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彗星がアヒルの形になったのはなぜ?

2015年10月20日 | 彗星探査 ロゼッタ/フィラエ
チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星は、
46億年前に2つの小さな天体が合体して、おもちゃのアヒルのような姿になった。
っということが分かったようです。


まだ解明できていないこと

ヨーロッパ宇宙機関の彗星探査機“ロゼッタ”が、
チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に到着したのが、およそ1年前のこと。

史上初めて彗星の周回軌道に入った“ロゼッタ”は、
彗星に関して数々の新発見をもたらしてくれました。

例えば、
表面は予想されていたほど滑らかでなく凸凹が多いことや、
炭素を豊富に含む暗色の化合物で覆われていて、水は驚くほど少ないことなど。

でも、まだ科学者たちが解明できていないこともあるんですねー

それは、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星が、
なぜ、おもちゃのアヒルのような奇妙な形になったのか?
っということです。

チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星は、
大きな体(直径約3.2キロ)と小さな頭(直径約1.6キロ)という、
球に近い2つの突起部でできています。

なので生い立ちとして、
  小さな2つの彗星がぶつかり、くっついたままになっている
  もともと1つの塊が浸食によって現在の形になった
などが考えられます。

そして今回、巨大な“宇宙のアヒル”は、
2つの物体が衝突してできたという論文が発表されることになります。
おもちゃのアヒルのような奇妙な形から、
彗星表面への着陸が容易でないことが想像できる。


浸食説と衝突説

チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の「首」からは、
大量の物質が噴き出していました。

なので科学者たちは、
「この箇所からの噴出による浸食で彗星が独特の形状になった」と、
推測することになります。

ところが、同じ活動が彗星のあちこちで見つかることに…

「首」の浸食が他の部分に比べて、著しいわけではないことが分かります。

今回の研究では、“テラス”と呼ばれる複数の地点を慎重に分析。

“テラス”とは、
本来彗星の内部にある層が、表面の剥離などによって露わになった場所で、
彗星の「頭」と「体」に確認されています。

さらに“ロゼッタ”が昨年の冬に発見した、
深く落ち込んだ穴の壁にも見ることができます。

これらの層が、すべて同じ1つの核に向かっていれば、
ちょうど1つのタマネギをアヒルの形になるように削った場合と同じで、
浸食説の強力な証拠になります。

一方、層の方向が一致していなければ、
もともと別個に存在していた2つの天体が合わさったことを示すことになるんですねー

ただ、外観だけでは層の向きを判断できないので、
研究チームは“ロゼッタ”の画像を使って彗星の層のコンピュータモデルを作成。

部分的に露出した“テラス”を画面上でつなぎ合わせて、
彗星の内部で、層がどのようにつながっているのかを描き出しています。


衝突は軽い自動車事故くらいだった

作成したコンピュータモデルにより研究チームが出した結論は、
この彗星が元は2つの天体だったということでした。

「頭」も「体」も内部の層は似ていたのですが、
層はそれぞれの突起部の核を取り囲んでいました。

つまり、1つの塊だった場合に想定される、
唯一の核に向いていなかったんですねー

また、2つの小さな物体が高速で衝突すると、どちらも粉々に砕けてしまうので、
現在の形の元になった2つの天体の衝突は、それほど激しくはなく、
初期の太陽系で起こった軽い自動車事故程度の規模だったようです。


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