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NPO法人美濃の森造隊だより

人と森林との最適な関係を探るため、岐阜県恵那市を中心に人工林の間伐をしながら森造りを行なうグループの活動報告です。

思惑の違い (2月6日)

2011年02月09日 | 間伐
一部間伐を始めてその後中断していた現場の山主さん宅に、今後の方針の打ち合わせに訪れました。
山主さんは間伐材を搬出したいと考え、林内作業車を購入しました。
そこで今回、間伐を進めながらの搬出段取りを打ち合わせるつもりでしたが、話は簡単には進みませんでした。
高齢の先代も話に加わると、自分で植えたヒノキへの強い愛着が言葉の端々に現れて来ました。
どうも我々の間伐作業に強い懸念があるようです。
そして、昨年の間伐実習で借りた現場では、切らなくてもいい木を切ってしまったとはっきりと指摘されました。
曲がっていたり先端が分岐していたりする材が一箇所に固まっていた場合、間伐後のギャップがかなり広く見え、それを後で見た山主さんには切り過ぎととられる場合があります。
しかし、安易な気持ちで迂闊に切ってしまったという疑念もぬぐえません。
指摘された部分がどちらに当たるのか今ははっきりしませんが、山主さんに懸念を抱かれるのはかなりまずい状況です。
一部取り掛かった現場も、明らかにまだ間伐が必要な場所ですが、これで今は続けることが難しくなりました。
一般的に今まで熱心に植林をし、枝打ちもしてきた山主さんほど間伐をしたがりません。
またかつての好景気への思いが強く、過剰に材の価格を高く見積もる傾向があります。
山主さんは自分の育てた木の1本1本に強い愛着が有り、財産としての価値に強い関心があります。
一方我々のようなボランティアは、森林の環境により強い関心を抱いています。
人工林の間伐は、思惑の微妙に異なる双方が互いに協力し合って活動出来る領域ですが、そのためには互いの思惑の違いを理解しつつ、歩み寄る必要があります。
そこが簡単そうで実は簡単ではありません。
行政や林業事業体や山主と、森林環境に思いを馳せる都市住民との思惑の違いを解消して溶け合わせるのは難しい作業ですが、そこを乗り越えなくては森林環境の改善は望めないでしょう。
森林の個人的な所有、公益性、誰がどの様な森林を目指して森造りをするのかといった問題の整理が必要です。
しかし、この問題の解決は、熊と人との共生の様に難しいのでしょうか。
ここはしばらく間をおいて様子を見守るしか無いようです。

予定していた間伐現場に入ることが出来なかったので、昨年の6月に間伐を終えた佐々良木の別な山主さんの現場に入りました。
切り倒した間伐材が折り重なって倒れて、足の踏み場もないような状態が気にかかっていましたので、経過観察をかねて林内整理をする事にしました。

作業後の様子です。
とりあえず玉切りし、材を大きく跨がなくても林内を歩けるようになりました。
倒れている材は市場ではほとんど値がつきませんが、なんとももったいない気がします。
山主さんが見たら尚更でしょう。
切り捨て間伐は、後味の悪さが残っていけません。
コメント
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