もく窓

~良い映画と究極の手抜き料理を探して~  

魔笛

2008年08月11日 | 映画 TV・DVD
                  ザラストロ(ルネ・パーペ)
 お気に入り度:銀   ケネス・ブラナー監督 2006年
魔笛の序曲に乗せて映画が始まると、ケネス・ブラナー監督の描く世界へ一気に入りこんでしまいました。
色とりどりの野の花々の咲く丘陵地帯、その大地を切り裂くように延々と続く塹壕、このシーンはチャップリンの独裁者の始まりのシーンにそっくりです。塹壕の中では兵士たちが戦闘の準備をしていますが、ウサギがノコノコと塹壕の上を渡って行くし、蝶々もヒラヒラと自由に飛んでいます。戦車や戦闘機が出てきますが、御伽話の世界です。
序曲が終わって、タミーノ王子が竜に追われるシーンは一体どういう風に見せてくれるのかとワクワクしていたら、映画ならではのアイデアに嬉しくなりました。
続いて、三人の侍女が上着をパッと脱ぐ分かりやす~い演出、夜の女王の戦車に乗っての登場、パミーナは天井を破って落っこちてくるし、大きな唇が宙に浮いているシュールな映像等々、挙げたらキリがないほど楽しい演出づくしでした。
また、タミーノが塹壕から手を伸ばし野の花を摘むシーンはロマンティックなタミーノの性格が見えると同時に、古い映画「西部戦線異状なし」で蝶に手を伸ばすシーンを思い起こしました。序曲の終りで画面いっぱいに爆弾が炸裂するシーンはキューブリックの「博士の異常な愛情」を、泥水の中から顔を出すところはコッポラの「地獄の黙示録」を、包帯でぐるぐる巻きにされた姿は「イングリッシュペイシェント」を、雪降る中で白旗を揚げての交流は「戦場のアリア」と「勝利への脱出」を、またタミーノが鉄条網を掴んでも痛みを感じてないシーンも何かの戦争映画で見たように思うのですが。
タミーノを演じたジョセフ・カイザーは王子と言うより将校がピッタリでしたネ。
夜の女王はもっと貫禄のある方のほうが、パパゲーノはもっとヌケていてコミカルな感じが、パミーナはもう少しお姫様らしい方が、と思ってしまいました。
映画なのですから吹き替えを使って、映像も満足させて頂きたかったなぁ。
でも、ザラストロを演じたルネ・パーペは声も演技も素晴らしかったです。ロードオブザリングに出て欲しかった~と思いましたョ。ルネ・パーペは2006年ザルツブルグ音楽祭の魔笛でもザラストロ役で、目の周りを黒く塗ってパンダのような顔でしたが、威厳のある素晴らしいザラストロでした。
演奏ですが、録音のせいでしょうか、きれいなのですが音に厚みがないというか臨場感に欠けるように感じました。また歌を英語で唱っているせいでしょうか、ミュージカル風に聴こえて、全体に軽く感じました。オペラは喜劇であっても光と影の部分がはっきりしていて、ストーリーはいい加減でも心の奥底に届く深いものを感じますが、この映画は軽くて、観終えて疲れないのが良いと思います。←これは悪口ではありませんョ。この映画は好きです。録画したものは保存版にして、これから何度も観ると思います。
何と言ってもルネ・パーペはパンダメイクより素顔のほうが良いですわ。

こちらはとっても楽しい魔笛のHPです。数字キーを使ってフルート演奏が出来たり、同じ花を合わせる神経衰弱や3人の侍女のモグラたたき、モノスタトスの鏡割りなどのゲームがあります。クリアーすると特典映像が出てきます。ガスマスクを追っかけるだけの単純なゲームもハマりますョ~Hm♪Hm♪Hm♪、Hm♪Hm♪Hm♪Hm♪、、、

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