Drive,again.

2013-04-20 11:49:03 | 日記・エッセイ・コラム

さて。

このブログの更新を終了しようと思います。
よくもまぁこれだけくだらない事を延々と続けてきたものだと、我ながらユカイに思います。
今まで、生存報告やら日々の日記、ハイパーよかった探し的につづってきたけど、さすが「自分晒し」ブログだっただけの事はあります。
振り返るだにどうでもいい話の数々(笑)

なんだろね。
未練が無い事は確かだ。
どみっさんとインプレッサwがいなくなった今、ここに書くことはモウ無い気がする。
からっぽになったビンをいくら振っても、牛乳は出てこない。

「元串焼屋」の東風も今月いっぱいで終わり。
牛がおいしくゴハンを食べる場所も無くなってしまう。

震災の後、大切だったものも、大好きだった景色も、たくさんあったけどたくさん無くなった。
たくさんのヒトと会ったけど、幾人かのヒトとはモウ会えない。
それでもなぜか牛は生きてしまってる。
どうして?理由はたぶん無い。
そう考えた時、旅の始まりを少しだけ思い出した気がする。
おかしいな。こんな事になるなんて。

あと何が残ってるだろ?

思い出すのは、関わったり、すれ違ってきたヒトたちの事です。
たくさんお世話になったり、名前も知らないままだったり、ほんの一瞬の事だったりしたヒトたちにお礼を言いたい。

十三浜白浜で牛と牛母に声をかけてくれたおばちゃんたち、元気にしてますかー?
名前も知らず探す事もできないけど、きっと生きててくれてるって信じてます。
あの穏やかな海に、また、行きますからね~。

そうだ、こないだ行ったC&EのUさま、お店でお声掛けいただいてありがとうございました!
そしてハガキまで!
びっくりしたけど嬉しかったです。
やっぱりハンドクリームはC&EのJojobaにかぎります♪

あのヒトも、あのときのヒトも、どうしてるかなぁ。
ありがとうって言いたくて、伝えたいけどむつかしい。

そしてこのブログ読んでくれたヒトたち、こんなばかばかしいブログでもささやかなつながりでした。
たぶんまた、何か書きたくなるんだと思う。
そしたら書くんだと思います。
どういう方法かはわからないけど。

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帯広郊外の河川敷。
WRCの、SSSを観戦するためにカッパを着て大雨に打たれながら豚丼食べて、ラリーカーを操る戦士たちが土砂降りにも負けずに走る姿に興奮して、最後まで観た。
シャトルバスに乗って、傘なんてもちろんささないでカッパのフードをしっかり被ったまま、インプレッサwを停めてある幕別の駐車場に戻った。

足元は一面の草原。
一面に雑草が生えた広大な敷地は雨でズブズブになってた。
広すぎて、しかも暗くなって、感だけを頼りにインプレッサwを停めた方向へ歩きだした。

どこだっけ、確かこのあたり・・・?

街灯の明かりにかすかに照らされる、たくさんの車。
その中にインプレッサwはいた。
濃紺のボディにたくさんの水滴をまとって。
牛の視界の中で、だけどインプレッサwのほうが牛を見つけてくれたみたいだった。
なんだかうれしくなって、ズブズブの地面に足をとられながら走りだした。

「ただいまー!楽しかったよー!!」

ドアを開けて、カッパを脱ぎつつ急いでシートに収まった。
エンジンを始動させて、靴を履き替え濡れたカッパをたたみながらしばらくすると、インプレッサwのエアコンが優しく温風を吹き出す。
冷え切った体が、少しずつ温まる。

大丈夫。
たくさんの景色を見よう。心を揺らそう。
どこへ行こうと、何をしようと、インプレッサwが牛を待っていてくれて、雨も風も強い日差しからも守ってくれる。
そして家まで、送り届けてくれるんだ。
それはただの依存ではなく、牛自身の意志であり力だったはず。
そうし続けるための、インプレッサwは大切な依り代のようなもの。

あの日暗闇の中に佇んでいた姿を、いつも思い出す。
今はモウ居ないインプレッサwを思い出して、ちょっと切なくなって、それでもモウ少し、走って行けるだろうか。

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このブログはしばらく残しておきます。
必要に応じて更新することがあるかもしれません。
牛はしばらく牛舎に引きこもります。
そのうち、気づかれないようにひっそりと脱柵しようかな(笑)

