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宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

米空軍のスペースプレーン“X-37B” 22か月のミッションを終えて帰還

2014年10月23日 | スペースプレーン
米空軍の無人宇宙往還機“X-37B”が、
10月18日に3回目のミッション(OTV-3)を終えて、
カリフォルニア州のヴァンデンバーグ空軍基地に着陸しました。

飛行期間は22か月にも及んだのですが、
宇宙空間でどのようなミッションを行っていたのかは、
謎に包まれているんですねー
“X-37B”は2012年12月12日に、
アトラスV 501ロケットに搭載され、
フロリダ州にあるケープ・カナベラル空軍ステーションから打ち上げられました。

“X-37B”は、製造をボーイング社が担当し、米空軍が運用する無人の宇宙往還機(スペース・プレーン)で、
完全な自律飛行が可能で、スペースシャトルのように再使用ができるように造られているんですねー

これまでに2機が製造され、
1号機は2010年4月22日に打ち上げられ、同年の12月3日に帰還。
また、2号機は2011年3月5日に打ち上げられ、2012年6月16日に帰還しています。
今回のミッションは、1号機の2回目の飛行だったそうです。

ただ、この3回のミッションに関して、その内容は明らかにされておらず、
軌道上で何を行っていたのかは不明なまま…
こうした宇宙往還機を飛行させること自体が主目的なんでしょうが、
おそらく背中にあるペイロード・ベイに何らかの装置や機器を搭載し、
宇宙空間で試験や実験を行っているんでしょうね。

軌道上の衛星を観測することを趣味にしている愛好家らによれば、
飛行中に何度か軌道変更をしていることが確認されています。

またカタログスペックでは、
“X-37B”の軌道上での滞在可能期間は270日とされているのですが、
前回のミッションでは469日。
そして今回はさらに上回る674日間、約22か月間にも及んでいます。

米空軍によれば、2015年に4回目となるミッションを行う予定で、
おそらく2号機の2回目の飛行にあたると思われます。

また、今月8日にNASAが発表したところによれば、
退役したスペースシャトルが使用していた格納庫を、
“X-37B”向けに改装する計画があるようです。

なので米空軍としては、
今後も長きにわたって“X-37B”計画を進めるようですね。

予備設計が完了! スペースプレーン実証機“XS-1”

2014年09月01日 | スペースプレーン
ノースロップ・グラマンと
スケールド・コンポジッツ、ヴァージン・ギャラクティックの3社が、
アメリカ国防高等研究計画局(DARPA)のスペースプレーン構想、
“XS-1”実証機開発に向けた予備設計を完了したことを発表しました。

DARPAでは、これまでの使い捨て型ロケットに代わる、
より迅速に、そして安く人工衛星を打ち上げる手段の開発を目指し、
スペースプレーンの研究を進めてきました。

そのための実験機として、
“XS-1”と名付けられた機体の開発計画を立ち上げ、
アメリカの航空宇宙企業に提案を呼び掛けていたんですねー

そして今年の7月15日のことです、
DARPAは、その提案の中からボーイング社とブルー・オリジン社のチームと、
マステン・スペース・システムズ社とコア社のチーム、
最後にノースロップ・グラマン社とヴァージン・ギャラクティック社のチームに対して、
資金提供を行うことを発表します。

これまでにボーイング社とマステン社はイメージ図を公開していて、
ノースロップ・グラマン社が最後になっていたんですねー

ノースロップ・グラマン社のチームには、
同社の子会社のスケールド・コンポジッツ社も参加していて、
商用宇宙船“スペースシップ1”や“スペースシップ2”の開発で培われた技術が、
活かされることになります。

また、間もなく宇宙旅行の商用運航を開始するヴァージン・ギャラクティックが、
運用の支援を行うそうです。

また、ノースロップ・グラマン社自身も、
無人偵察機“グローバル・ホーク”を開発した実績があり、
自律飛行システムを開発する能力は折り紙付きなんですねー

“XS-1”のゴールは、
第1段が、マッハ10以上の極超音速飛行ができるスペースプレーンで、
第2段が、そこから発射される約1.3トン~2.2トンほどの衛星を、
地球周回軌道に送り込むことにあります。

さらに、1回の飛行あたりのコストは約5億年未満で、
スペースプレーンは10日に10回の飛行が行えることが条件になっています。

今回選ばれた3組の企業は、
3900万ンドルの費用で、13か月をかけて実証機を開発することになります。

DARPAでは今後、2015年の終わりまでに、
この3チームの提案の中から1つを選択し、
その後、本格的な開発を始めることになります。

そして打ち上げは2018年を目指しているんですねー

“DARPA” 衛星打ち上げ用スペースプレーン開発に着手

2014年07月25日 | スペースプレーン
2014年7月15日、国防高等研究計画局“DARPA”が、
低コストで人工衛星を軌道上に投入できる、再使用型宇宙船Experimental Spaceplane(XS-1)の開発に着手すると発表しました。

