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彗星探査機“ロゼッタ”は、一時制御不能に陥っていた

2015年05月10日 | 彗星探査 ロゼッタ/フィラエ
人類史上初の「彗星への探査機着陸」を成功させた、
ヨーロッパ宇宙機関の周回探査機“ロゼッタ”。

この“ロゼッタ”が、
追跡中の彗星から発生する、チリとガスの爆風の中に突入した後、
位置制御や地球との通信を行う機器類が、
一時機能不能になっていたそうです。
彗星探査機“ロゼッタ”から切り離される実験用着陸機“フィラエ”
(イメージ図)

ヨーロッパ宇宙機関によると、
探査機“ロゼッタ”は、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に急降下して接近していたときに、
重大な困難を経験…

“ロゼッタ”は現在、正常な状態に戻っているのですが、
通常の科学的作業の再開には、もう少し時間がかかる見込みです。

それと“ロゼッタ”が、
彗星にこれほど接近することは、もう二度とないそうです。


迷子になった“ロゼッタ”

探査対象になっているチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星は、
太陽に刻一刻と近づいています。

太陽熱によって表面温度が上昇すると、チリは彗星表面からはぎ取られ、
そして熱せられたガスが、宇宙空間に噴出すことになります。

この壮観な天体ショーは、運が良ければ、彗星が太陽に接近通過する際に、
明るく輝く“コマ”として地球から見ることができます。

でも、彗星表面から高度14キロ以内に突入した“ロゼッタ”にとって、
この噴出現象は、予想外の規模で問題となったんですねー

彗星から噴出している濃密なガスとチリの中を飛行することで、
“ロゼッタ”に搭載の太陽電池パネルは、その抵抗にさらされてしまうことに…

さらに、星を自動追跡して位置を制御する“ロゼッタ”の追跡装置が、
彗星から飛来する何百個もの破片を星として誤検出。

その結果、“ロゼッタ”は軌道の外に流され始め、
地球上の管制センターとの通信に使用されるアンテナの向きも、
地球の方向からズレ、通信状態が不安定になりました。

ただ、“ロゼッタ”はその後、自動的にセーフモード入るんですねー
これにより、“ロゼッタ”は遠く離れた地球との通信の継続を試みるため、
観測機器すべての電源を落としています。

そして、彗星から約75キロ離れた時点で、“ロゼッタ”の追跡機能は復活。
自らの位置を再検出しています。


“ロゼッタ”は現在、彗星から400キロ離れた安全な距離に位置していて、
今後、100キロ以内にまで戻される予定です。

彗星が太陽に最も接近する“近日点”に向かって進むにつれ、
チリとガスの危険性は、さらに大きくなる可能性が高くなります。

なので、今後の彗星への接近探査は、
これらのリスクを考慮して、見直す必要がありますね。


こちらの記事もどうぞ ⇒ “ロゼッタ”が彗星コマで起こる分子分解プロセスを解明