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『ステップ』

2020年08月07日 | 映画(さ行)
『ステップ』
監督:飯塚健
出演:山田孝之,田中里念,白鳥玉季,中野翠咲,伊藤沙莉,川栄李奈,
   広末涼子,余貴美子,國村隼,岩松了,日高七海,角田晃広,片岡礼子他
 
毎週土曜日の晩は飲みすぎてたいていへろへろになるから、
日曜日の朝イチで映画を観に行くのはこのところ止めています。
朝イチは止めましたけれど、この日の晩はダンナ「電磁的会議」の日。
ならばその会議の隙に1本観ようと思い立ち、109シネマズ箕面へ。
そうそう、「電磁的会議」って、中国みたいやんと笑ったら、
正式にそういう表現になるのですってね。へ〜っ。
 
原作は重松清、同名の連作短編小説集。
大好きな作家ですが、どうにも受け付けない人がいるのもわかる。
この人の作品を嫌いだというと、自分が悪人にでもなった気がする。
そういうところが偽善的に感じられるのだと思います。
でも万人に薦められそうな作品です。
 
まだ幼い娘を遺して妻が突然亡くなってから1年。
武田健一(山田孝之)は義両親や義兄夫婦の申し出を断り、
ひとりで2歳半の娘を育てる決意をする。
 
トップセールスマンだった健一だが、
時間の融通の利く部署へ異動させてもらい、
娘の美紀を保育所へ送り届け、定時に上がって迎えに行く毎日。
料理に洗濯、掃除と家事に追われてくたくた。
それでも周囲の人々に見守られ、なんとか日々を送る。
 
あらすじにして書いてみるとこれだけですね(笑)。
これだけだからこそ、子育てというのがどれほど大変なものなのかがわかる気がします。
取り立てて何が起きるわけではない。
でも子どもを育てるだけでそれがドラマになるのですから。
 
2歳の美紀を中野翠咲、6〜8歳の彼女を白鳥玉季
9〜12歳の彼女を田中里念が演じています。
こんなにええ子に育つんか!?というぐらい、いい子。
お父さん、泣かずにはいられませんよね。
 
再婚など考えたこともなかった健一が、
営業に復帰したプロジェクトで出会うのが広末涼子演じる奈々恵。
娘に会わせたいと思った初めての女性で、そのときの健一がとてもいい。
父親に交際相手がいることに気づいている美紀が
「彼女、呼ばなかったの? 呼べばよかったのに」と言うのに対し、
健一は「順序が違うだろ」と言います。
まずはそういう相手がいることを娘にきちんと話し、
娘の了解を得てからでなければ彼女は呼ばないということなんですね。
順序って間違いがちなものじゃないですか。
気を遣えば遣うほど、相手のためだといいながら、
結局自分の都合のいいように物事を進めようとしてしまう。
 
重松清の小説は非常に優等生なので、
これほどまでに物分かりのいい小学生がたくさんいるとは思えません。
それはそれで変だし(笑)。
でも、こんなふうだったらいいなと思えます。
 
大事な人を喪った悲しみは決して乗り越えられないし、
乗り越えるものでもない。
ずっとつきあっていく。そういうものなのですね。

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