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完全生菜食ではなく、一部生菜食とした場合の効果はいかに

2014年01月31日 | 食養

完全生菜食ではなく、一部生菜食とした場合の効果はいかに

 2014.1.13に「生菜食の是非について考える」と題して記事にしました。
 そこでは、部分的に生菜食を取り入れた場合の効果の有無については全く触れることができませんでした。よって、本稿において、それを説明したいと思います。
 しかし、これをどう評価して良いのやら、実はあまり自信がありません。小生が現在持ち合わせている乏しい知識から推測するしかありませんので、その点ご容赦ください。

 先ずは類人猿の食性からアプローチを試みます。
 ヒトはチンパンジーやゴリラと非常に近い種ですから、ヒト本来の食性は類人猿と同じと考えて良いのですが、チンパンジーは非常に興味ある肉食行動を取ります。
 彼らは時折オスたちが集団で狩猟し、捕らえた獲物を分捕りあって食べます。群によって頻度は異なるようですが、年間十数回にもなることがあるようです。
 これは、彼らが社会生活する中で積もり積もったストレスを解消するために行うようでして、腹が減ったから狩猟しようというものでは決してないです。また、食糧不足のときよりも食糧が豊富なときの方が頻発するとのことですから、代替食糧ではありません。そして、近縁のゴリラは狩猟をしませんから、動物性たんぱく質の補給目的でもありません。
 チンパンジーの主食は果物で、それが十分に手に入れば木の葉は食べないのですが、果物が欠乏すると木の葉もどれだけか食べるようです。それが、狩猟して動物の肉や内臓などを食べるときには、必ず木の葉も食べます。これは大変特徴的なことです。
 一方、ヒトの場合、欧米人は肉が主食と言っていいくらい肉をたくさん食べますが、肉を食べるときは生野菜も随分な量を摂るのが一般的です。その肉は日本人が好むものとは違って生肉に近いものです。チンパンジーの肉食時と同じ食文化です。
 日本人も肉をもりもり食べる場合は、よく焼けた肉であっても生野菜を欲します。その一例が、焼いたカルビをサラダ菜で包んで食べるという食文化です。これは、30年以上前に韓国を訪れたときに聞いた話ですが、日本人の旅行者か駐在員が
カルビ料理にサラダ菜を求め、これが日本人の間で先ず広まり、これは食べやすいとの評判が立ち、韓国人の間にも広まったとのことです。小生も、そうして食べたのですが、これならどれだけでも食べられ、もう一皿追加して食べたいと思ったほどです。

 このように、生肉かよく焼けた肉かは別にして、肉に生野菜という取り合わせは、チンパンジーにしろ肉食人種にしろ菜食人種にしろ、必須のものと考えて良いでしょう。
 煮たり茹でたりした野菜ではなく、生野菜でないと肉に合わない。これを体が欲するということですから、生野菜に何か大きな効果があると考えるしかないです。
 “肉には毒があり、それを打ち消してくれるのは生野菜の毒で、毒が毒を消す”とも言えます。これは、チンパンジーの場合は一面当たっていましょう。なぜならば、彼らは本来は肉食をしない草食性のゴリラと同様に純粋な植食性(※)ですから、肉は毒になりますし、また、彼らが暮らす熱帯の樹木の葉にはどれも皆、大なり小なり毒があるからです。
(※チンパンジーもゴリラも、
蟻(アリ)を好んで口にしますが、これは食と言うよりも薬(関節の消炎剤)として摂っていると思われますし、量的にもたかがしれていますから、昆虫食とは考えないことにします。)
 でも、人が食べる生野菜は品種改良されていて毒らしい毒は含まれていませんから、“これはちょっとどうか?”ということになります。しかし、小生は、ここに何か隠されているような気がするのですが、ただ単にそう思うだけで何ら科学的根拠はありません。

