『Dust Bowl Ballads 』(1940 ) Woody Guthrie

2006年01月06日 | Folk/Country
アメリカの大恐慌下の、農民や庶民の厳しい生活や、西の約束の地を目指す、貧しい労働者たちの気持ちなどを代弁して歌い、反体制的な姿勢でも一躍人気を得たウディ・ガスリー。

歌詞や曲の構築、そして根無し草的な生き方全てに於いてボブ・ディランやその他のフォーク・シンガーたちに決定的な影響を与えた、伝説的な男、ウディ・ガスリー。

でも曲を聴いてみてくださいよ。歌詞に少し耳を澄ませてみてくださいよ。

そういった伝説的で偉大なイメージ、つまりちょっとした取っ付きにくさを吹き飛ばし、時空を超えてダイレクトに響いてくるのは、シンプルで美しい、人間の生き様を活き活きと写し取った歌詞であり、鼻声がどこか温かく、人間的で胸を打たれる歌声であり、最悪な状況の時にでも、ポッと心に灯がともる、ユーモアであります。

この盤はウディが1940年に録音した名盤『Dust Bowl Ballads』のブッダからのリマスター盤で、私の愛聴盤です。

めっちゃくちゃシンプル。音も歌詞も。
音はモチロン、ウディの一人弾き語りな訳で、歌われることも先に書いた様に、労働者たちの厳しい状況を歌ったもを集めた訳なんだけど、これが沁み入るのですよ。
聴いてると、コーヒーを思わず煎れたくなり、飲みながら、歌詞を見ながら、想いを馳せながら、今日も何度もリピート再生です。

元々私はこういった29年から33年くらい?にかけてアメリカで起こった大恐慌にまつわる農民や労働者達の生活の埃っぽいイメージに、すごーーく惹かれるところがあるんです。
ウォーカー・エヴァンズの写真とか、ジョン・フォードの『怒りの葡萄』といった映画(スタインベックの原作は未読)ですね、そのあたりのカンジの。
戦前のブルースとか、フォークとかも時代的にはも少し古いんですけど、めちゃ好きなのです。

特にエヴァンスの写真集には、心を捕らえれたままです。自分の心の原風景みたいなものが写っているんでしょうかね。
私がイメージする、どうしようもなく惹かれてしまうアメリカの原風景、私が憧れていたアメリカのオリジナルのイメージが、まさにここにあるというカンジです。
様々なイメージが喚起される、豊かで創造的な世界なんです、私にとっては。



                 Photographs By Walker Evans




そのイメージはね、決してキレイじゃないんですよ。
ホントに埃っぽくて、汚くて、貧しくて、ハードで、からっぽで。
だけどね、超シンプル。
「生きる」ということに対して超シンプル。
アメリカって元々シンプルなハズなんですよね。

そしてその辺りのイメージを音楽で言えばね、ドンピシャでウディのこの盤になるのです。
『怒りの葡萄』の話がモロに歌われる“Tom Joad“という名曲も収録されてるくらいですし。


ウディ・ガスリーという人が大好きな理由が、も1つあります。
それはこの人から漂うおおらかなユーモア。
例えばオクラホマの厳しい砂嵐にまつわることを散々シリアスに愚痴って(=Blues)おいて、最後のラインで「モテたきゃ、カリフォルニアの唄でも歌うんだな」と自分で落とすとことか。
人懐っこい歌なんですよ、この人の歌は。



風貌もひょうひょうとしていてナイス


この人は絵というか簡単なスケッチもよく書いていたようなのですが、ライナーノーツとかで垣間みれるそれがまた、すこぶる私にとっては魅力的なのですよね~。
歌と同じく人間性が出てるユニークで面白い絵なんです
そんなウディの画集を発見!05年の発売だって。
バイト頑張ろ。