初は、モダニストであることと、ちょっと(いやかなり)高額な設計料が必要なので、お断りしようかと思ったみたい。
しかし、モダンでいいと言う事、ズントー氏が設計料はいらないけど、自由にやらせてもらうという条件で、動き出す。


wikiより転載

一人の職人と、あとは依頼主たる地元の方々の人海戦術で材木を切り、組上げて行く。
東京大学の講演会で、『あれはティピーだ』と本人が言っている様に、原初的な構造でちょっと竜が寝そべった様な形状に、天高く森より切り出された木がそびえる。
そして、モルタルをひたすらその上に流し込んで行く。これも住民が何日もかけて少しずつ流して行くので、自然の地層の様に、積み上がって行く。
それからが、すごい。
なんと、内部の木材に火を入れる。あれ、失火か?と思ったが、実は然に非ず。
炭焼きの職人に何度も技術的な事を聞いたというように、内部の木材をジワジワと炭化させていたのである。
施行の工程表に『放火』がある建築物なんて、今迄あっただろうか。
そして、火を入れてじっくり焼き上がると、木材は縮み、外す事が出来る。
そう、ティピーの木材は、モルタル内部に空間を作る為の木型であった。

焼けた木材の型がそのまま壁面をつくり、何ともブルートで、非常に神秘的、幻想的な祈りの空間となる。
なおかつ、美しい。
これは、やられた。度肝を抜かれた。


後日談として、農家の方は、自分たちの祈りの場をつくったつもりが、実際には世界中の建築家や観光客が大挙し、生活が一変したとのこと。しかし、嬉しいらしい。


その他もすごかったが、ともかく彼は自由人。
そして、アーティストであるなと思った。
非常に共感できるし、ある意味、自分自身の指針となる人物であるなと再確認する。

98年にa+u臨時増刊 ピーター・ズントーを見て以来、憧れてた人物にようやっと会えた。
出会いって幸せ。
因に、a+u臨時増刊 ピーター・ズントーは二冊持ってます。一冊は自分で買ったもの。
もう一冊は、2年前に結婚した奥さんが持ってた。

ズントー、ありがとうございます。





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