 次に、漢方の陰陽論から説明を試みましょう。
 大半の肉は、塩とともに体を温める食品の横綱と言えます。文明社会においては、肉の味付けに必須の塩ですから、調理した肉を食べれば、体はグーンと陽性に傾きます。
 いたって健康な人は陽性傾向にありますから、肉に塩という陽に陽では極陽になってしまい、体に熱がこもってしまいます。それでは具合が悪いですから、肉を食べるときには、体を冷やしてくれる生野菜
を自然と欲することになるのです。
 このように、肉に生野菜の取り合わせは、漢方の陰陽論で、うまく説明できます。

 先日書いた「生菜食の是非について考える」の中で、故・甲田光雄氏の長年の臨床経験から、年がら年中、毎日煮たり茹でたりした食品(陽性食品)ばかり摂っていると、体質はどんどん陰性に傾いてしまい、これはよくないことを述べました。このことからも、誰もが、大半が陰性食品である生野菜を意識して摂る必要がありましょう。
 かといって、年がら年中、毎日のように生野菜を摂る必要があるというものではないと思われます。真冬には外気によって体の芯まで冷えていることが多いですから、そうした場合の食事は、野菜であっても陽の陽(煮たり茹でたりし、かつ、熱いもの)が求められ、鍋料理や汁物が適しています。そして、春になり暖かくなってから、生野菜のサラダなどをいただくことにすればいいでしょう。また、真夏には陰性傾向にある人でも体に熱がこもりがちになりますから、夏野菜を生でパクパク食べて体を冷やさねばなりません。
 こうしたことは、意識しなくても体が自然と欲することですが、漢方の陰陽調和の理論からも言えることです。

 さて、これより表題に掲げました「一部生菜食とした場合の効果」について、小生が今現在思っている最大の効能を述べさせていただきます。
 限度を超えない範囲であれば、体は動かせば動かすほどに筋肉が鍛えられ、
体はよく動くようになります。同様に、頭も使えば使うほど頭の働きがよくなります。
 これと一緒で、胃や腸も限度を超えない範囲で鍛えてやれば丈夫になりましょう。ただし、過食、飽食は胃腸にとっては限度を超えたものとなりますから、これはだめです。
 胃や腸を鍛える最高の方法は、食事の質であり、何よりも胃壁や腸壁を刺激してあげることです。煮たり茹でたりした野菜は柔らかくなっており、刺激することは期待できませんが、生野菜はすり潰したものであっても、小さいながら硬い組織片がそのまま残っており、これが胃壁や腸壁を擦り、突き刺しもします。
 突き刺しの一例が山芋のとろろです。とろろが口の回りに付いたりすると痒みが生じたりしますが、これはシュウ酸カルシウムの針状結晶が皮膚に突き刺さることによるもので、これは同様に胃壁・腸壁にも突き刺さり、刺激することになりましょう。
 よって、生野菜を毎日食べれば、胃壁や腸壁が刺激され、それがために胃腸の蠕動運動が盛んになろうというものです。これによって、胃腸は鍛えられてだんだん元気になり、本来の役割を果たすようになってくれることでしょう。
 このことは、胃潰瘍の方、重い胃下垂の方などが、生野菜を生理的に受け付けないことからも推し量られます。胃がひどく荒れていたり、胃が極単に弱ければ、生野菜の刺激に耐えられませんから、吐き戻したり、停滞させる(膨満感が生ずる)しかなくなるのです。
 なお、極度の冷え症の方が生野菜を受け付けないのは、これ以上に低体温になっては生命維持に支障が生ずるとして胃腸が受入れを拒否するからでしょう。
 以上のことは、故・甲田光雄氏の著書「冷え症は生野菜で治る」及び「断食療法の科学」に書かれていることの要点を、小生なりに解釈して述べさせていただいたものです。ただし、とろろに関する説明の部分は小生の私見です。

 生野菜の効能については、この他に「植物酵素やビタミン・フィトケミカルなどが熱で壊されることがない」といったことが強調して挙げられることが多いのですが、小生はこれについては否定的に捉えています。植物酵素については2013.12.15の記事「酵素は誇大広告、でも発酵生成物は体にいい」で詳述しましたし、ビタミン・フィトケミカルが熱で壊されるとしても大したことはないと考えられるからです。
 その他の効能として、生野菜は多食できないから過食にならない点が挙げられます。これは確かなことですが、往々にして生野菜は体にいいからといって、通常の食事にオンして食べてしまい、その効果が発揮されるのはまれなものとなりましょう。

