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井の中の蛙、カイラス山巡礼に挑む!

夢のカイラス巡礼を終え、登山を再開しました。山岳信仰の延長上に四国遍路、カイラス山巡礼があり、原点の登山に戻ります。

コイカクからペテガリ縦走 その2 ・ 11年8月

2011-09-03 22:05:33 | 日高山系の山
 8月27日(土)

 朝3時半に目を覚まします。
辺りはまだ暗いのですが、今日は千メートルを超える急登を登らなければなりません。
出来るだけ朝の涼しい内に登るために早立ちを考えています。

 いつものお茶漬けの朝食を終えるとさっそく準備をします。
白〃と夜が明けてきます。
谷間から見る稜線の向こうに青空が広がっています。
今日も良い天気のようです。

 5:15分、出発準備が出来ました。
朝露を避けるために雨具のズボンを穿きました。
しかし、昨晩は気温が高かったようで笹の葉にもそれほど露が付いていません。
暑くなってきますので最初の休憩で雨具のズボンを脱いでしまいます。

 今夜のテントサイトはヤオロマップの山頂を考えています。
ヤオロマップの山頂で水が取れるという情報がありますが、万が一の場合を考えて5リットルの水を担ぎ上げることにしました。

 このコースは、中部日高にあって唯一夏道で稜線まで上ることが出来ます。
そういう意味では貴重なコースなのですが・・・
標高差千メートルの急登はさすがにきついです。
しかし、我慢して登るとコイカクシュサツナイ沢右股の正面に見慣れた1823m峰が見えてきます。
    
     1823m方の手前に昨年テントサイトにした1643mの
    ピークが見えてきます。

 上の方から降ってくる人達がいます。
すれ違いざまに挨拶すると北大の山スキー部の若者達でした。
ヤオロマップの水場情報を聞くと、そこそこの流れで湧いているとのこと。
私達の取って嬉しい情報でした。
彼らは、1839m峰を目指したようですが天候が悪くヤオロアップから引き返したようです。

 7:15分、この急登の途中1305mに唯一のテントサイトに到着です。
    
 このサイトは、横の谷に遅くまで残雪が残るようでなかなか良いテントサイトです。

 さて、ここから少し登るといよいよ斜面の傾斜が増してきます。
小刻みに休憩を取って水もドンドン飲みます。
気温が高くなってきているので脱水症状がでないように水分の補給には注意しなければいけません。
ヤオロマップの水場情報も貰ったので水の心配はなくなりました。

 9:13分、やっと、コイカク夏尾根かしらに到着です。
ここでゆっくり休憩を取ります。
Ko氏はこのコースは初めてですので山座同定を一緒に楽しみます。
    
     十勝幌尻岳が正面に見えます。

 ユーチューブにコイカク夏尾根到着の様子を貼り付けています。  
     http://www.youtube.com/watch?v=3UaJ9q2GSm4 

    
     南側に目を転じるとこれから歩くヤオロマップが見えています。

 コイカクの山頂まではダラダラとした尾根歩きです。
その途中に北大生の慰霊碑があります。
    
     日高で遭難した北大生の慰霊碑です。

 慰霊碑の前で静かに手を合わせます。

 15分ほど歩くとコイカクシュサツナイだけの山頂に到着です。
    

 目の前に今日のテントサイトとなるヤオロマップ、そこから左手に尾根を伸ばして1600mピーク、さらに、右手に折れた尾根の先にルベツネなどこれから歩く山々が見えています。


 コースはここからいった降ります。
    
     ハイ松の中を降りますが、ハイ松に鋸目が入っており枝がそれほど
    邪魔になりません。

 この辺りは、1839m峰へ向かってツァーも行われているせいか数年前に較べても格段にハイ松が整理されているようです。
(ツァーガイドさんが邪魔な枝霧をしているのでしょうか?)

 10:52分、ヤオロマップの窓に到着です。
ここにはテントサイトがあります。
    

 ヤオロマップの窓という地名は通称名です。
直ぐ脇に稜線まで突き上げる沢があり、その沢口がまるで窓のように見えるところからこの地名になっているようです。
ここから先はヤオロマップに向けてまた登らなければなりません。
    
     一番左がヤオロマップです。

 暑さのために水の消費がドンドン進みます。
温度計を見ると20度を超えています。
直射もきつくなっています。
そんな中で、この尾根を登っている途中で振り返るとコイカクからこちらに向かって歩いてくる人影が2~3人見えます。
私達のようにペテガリまで縦走するのでしょうか?

 13:05分、やっとの思いでヤオロマップに到着です。
     

 北の稜線を見るとスカイラインにカムエクが堂々とした姿を見せてくれます。
     
      うーん、やはりカムエクはいい山ですね!

 山頂のテントサイトでは2張りを並べて張るスペースがありません。
1839m側に少し降ったところにもテントサイトがあるはずですので見に行きます。
5分ほど降ったところに最適なテントサイトがありました。
     
      3人用1張+2人用1張が張れる広さがあります。

 さあ、テントを張り終えたら水場探しです。
水場は山頂から十勝側に降ったところにあるはずです。
    
      山頂からコイカク側にあるテントサイトから降ります。
      ちょうどKo氏が立っているところから降ります。
 山頂から標高差で60m~70m降ったでしょうか。
水場の目標は1mくらいの岩があるところです。
    