XS-1は、衛星打ち上げのコスト削減と、
打ち上げ準備期間の短縮を目指して、
“DARPA”が進めてきたスペースプレーン
(再使用型宇宙船)の構想で、軍用・民間用のデュアルユースとなります。

XS-1の構想では、再使用型の第1段、超音速スペースプレーンが弾道飛行を行い、
上空で現行のロケットと同じ、使い捨て型の第2段を切り離します。

第2段は、小型衛星を地球低軌道に投入することになります。

そして、地球に帰還した第1段は、モジュール型の部品や耐熱部品を交換し、
すぐに次の打ち上げの準備を整えることが可能になります。

技術面の目標としては、10日に10回の打ち上げ、マッハ10以上の速度、
1350~2250キロのペイロードを、1回あたり5万ドル以下のコストで打ち上げることを目指しているんですねー

今回“DARPA”は、XS-1の開発フェーズ1に参加する、以下の3組の企業を選定しています。
 ・ボーイング及び、
  ブルーオリジン(アマゾンのジェフ・ベソスCEOが設立、NASAの商用有人宇宙船計画に参加)
 ・マステン・スペース・システムズ(Xプライズ NASA月着陸機チャレンジで優勝した宇宙ベンチャー)
  及び、エックスコア(再使用型宇宙船リンクスを開発中)
 ・米防衛大手ノースロップ・グラマン及び、
  ヴァージン・ギャラクティック(弾道飛行型宇宙旅行の商用運行を間もなく開始)

3組の企業には、フェーズ1の段階でXS-1の試作機開発などの課題が設定されていて、
達成度によって“DARPA”から技術的実現可能性の評価を受けることになっています。

“DARPA”は昨年、XS-1よりもさらに小型の45キロ程度の衛星を、
航空機から空中発射して軌道に投入する“ALASA”構想をスタートさせていて、
こちらはボーイングが開発企業として選定されています。

スペースプレーンの飛行実験に成功! でも宇宙旅行の実現には…

2014年06月12日 | スペースプレーン
エアバス・ディフェンス&プレーン社が、5月1日から4日かけて、スペースプレーンの飛行実験を、
シンガポール沖約100キロの南シナ海で実施しました。

実験機の大きさは実機の1/4で、AS350エキュレイユに吊るされて高度3000メートルへ運ばれたあと、切り離されて単独飛行を開始。

地上からの操縦で飛行したのちに、無事に着陸し回収れました。


エアバス社のスペースプレーンは、
エアバス社の前身のひとつ、EADSアストリウム社が2006年に提案したもので、
それをエアバス社が引き継ぎ、開発を続けていたものです。

同機は、普通のビジネスジェット機の後部に、ロケットエンジンを取り付けたような格好をしていて、
4名の乗客を乗せることができるんですねー

構想によれば、
離陸から高度12キロまではターボファン・ジェット・エンジンで、通常の飛行機のように飛行。
そのあと、メタンと液体酸素を推進剤とするロケット・エンジンに点火、
一気に高度60キロまで上昇し、慣性飛行で弾道を描きながら高度100キロに到達して降下、
高度15キロで再びターボファン・ジェット・エンジンを使い、
通常の飛行機のように着陸するそうです。

でも、一回の飛行時間はおよそ90分で、無重力状態となるのはおよそ3分間。
そして気になる料金は、1人あたり約2800万円になんだとか…

機体のコンセプトや飛行プロファイルは、
すでに破産したロケットプレーン社が開発していたロケットプレーンXPによく似ているようですが、
比較してしまうのは、ヴァージン・ギャラクティック社の“スペースシップ2”ですよねー

ただ現時点では、今後の展望や宇宙旅行を始める具体的な時期など明らかにされていないので、
ヴァージン・ギャラクティック社の周回遅れといったところでしょうか。

スペースプレーンは15年後に実現?

2013年12月07日 | スペースプレーン
飛行機のような翼で雲を突き抜け、地球の周回軌道まで飛ぶ…

スペースプレーンは、月を目指す宇宙開発競争が熾烈さを増していたころ、
人を乗せて宇宙に行き、スムーズに滑走路に着陸して戻ってくる。
そういう時代が、いつか来ると信じられていました。

ただ、2011年のスペースシャトル引退で、スペースプレーンの実現が先に延びたように感じたのですが、最近、アメリカ政府や宇宙関連企業の開発意欲が、再び活性化してきているんですねー

先進技術開発に力を注ぐ、アメリカ国防総省の国防高等研究計画局は、
11月に約14億3000万円の賞金を引っさげて“XS-1スペースプレーン”計画を発表しました。

打ち上げ1回あたり約5億1000万円のコストで、最大1800キロの人工衛星を軌道に乗せるという、アグレッシブなプランを募集しているんですねー

これは従来のロケット打ち上げのコストの10分の1程度にあたる、とんでも計画…
さらに打ち上げが5年後の2018年を予定していて、時間もありません。

国防高等研究計画局が求めているのは、「飛行機のように宇宙に行き、10日間に10回往還できる、完全に再利用可能な無人機」です。

言うのは簡単なんですが、どうなるんですかねー