 いずれにしましても、生野菜が体にいいことは経験的に確かなことですから、大いにすすめられることになります。
 でも、長く続けてきた今までの食事に胃腸はそれなりに慣れ親しんでいますから、急激な変化には着いていけません。いきなり量多く生菜食を始めると、胃腸を壊す恐れがあります。甲田氏によれば、どんな場合も少しずつ食事内容を変えていって、胃腸を慣らしてやらねばならないとのことです。
 生菜食を始めるにあたって最も失敗するケースは、手作りの青汁とのこと。
 生野菜をあまり食べていなかった人が青汁が体にいいからといって、ミキサーやジューサーで大量に作ってそのまま飲むと、胃が丈夫だと思っている人でも胃を荒らすことが多いようです。最大の原因は、生の葉緑素が胃壁を過剰に刺激するからだそうです。
 よって、手作りする青汁は、青葉が主体であれば3倍量ぐらいになるよう水で薄め、かつ、ほんの少しの量から飲むようにせねばならないし、胃腸が青汁に慣れても、水で3倍量ぐらいに薄める必要があるこのことです。
 できれば、安全策を取って青汁を始める前に、大根や人参などの根菜のおろしで慣らし運転をするとよいとのことです。
 なお、青汁が飲みにくい場合は、最初のうちは、布で粗い部分(胃壁・腸壁への刺激が強すぎる)をこしとったり、塩を適量加える(陰性に陽性を加えて中庸にする)と、飲みやすくなり、胃腸への負担(もたれなど)も少なくなるようです。
 また、刻んだ生野菜をいきなりバリバリと食べ始めると、胃腸を壊す方がけっこう多いようです。これも、胃壁や腸壁への刺激過剰によるものです。
 そして、順々に生野菜の量を多く摂るようにしていくのですが、必ずそれに見合う分の他の食材、特に動物性食品や油物を思い切って減らしていくという食事へ切り替えていかないことには、生菜食の効能が十分には発揮されないことを、よく承知しておいていただきたいとのことです。

 ここからは小生の見解ですが、青汁にしろ、刻んだ生野菜にしろ、冷蔵庫でかなり冷やされたものを直ぐに胃に入れがちですから、胃腸を極端に冷やしてしまいます。
 胃腸を冷やすことほど健康に悪いものはないと言えますから、青汁なら常温にしてからゆっくり飲む必要がありますし、サラダや一夜漬けなどはよく噛んで口の中で温めてから胃に送り込んであげる必要がありましょう。
 また、生野菜を食べる時刻というのも重要です。朝食時に摂られる方が多いように思いますが、これは避けたいです。朝は体温が低く、胃の温度も低いです。その胃をさらに冷やしますから、胃への負担が大きすぎます。
 なお、胃にやさしい食事であっても、食後すぐに活動を強いられる朝ですから、胃への血流が細ってしまい、胃が十分に活動することができません。
 できれば、甲田氏も言っておられるように、朝食は抜くべしとなります。
 こうしたことから、生野菜は、胃の温度が上がってきていて、かつ、食後にたっぷり休憩が取れ、胃が十分に活動できる昼食なり夕食時に摂るべきものでしょう。
 最後に、肉ばっかり食べて生野菜をちっとも食べない方へ一言申し上げます。
 ヒトの親戚であるチンパンジーを少しは見習ってください。
 野生動物の食というものは、実に理にかなったものとなっていますからね。

 十分な説明ができないまま長々と書き綴ってしまい、読者の皆様には申し訳ありませんでした。なお、本稿は未定稿です。新たな知見が得られれば…いつになるか分かりませんが…追記したいと思っています。
 また、チンパンジーの主食は果物ですから、これがヒトにどのような効果を及ぼすかについて、記事を起こしたいと考えています。(追記:これについては、2014.2.23 「 果物は体にいいのか?人の健康を害するのか? 」と題して記事にしましたので、ご覧ください。)


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