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『君がいる、いた、そんな時。』

2020年07月25日 | 映画(か行)
『君がいる、いた、そんな時。』
監督:迫田公介
出演:マサマヨール忠,坂本いろは,小島藤子,阪田マサノブ,岸本雄二他
 
観た順にUPして行くはずが、このところ劇場に通いすぎていて、
1日1本観た順にUPするマイルールを守っていると、
どの作品もUPする頃には上映終了間際になってしまうのです。
かと言って1日複数回UPするのはしんどいから、
どうしても先にご紹介したい作品は順序を無視してUPすることにしました。
 
テアトル梅田の上映スケジュールをぼんやりと眺めていたとき、
本作の舞台挨拶付きの回があると知りました。
どんな作品なのかなと思ったら図書室がどうとかこうとか書いてある。
図書館が出てくる作品は外せないでしょ、観てみよう。
 
舞台は広島県呉市の小学校。
その呉市出身の迫田公介監督の長編映画デビュー作なのだそうです。
 
岸本正哉(マサマヨール忠)は、父親が日本人、母親がフィリピン人。
ハーフであることをからかわれ、そこそこに酷いいじめを受けている。
そんな彼の心の支えは、毎日放課後に図書室へ行くこと。
本を読むのが好きで、自ら小説を執筆中の正哉に対して、
司書の山崎祥子(小島藤子)だけが優しく接してくれる。
 
同じクラスの香山涼太(坂本いろは)は変わり者として有名。
放送委員の涼太は、DJカヤマを名乗って校内放送に力を注ぐが、
うるさいだけでちっとも面白くない放送をみんな鬱陶しがって嘲笑うだけ。
それでも気にせずにマイペースで放送を続ける涼太に正哉は半ば呆れている。
 
ある日、またいじめられた正哉が、誰もいない屋上で鬱憤を晴らそうとしたところ、
どこからともなく現れた涼太が、「英語が話せるなら放送に参加して」と言う。
冗談じゃないと断る正哉だったが、涼太はしつこくつきまとう。
挙句、図書室までやってくると、正哉が祥子と過ごす時間に割り込んできて……。
 
演技初挑戦の小学生が主役とあって、上手だとは言いがたいのですが、
そのぶん、とても初々しい。
役の上での彼のことも、俳優としての彼のことも応援したくなります。
 
心ない言葉に傷つけられ、いじめに遭っているのに、
気づかないのか気づかないふりをしているのか、てんで頼りにならない担任教師。
自分がこんなにも悩んでいるのに、いじめられる原因の母親は能天気に見える。
でも、母親が口ずさむ歌の意味を知れば、能天気なばかりではないことがわかります。
 
フィリピーナだといじめられる正哉だけど、彼には愛情深い両親がいる。
一方、明るくふるまっている涼太は家庭環境に問題があり、
また、祥子の心にもとてつもなく大きな闇がある。
「自分だけどうしてこんな目に」みたいにふてくされた顔をしていた正哉が、
涼太や祥子の心の傷、そして母親の心の裡を感じて立ち向かいます。
 
この前日に観た『コンフィデンスマンJP プリンセス編』の豪華な舞台挨拶とは異なり、
監督がたったひとりで乗り込んできた舞台挨拶。
髪の毛金色なのに(笑)訥々と話す監督の真摯な態度に、頑張れと声をかけたくなりました。
監督が涙声になるもんだから、一緒に泣きそうになってしまった。(^^;
そんな監督に情が移り、書き溜めてある15本以上を保留してこれを先にUPする次第です。

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