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ガイアが見つけたのは天の川銀河の大衝突の証拠

2018年07月27日 | 宇宙 space
約100憶年前に天の川銀河と矮小銀河の衝突合体があった… っという証拠が見つかりました。

この銀河衝突は天の川銀河にとってこれまでで起こったもののうち最も大規模なもの。
位置天文衛星“ガイア”の恒星データから見つかったそうですよ。


銀河内にある衝突の証拠

今回見つかったのは、およそ80~100憶年前に矮小銀河が天の川銀河に衝突した証拠。
研究には位置天文衛星“ガイア”の恒星データが用いられています。
  矮小銀河は数十億個以下の恒星からなる小さな銀河。

衝突した矮小銀河は短時間のうちにバラバラになり、銀河に含まれていた星々は天の川銀河の中心まで近づく針のように細長い軌道を描くことになります。

これは、矮小銀河が非常に細長い楕円軌道で接近し、天の川銀河に衝突したという証拠になり、矮小銀河の残骸は今も天の川銀河の中に存在しているんですねー
○○○
相互作用する銀河の例、おとめ座のNGC 5426(右上)とNGC 5427(中央)。
天の川銀河と矮小銀河の衝突もこのような現象だったのかもしれない。
“ガイア”はヨーロッパ宇宙機関が運用する位置天文衛星で、天の川銀河に属する恒星の位置と速度をきわめて精密に測定・記録しています。
  “ガイア”のおかげで研究者は、
  星々の位置と運動をこれまでにない精度で知ることができるようになっている。


この研究では、“ガイア”で得られた天の川銀河の星々の動きを、動径方向と円運動方向の成分に分けてプロット。

すると、動径方向に大きな速度を持つ星の集団がソーセージ形の分布となって現れることに…
っということで研究チームは、衝突した矮小銀河に由来する星々の軌道に“ガイア・ソーセージ”、矮小銀河は“ソーセージ銀河”と呼んでいます。
○○○
“ガイア”で得られた700万個の恒星の速度分布。
銀河円盤の星々は約200キロ秒で回転している(図の青い部分)。
それとは別に動径方向に大きな速度を持ち、
円運動方向の速度はほとんど持たない星の集団が
ソーセージのような横長の楕円形に分布している。


衝突は大規模だった

天の川銀河では今でも、いて座矮小銀河などの小さな銀河との衝突合体が続いています。

ただ、ソーセージ銀河はこうした矮小銀河よりずっと大きかったんですねー

ガス・星・暗黒物質(ダークマター)を合わせた総質量は天の川銀河の質量の約10%、太陽質量の100憶倍以上だったと考えられています。

ソーセージ銀河の衝突によって、天の川銀河の円盤部は大きく膨らんだか、あるいは分裂して、再生するまでには長い時間がかかったのかもしれません。

衝突したソーセージ銀河の残骸は天の川銀河の内部にばらまかれ、銀河中心部のバルジと銀河を取り巻く恒星ハローになったと考えられます。

こうした特徴は銀河衝突の数値シミュレーションでも再現されていて、ソーセージ銀河に由来する星々は長く引き伸ばされた軌道を持ち、衝突後に天の川銀河の円盤が大きく厚く成長することで、さらに細長く伸ばされるという結果が得られています。

さらに、このような銀河の再構築が起こった証拠は、矮小銀河から受け継いだ星々の軌道の大きさにも表れることになります。

ソーセージ銀河の星は細長い軌道で天の川銀河の中心を回りますが、軌道の遠点(銀河中心から最も遠い点)までの距離はどれもほぼ同じなんですねー

ソーセージ銀河からもたらされた星々がこのように同じ距離でUターンするので、天の川銀河のハローの密度は星々がUターンする点を境に大きく下がっているそうです。

さらに研究チームが挙げた成果には、ソーセージ銀河によって天の川銀河に持ち込まれた球状星団(8個)の発見があります。

小さな銀河はふつう球状星団を持っていないので、ソーセージ銀河は複数の球状星団を持つほど大きかったことになります。

天の川銀河の歴史の中で、これまでにたくさんの小さな衛星銀河が衝突合体をしてきました。

でも、今回の衝突が最も大規模なもののようですね。


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