もうずいぶん前に止めてしまっていた。
おいしいイタリアンのお店を探したり、リーフの紅茶がポットで(しかもミルクはバカにしたような小さな容器じゃなくて、たっぷりサイズのミルクポットで添えられて)出される紅茶屋を探したり、ちゃんとドライなマティーニとギムレットを作れるバーテンがいるお店をチェックしたり。
その頃の牛ときたら、キレイなだけの甘ったるいカクテルなんていらない、甘いジンジャーエールならメニューに甘いって書いとけよ、という調子だったから(今もだな;)、当時お付き合いしていた男子と仙台中のカクテルを出す店に行っては、さんざん飲み倒して(そいつも酒強かったので)二人で行くわりに雰囲気も何もあったもんじゃない、って具合だった。
ペペロンチーノがさっぱり辛くなくて2度と行かなかったり、雰囲気はいいのに激甘のギムレットを出されて幻滅したり、当然のことながら失敗も成功もハズレも当たりも、さんざん時間とお金を費やしてそれなりに楽しかった。
それでも、大好きだったお店が無くなったり、経営者が変わったりしていくうちに、「牛にとっての本当の」ギムレットはあの時の1杯だけだったのだなと思うようになって、それからは甘いカクテルを甘んじて飲むようになった。
それはそれとしての味、を、味わえるように。
今じゃ月に数回、近所の串焼屋で安心して食べられる料理とお酒をいただいてすっかり満足しちゃってる。
丸くなったとか落ち着いてきたとかもう若くないんだしとか、偶に何かすると、相変わらずとかそろそろ落ち着けよとかいい加減大人になれとか、愛する友人達よ、勝手に言ってくれたまえw 確かに自分でも、隠居風情にびっくりしてみたり、年を経るごとに大人げなくなってくような気がしてるし。
で。
先日金曜日、wolf夫妻、Vieさん、Naoちゃん、kimと共に行った飲みは「プレ忘年会」だったらしいんですがw
咳がとまらず、体調を考えて飲み過ぎない事にしていた牛は、1件目の1杯目に苦し紛れで頼んだ「カルピスハイ」によって、脳内で「何故にコレを頼んでしまったのか!」と自分を相手に怒り狂い始めていたのでした。
「普通に飲め!飲んでしまえ!!」「えー、明日病院行くって言ってたじゃん」…狂牛病の黒牛と神の使いの白牛が、心の中で口論。
結果、牛のホルスタイン柄は、黒い部分がちょっと多いみたいで。
実は1件目を出る時点で、Vieさんの一言「これで解散?」を聞く前から、ここで解散なら1人でもう1件行ってやろうと思っていたのですよ。
しかし牛が「1人で行くもう1件」のお店は、結構な出費を覚悟しなければいけない所。
それでVieさんの言葉をきいた時、ふと思いたったんです。St.Elmo's Barだ、と。
ちょうど良い事に、ちょっと前から一緒に行こうと話していたNaoちゃんもいるし。
あそこならそれほど高くないはず。
牛:「Naoちゃん、Elmo'sBarはいつ行く?」
Nao:「今日でもいいよ!」
まさに予定調和な会話です。
まるでアレですよ。
「♪ばばんばばんばんばん」「歯みがけよ!」とか、
「この印籠が目に入らぬか!」「はは~っ!」とか、
「ファイトぉ~っ!」「いっぱーつ!」とかみたいです。
かくして一同は、仙台は広瀬通沿いにある「St.Elmo's Bar」へ。
St.Elmo's Bar、もう何年前だろうか。10年位前だな、最初に行ったのは。
その頃は、店内はすごく落ち着いた雰囲気で、照明も落としてあって、カクテルの味はそれなりにおいしかった。
何度か通って、その何年か後に行ったときには、店内は少し明るくなっててバドガが居たんだった。その頃、ダーツが置かれてたのを覚えてる。
はてさて、変わってるかな…?
…む、むちゃくちゃ変わってる;
店内明るいっ。でかいディスプレイがあってサッカーの試合かなんやってて…やっぱダーツはあるんだな。
いわゆるスポーツバーってヤツになったんだそうで。
そりゃそうだろうなぁ。時代と共に変わっていくのは必然なんだろうか。
あのままで在って欲しかったような、これはこれで良いような。
けど、これで良かったんだな。
このメンツで来たのも正解。
近頃、「以前はこうだった」「昔は違った」とかの、言いたくも無い言葉が口をついて出る事が多くて、いちばん最悪な「あの頃は良かった」を言ってしまったら、牛はきっとぺデストリアンデッキからダイブするか修行の旅に出るかせにゃならんと思ってたんだけど、みんなと一緒にワイワイと話すなら、こういう雰囲気でいい。
カクテルも、牛が本当に飲みたいものは無かったし、決して最高においしくはなかったけど、マティーニにはちゃんと宝物のオリーヴが入ってて、Vieさんがお約束的に絡んでくれたり(笑)、甘くてキレイなフローズンチャイナブルーだって楽しめた。
無作為に交差する会話が心地よくて、調子にのって勝手な事しゃべりまくって、みんなでキャメルのキャンペーンガールと一緒にダーツやったり、食べ放題のポップコーンなんていくつお代わりしたことか。
楽しかったぁ。楽しかったよホント、ひさしぶりに。
レイモンド・チャンドラーのハードボイルド小説によれば、「本当のギムレット」は甘いんだそうです。
それでもやっぱり甘くないギムレットが飲みたいので、よかったらまた牛と一緒に飲みに行ってください。
そしてやっぱり無かったら、しょうがないので次も連れて行ってくださいよ。