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月の南極域を調べる世界初の探査機、インドの“チャンドラヤーン2号”が打ち上げに成功!

2019年07月28日 | 月の探査
インド宇宙研究機関が7月22日に月探査機“チャンドラヤーン2号”の打ち上げに成功しました。
月への着陸は9月上旬になるようです。


月への軟着陸は成功すれば世界で4番目

7月22日18時13分(日本時間)。インドのサティシュ・ダワン宇宙センターから“GSLV-Mk III”ロケットで、月探査機“チャンドラヤーン2号”が打ち上げられました。

当初の打ち上げ予定は7月15日。直前でヘリウムガス漏れとみられる不具合が見つかり打ち上げは延期されていました。
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“GSLV-Mk III”ロケットにより打ち上げられる“チャンドラヤーン2号”
ロケットは正常に飛行し、打ち上げから約20分後、予定の軌道に達したため探査機はロケットから切り離され、打ち上げは成功。
探査機の切り離し直後までの様子は、ロケットに搭載されていたカメラにもはっきりととらえられていたそうです。

その後、“チャンドラヤーン2号”は約1か月かけて月を目指し、月周回軌道に入るのは8月下旬。

9月7日には着陸機“ヴィクラム”が月への軟着陸を実施。
月の南緯70度付近にある2つのクレーター“マンチヌスC”と“シンペリウスN”の間の大地が着陸地点になります。
  着陸機“ヴィクラム”の名前は、
  インド宇宙工学の父と呼ばれる物理学者でインド宇宙研究機関の初代所長の
  “ヴィクラム・サラバイ”に由来している。


軟着陸に成功すれば、旧ソ連、アメリカ、中国に次いで世界で4番目の成功になるんですねー

着陸すると“ヴィクラム”に搭載されていた探査車“プラギャン”が送り出されます。
  “プラギャン”はサンスクリット語で知恵や英知の意味。

“ヴィクラム”と“プラギャン”は、月面上の昼1日(地球の約14日間)をかけて、着陸地点付近の月面を調査。
一方で周回機は、上空100キロから約1年にわたって探査を行います。
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着陸機“ヴィクラム”と探査車“プラギャン”


水に関する新しい発見に期待

“チャンドラヤーン2号”のミッションでは、地形や月震、鉱物の同定と分布、地表の化学組成、表土の熱物理学的な特性、月の薄い大気組成を調べるための観測機器が準備されています。

これらの機器により、月の表面近傍のプラズマ環境や月震活動の測定、水分子の分布などが調査される予定です。

特に水に関しては、月の南極が注目の領域になります。

南極には太陽光がずっと当たらない影のままの領域(永久影)が北極よりも多くあり、その周りに水が存在している可能性があります。

2008年に打ち上げられた探査機“チャンドラヤーン1号”によって、月面に水分子が存在する証拠が発見されています。

その水の起源に迫るためには、月面や表面下、外気圏(ごく薄い大気の層)における水分子の分布範囲を詳しく調べる必要があり、“チャンドラヤーン2号”による観測データから手掛かりが得られるかもしれません。

また、南極域には“コールド・トラップ”と呼ばれるクレーターが存在しています。

“コールド・トラップ”では、クレーター内に堆積した氷が上空の大気を冷却して冷たい空気の層を形成。
この冷たい大気の層が遮蔽物のようになることで、クレーター内の氷を安定した状態に保っています。
太陽系初期の歴史が、このクレーター内に化石のように残されていると考えられているんですねー

月の南極域を調べる世界初の探査機になる“チャンドラヤーン2号”。
インドだけでなく、世界もこのミッションに注目しているはずです。
月よりも遠い天体を目指す将来のミッションを推進する発見(水に関する発見とか…)があるといいですね。


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