一燈照隅

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清瀬一郎、冒頭陳述朗読禁止文(東京裁判3)

2006年06月15日 | 東京裁判
先日書きました、「三つの罪状(東京裁判2)」に書き方がまずくて分かりにくい部分がありましたので、清瀬一郎の東京裁判における冒頭陳述の一部抜粋を新たに書いてみました。
尚、この冒頭陳述部分は裁判で朗読を禁止されました。

ポツダム宣言
第5条 吾等ノ條件ハ左ノ如シ
吾等ハ右條件ヨリ離脱スルコトナカルベシ右ニ代ル條件存在セズ吾等ハ遅延ヲ認ムルヲ得ズ

ここでもう一つ問題になるのが、占領軍はポツダム宣言を守っていない点です。
「右条件より離脱することなかるべし」と書いてあるのに宣言書に書いてないことをしたのです。
占領軍は近代国家にあるまじき行為を行ったのです。


ポツダム宣言を受諾した時点では、国際法において「人道に対する罪」「平和に対する罪」は存在していませんでした。
当然のこと、ポツダム宣言に書いてある戦争犯罪人とは、戦争で両軍に於いて行われる通常犯罪のことしかあり得ません。有りもしない罪を作って裁いたのです。このようなことは良識有る国家が行うようなことではありません。
もし平和に対する罪、人道に対する罪が問われるなら、日ソ不可侵条約を破り、領土を侵略し、シベリア抑留にて数万人(人数が未だ不確定)もの日本人(朝鮮人も含む)を死なせたソ連こそ問われるべきでしょう。


清瀬一郎冒頭陳述(抜粋)
『日本は一九四五年七月二十六日聯合国より申入れたポツダム宣言を受諾し其後降服をしたのであります。本裁判所は此の降服文書の条項に基いて創設せられました。聯合国申出のポツダム宣言を全体的に受諾したりといふ意味に於て無条件に降服したりといふことは誤りではありませんが我々はポツダム宣言それ自身が一の条件であるといふ事を忘れてはなりませぬ。

ポツダム宣言はその第五条に「以下が我々(聯合国)の条件である、我々は断じて之
を変更することなかるべし」と明言して居ります。無条件降服といふ文字はポツダム宣言第十三条と降服文書第二項に使用せられて居ります。之はいづれも日本の軍隊に関することでありまして我軍隊は聯合国に無条件に降服すべきことを命じて居るのであります。こゝに無条件降服といふ文字を使用したるがためにポツダム宣言の他の条項が当事者を拘束する効力を喪ふのであると解すべきではありませぬ。

而して本件に於ては同宣言第十条に於て使用せられた「戦争犯罪」といふ文字の意味が重要な問題となつて居ります。そこで弁護人は日本側、換言すればポツダム宣言を受諾するに決定した時の日本の責任者が宣言受諾の時此の問題たる字句を如何なる意味に解したかを証明するでありませう。又一九四五年の七月末又は八月初に於て日本並に世界の文明国に於て此文字を一般に如何に解して居つたかといふことを立証する証拠も提出せられます。これに依り国際法に於て用ひられる右語句は「平和に対する罪」及「人道に対する罪」を包含しない事が明かとなります。以上は当裁判所が之を設定したる基礎たる憲章中の第五条のA及Cの犯罪につき管轄を有せずとの主張を支持するが為に必要であります。

ポツダム宣言受諾に依り日本は当時現に戦はれつゝあつた太平洋戦争に降服したのであります。降服のときに満洲事件、張鼓峰事件、ノモンハン事件について降服する考へはなかつたのであります。これを証するため満洲事変が昭和十年迄の間には一段落となつたといふ書証、ノモンハン、張鼓峰事件については各々其の当時妥協が成立したといふ証拠、ソ聯と日本との間には一九四一年四月に中立条約が成立したといふ事実を証する書証が提出せられます。中立条約附属の宣言書は最も重要であります。これには其の一部に於て「ソビエツト聯邦は満洲国の領土的保全及び不可侵を尊重し」なる字句があります。
ポツダム宣言の解釈及適用につきなほ之に附加した証拠を提出致します。』

ポツダム宣言

 吾等ハ日本人ヲ民族トシテ奴隷化セントシ又ハ國民トシテ滅亡セシメントスルノ意圖ヲ有スルモノニ非ザルモ吾等ノ俘虜ヲ虐待セル者ヲ含ム一切ノ戰爭犯罪人ニ對シテハ嚴重ナル処罰ヲ加ヘラルベシ日本國政府ハ日本國國民ノ間ニ於ケル民主主義的傾向ノ復活強化ニ對スル一切ノ障礙ヲ除去スベシ言論、宗教及思想ノ自由竝ニ基本的人権ノ尊重ハ確立セラルベシ

十二
 前記諸目的ガ達成セラレ且日本國國民ノ自由ニ表明セル意思ニ從いヒ平和的傾向ヲ有シ且責任アル政府ガ樹立セラルルニ於テハ聯合國ノ占領軍ハ直ニ日本國ヨリ撤収セラルベシ

十三
 吾等ハ日本國政府ガ直ニ全日本國軍隊ノ無條件降伏ヲ宣言シ且右行動ニ於ケル同政府ニ對ノ誠意ニ付適當且充分ナル保障ヲ提供センコトヲ同政府ニ對シ要求ス右以外ノ日本國ノ選択ハ迅速且完全ナル壊滅アルノミトス


引用
「東京裁判 日本の弁明」(脚下未提出弁護側資料抜粋)小堀桂一郎編



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8 コメント

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Unknown (練馬のんべ)
2006-06-16 07:36:02
大いに参考になりました。いろいろコメントしようと思ったのですが、長くなりすぎたので自ブログに記載してTB、その文中にこちらへのリンクも貼らせて戴きました。事後で申し訳ありませんが了承頂ければ幸いです。
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Unknown (まさ)
2006-06-16 10:08:32
練馬のんべさん、

この程度の稚拙なブログでも宜しければ、転載もリンクも自由にどうぞ歓迎します。

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ありがとうございます (J)
2006-06-16 11:52:29
我が国はポツダム宣言を無条件に受け入れたわけであって、ポツダム宣言自体が条件となっていた。

それなのに連合軍はポツダム宣言の枠を全く無視した上で『無条件降伏』という言葉だけを拡大解釈して利用したんですね。
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Unknown (まさ)
2006-06-16 22:28:07
Jさん、

無条件降伏でないことを知っていて、日本は無条件降伏したと言う輩が一番たちが悪い。
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完璧な弁論 (鯉国)
2006-06-17 21:32:12
清瀬一郎の堂々たる弁論ですね。

是が非でも有罪にしたい欺瞞法廷としては、微塵も採用できない論述です。

これはウェッブも困ったでしょう。

何から何まで、全て正論ですからね。
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Unknown (まさ)
2006-06-17 22:38:03
鯉国さん、

高柳賢三弁護人の冒頭陳述は全文却下されています。

ウエッブも困ったから、却下したのでしょう。

正論で来られると裁判という名の復讐劇が出来なくなるから。
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もっと明かりを (sakura)
2006-06-20 13:41:54
ここにメディアのスポットライトを当てて欲しいですね。
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Unknown (まさ)
2006-06-20 18:37:24
sakuraさん、

ポツダム宣言を読み返せば、いろんな面で占領軍の行ったことが宣言書違反かが分かります。

一番被害を受けたのは報道の自由を奪われたマスコミのはずなんですが、そのマスコミが占領軍の米つきバッタになってしまった。
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