ありがとうございました。


NARDI、あるいは切り落とした右手

2013-04-13 09:05:40 | 4輪

インプレッサwの純正ステアリング、平成8年のこのグレードはNARDIでした。

Dsc_0532

まだエアバッグシステムがオプションの頃。
いざという時の保険には必要なものとは思うけど、当時、エアバッグの誤作動や展開後の扱いについていろいろと思うところがあったためにエアバッグはつけませんでした。

今時の車にはない、細身の握り具合。
このステアリングの太さと方向指示器レバーまでの距離(これに慣れてしまったのもあるけど)、これが私の手にぴったりフィットだったんです。
革の質感。内側の縫い目がかすかに感じられる感触。
左手はシフトノブを掴むことが多い反面、いつも右手が添えられているので右側だけ擦り切れてボロボロ。

Dsc_0524

解けた縫い目を直してあげようと思ってたけど、そのままだったな。

当初、インプレッサwを手放すにあたって、いつも使っていたキー以外は何も残さないつもりでした。
もしかしたら、この後もどこかで走るかもしれない。
それなら今のままの姿で送り出してやりたい。どうでもいいような中古パーツに交換してみっともない姿にはしたくない。
それでも、お別れまであと2週間ほどという日。

あいかわらず私はインプレッサwのことばかり考えていました。
新しい相棒を迎えることはごく一部の身近な人にしか伝えてなかったけど、やっぱり言われたのでした。

「新しい車買うんでしょ?そのわりに全然嬉しくなさそうだね。」

うん。
車買い換えるって、うれしいことだった気もするけど。
なんか呆然としちゃって。

そう答えながら、友人たちが車を乗り換えたときの事をあれこれ考えてました。
「飽きたから」
「本当はこの車が欲しかった」
「事故で廃車になって仕方なく」
「コスト考えたら新車のほうが」
「古すぎて自分の手に負えない」
それぞれの理由があって、残念そうだったり晴れ晴れとしていたり潔かったり。
どれもその人それぞれの車との接し方。
私だって潔く新しい車を迎えたい。のに。

不安だった。
16年もの時間をかけて身についた車両感覚。運転の癖。
いろんな想いが染み付いた、記憶の形ともいえるこの車が手元からなくなることで、自分がなにかバランスをくずして立っていられなくなるんじゃないかという恐怖感が、心の奥底に分厚くべったりと沈んでいて・・・どんだけ依存してんの?おかしいでしょ!と思えるほどに。

確かにね。
いろんな事があったのは確かだ。
全部を知ってるのは誰一人いない。この車だけ。
ぼんやりとキーをもてあそんでいたら、ふとある車のキーの画像が記憶の奥底から浮かんできた。
横向きに置かれたその銀色のキーの画像、一緒に持ち主の言葉も。

そうだった。
こんな思いをするのは私だけじゃないよね。
しばらくたって、この車を思い起こす時に、やっぱり私もあんなふうにキーを見つめるのかな。
私、イグニッションオンの感覚をキーで思い出すんだろうか。
このキーで、私とインプレッサwの記憶を繋いでいられるだろうか。
イグニッション?
あ・・・違う。たぶんこのままじゃダメだ。
あと10日?!間に合うだろうか。

数日後。
私はやっぱり途方に暮れてました。
この車のNARDIがとても手に馴染んで気にいってたから、自分でステアリングの交換したことなかったんです。
作業についてはちょっと調べればある程度の事はわかる。
Google先生に聞いて見つけてもらった情報によれば、この世代のインプレッサwについてるNARDIはなぜかMOMO仕様になってて、新しくつけるステアリングがNARDIタイプだとしたらボスを用意しなくちゃいけない。
作業としては、ホーンボタンとカバーをはずしてセンターナットをはずせばいい。
外す時に、完全にナットを外すんじゃなくて緩めておいた状態でステアリングを引き抜かないと怪我につながる事もある。

中古の適当なステアリングはオークションにも出てるけど、あまりに概観を損ねてしまうのは嫌だし、即決でもしない限り時間が無い。
ようし、こうなったら力技だ。

「Google先生!私、どうしたらいい?」
「お金かかってもいいならこのあたりの店はどうだい。」

結果、同世代のインプレッサのグレード違いと思われる車両の中古ステアリングをなんとか入手。
これならポン付けできる、かもしれない。はず。たぶん。

一番の問題。工具を持ってない。
買ってしまおうか。手持ちのソケットレンチじゃ合わないし、エクステンションは?
だけど、ホントにできるのかな。
やってみればいい事はわかってる。
作業始めた後にトラブったらどうしよう。
ホーンの線切っちゃったらどうしよう。
締め付けトルクはどうしよう。
なんだか情けないくらいにヘコんでて、自力で作業を始める気になれない。
ホントにつくかもわからない中古ステアリングを持ち込みで交換してくれるとこってあるのかな。
いくら掛かるんだろう。だったらやっぱり自分でやったほうが。

