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大赤斑が大気を温めている!? 太陽から離れているのに木星上層大気は1300度もあるようです

2016年08月03日 | 宇宙 space
木星は太陽から遠く離れているので低温の世界だと思いますよね。
でも、その木星の上層部は摂氏500度以上もあるんですねー

“熱圏”と呼ばれるこの層の存在は、
地上の天体望遠鏡やNASAの探査機“ボイジャー”によって40年前に明らかにされます。

ただ、その熱源は今でも不明のまま…

今回の研究では、ボストン大学の研究グループが、
赤外線で木星の高層大気を観測。

すると、その一部が周囲よりもさらに高温になっていることが明らかになります。

その一部とは、地球数個分ものサイズを持つ太陽系最大の嵐、
大赤斑の上空でした。

大赤班はハリケーンのような構造になっていて、
ガスが時速680キロという高速で渦巻いています。

こんなに高速な回転でも、
大赤斑のサイズの大きさから、ガスが1回転するのに6日はかかり、
その上空800キロのエリアは1300度にも達しているんだとか…

このことは検証に1か月を費やし、否定のしようのない事実だそうです。
大赤班の上層大気が高温になる概念図

なぜ、このようなことが起こるのでしょうか?

原因は、大赤班が周囲のガスを攪拌(かくはん)して、
上方へと向かう波を送ることにあるようです。

大赤斑上空で荒れ狂う大気の流れによって、流体力学的な重力波と音波が発生。

例えると、ギターをかき鳴らした際の弦の動きにあたるのが重力波で、
空気の圧縮にあたるのが音波になります。

これら2種類の波が合わさったものが大赤班によって上層大気へ送り込まれ、
海岸に打ち寄せる波のようにぶつかり、温度上昇を引き起こしているようです。

大赤斑の北半球の上空だけに高温部分が現れることの説明や、
温度が常に高いのかどうかの確認など、まだ未解決の問題点もあります。

ただ今回の研究成果が、
木星の下層大気と上層大気との間で起こっている相互作用を示す、
決定的な証拠へとつながるものになるのかもしれません。

大赤斑の活動と上層大気の高温の関係が、はっきりと説明できるようになれば、
40年間続いた謎も解明できるかもしれませんね。


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