工具、工具、こうぐこうぐこうぐこうぐこーぐ・・・。

「こんにちはー。遊びに来ましたー。」

訪れたのはファンライドガレージでした。
ちょうど休憩してた須藤さんと世間話。
あれこれ話した後に、思いきって切り出してみた。

「実はかくかくしかじかで、でも工具が無いし、自分でやったことなくて・・・」

いつも忙しく仕事してる須藤さん、ドアを開けたときに休憩中じゃなくて仕事してたら言い出せなかったかも。
工具って大切なものだし、貸してほしいって言い出すにも悪い気がするし。
そもそもバイクやさんに車のステアリング交換してくれって言うのも何だか。

そんな気持ちをよそに、彼はインプレッサwを見て作業をはじめてくれました。
「車のステアリング交換なんて今やんないもんねー、懐かしいな~!」とかなんとか言いながら。

が、センターナットをゆるめてステアリングを引っ張っても、はずれない!
ステアリング自体がたわむほどかなりの力をかけても、揺すってみてもびくともしない!
こ、このヒトの力ではずせないものを、どうやって私がはずせるだろうか。いや、はずせないに違いないのだ!反語。

「ネットで見てたら『女の子には厳しいかも』って書いてあったから私には無理だなぁって思って。だって女の子だし。」
「これプーラー使わないとダメなのかもね。うちにあるので合うかな?」

須藤さんが使ってる工具の数々。
よく引き出しを覗き込んではうっとりして見てたっけ。
だからここに来ちゃったんだ。
そこから取り出され、かちゃかちゃと鳴る手のひらの中のプーラー。
だけど、どうやらひっぱる方のボルトのピッチが合わないっぽい。

「この穴に合うネジ2本、買ってきてくれたらできるよ。ピッチがこれで径はコレで、長さはこのくらいのやつ。あそこのダイ○ン行けば1本売りしてるから。」

書いてもらったメモを握り締めて、インプレッサwに飛び乗った。
あはは、懐かしい!
昔もこうしておつかいに行ったっけ。
パーツの受け取りや買い物、お昼ごはんの買出しとか。

その後。
プーラーをしっかりかませてソケットレンチにつながれたラチェットがキリキリとナットをゆるめていく様をじっと見守っていたら、ばきん!と音がしてステアリングが抜けはじめました。
こんな硬いの自分では絶対無理だった・・・(汗)

ステアリングそのものが思ったより軟くて歪むのは、事故の時に人体へのダメージを軽減するためかもしれない。
だから、しっかり固定してあるステアリングを外すためには力任せじゃダメで、プーラーつかって根元部分に力を加えないといけないのかも。
作業時の事故もそれで防げる。そう考えると合点がいく。

Dsc_0615_2

私の右手。
今でもこのNARDIに触れると、あのインプレッサwの感覚がよみがえってきます。
NA1.8リッターの底力、窓から吹き込む風が顔に当たる感覚、ある速度からドアミラーあたりで鳴り始める音までも(笑)

私の体に染み付いてるのは、イグニッションオンの瞬間だけじゃない。
ずっとずっと握り続けてたこのステアリングから伝わってくるもの。
シートもペダルも大切だったけど、直接手に触れる、何より大事なインターフェース。
使い続けることはできなくても、このステアリングに触れれば壊れちゃった私の記憶を取り出すのに、きっと役立ってくれる。

かわりに、中古だけどちゃんと「SUBARU」の刻印が入った純正革巻きステアリング(ホーンボタンが無かったのが残念・・・でも高かったのよ)をつけてもらって、ほんの少し違うけどインプレッサwはインプレッサwのまま。

須藤さん、ありがとうございました。
なんか全部やってもらっちゃって。
でも帰り道、車やらバイクやらヒコウキやらを通してずいぶん沢山の人と出会ったなあと、インプレッサwに乗り始めた頃の私の人付き合いの範囲の狭さを考えたらずいぶん変わったなぁと。
たくさんの人にお世話になって、たくさん助けてもらってるんだなぁとなんかちょっと涙にじんできちゃってモウ涙腺のバカ。

Dsc_0529

旅に出て、牛乳とかサイダーとか変わりドリンク飲むたびにこのホーンボタンと一緒に記念撮影してたのも良い思い出。

そういうの全部、いつも忘れないように残しておこう。