     水場から見た山頂方面です。

    
      小さな流れですが、1~2分で5百ccのペットボトルが一杯になります。

ユーチューブに貼り付けた水場の様子です。
     http://www.youtube.com/watch?v=8aT9FxsmNhM

 今回、目標となるピンクテープを貼り付けました。

     
  テントサイトを上から見たところです。
  なかなか良いロケーションでしょう。



ユーチューブに貼り付けた1839m峰 
    http://www.youtube.com/watch?v=tICTKYyUNvA&feature=mfu_in_order&list=UL

 タップリの水を汲んでくるとあとは何もすることがありません。
熱い体を冷やすために寝ころんでノンビリします。
目の前には1839m峰が見える贅沢な場所でKo氏と世間話をして時間を潰します。

 そうそう、On氏は風邪気味で熱があります。
途中の浦河で風邪薬などを買って飲んでいます。
何より要してきた日本酒を上二股で投げてしまったといいます。
それくらいの覚悟でなければ明日の行程をこなすことが出来ないと思ったそうです。
今回の縦走が困難なことは全員が承知しています。

良いパーティに恵まれたことに感謝しています。

    
    太陽が沈んでくると東側の空が赤く輝いてきます。
太平洋も白く輝き、この光景を十分に楽しみ寒くなってきたのでテントに入ります。 
今夜は沢音がないので静かに寝られそうです。
 

      

コイカクからペテガリ縦走 その1 ・ 11年8月

2011-09-02 07:09:06 | 日高山系の山
 今年3度目となる日高山脈主稜線の縦走に行ってきました。
このコイカクシュサツナイ岳(1,721m)からペテガリ岳(1,736m)間の縦走は主稜線に残っている登山道のうち私達にとって残された最後の部分になります。

2年越しで歩いてきた最後の部分ですが、この区間は標高の低い稜線が続くため藪の深さが問題です。
特に3日目のヤオロマップからペテガリCカールまでは、標高が低く藪が濃いだけでなく、ここへ足を踏み入れたなら水場もないので最後まで歩き通さなければなりません。
私達にとって最難関の部分なのです。

 今回の縦走は前回と同じSu氏、On氏、Ko氏に私の4人で挑みます。


 8月26日(金)

 朝5時に2台の車で札幌を出発します。
集合場所は、道央道の美沢パーキングエリアです。
ここでOn氏と合流します。
ここからは、まず、下山口となる日高側の神威山荘へ行って1台デポして、それから十勝側にあるコイカクの登山口へ向かいます。
今日は、この車の回送とコイカク登山口からコイカクシュサツナイ沢の上二股まで歩きます。

 朝五時から走り詰めに走って昼過ぎ1時前にやっとコイカク登山口の駐車場に到着です。
駐車場には車が5台ほど止まっています。

 さっそく荷物を詰めて登山準備をします。

 13:15分、いよいよ私達の縦走が始まります。
    
     天気は上々、まずは沢登りです。

 今回はこの沢登りの部分が2時間弱しかありません。
そこで沢靴とネオプレーンのスパッツは使わないことにして、替わりに沢用の地下足袋を用いることにします。
沢用の地下足袋は底がフェルトになっているので岩の上を歩いても滑りません。
何よりこうすることで沢靴に較べると大幅な重量軽減が出来るからです。

 最初のゴルジュです。
    
     ここ1週間以上雨が降っていないので沢水は清く澄んでいます。

 こんなゴルジュがありますが、このコースはきちんとした巻き道があります。
上々の天気と思って歩いていると小雨がぱらつきます。
上空は黒い雲が稜線に掛かり、どうやら夕立のようです。
雨具を着ることにして休憩していると、その雨も直ぐに止んでしまいます。
せっかく着た雨具を仕舞い込み、多少の雨は気にしないで歩くことにします。

    
 行く手に大きな砂防ダムが現れます。
2段に作られた砂防ダムですが、右岸にロープがフィックスされており難なく越えることが出来ます。
  
    
     順調に、沢を渡渉したり、川の両側にある巻き道を歩きます。

    
     二つ目のゴルジュです。

 14:55分、上二股に到着です。
思いの外順調に歩くことが出来ました。
さっそくテントを立てると、Su氏とOn氏は釣りに出掛けます。
私とKo氏は薪拾いです。

せっかく時間があるのですから焚き火を起こしオショロコマを焼いて食べようという算段です。
     
    
     Ko氏が起こした焚き火です。

 さて、釣果の方はというと
    
     ごらんの通りですが、これは、釣果の一部です。

 なかなか型の良いオショロコマもあり焚き火で焼いて食べます。
    

 型の小さなオショロコマは私が用意した油で唐揚げにします。

 今夜の夕食は、麻婆茄子です。
それに、オショロコマの串焼きと唐揚げ、豪華な食事を焚き火に当たりながら楽しみます。
軽くお酒も飲んで馬鹿話をしているとこれから歩く藪の深い稜線のことを忘れてしまいそうです。
このまま帰っても良いかなと思うくらいです。

 うーん、こんなにノンビリしていて明日からの縦走に耐えられるかちょっと心配です。
でも、この夜はとても楽しい夜でした。
暗くなると満天の星空です。
明日も良い天気のようです。
ほどほどの時間で外の食事を終えてテントの中へ入ります。

それにしても、沢音を聞きながら焚き火の炎を見つめていると心が癒されます。
今夜の食事は満足のいく楽しい食事でした!

エサオマンからカムエク縦走 ・ その3 11年7月

2011-08-09 10:35:13 | 日高山系の山
 7月28日(木)

 今日は下山だけですのでゆっくり出発すれば良いと思っていましたが、いつものように4時には目が覚めてしまいました。
昨夜は風も吹かず、疲れもありぐっすりと眠ることができました。

 On氏は写真を撮るといってテントを出ていきます。
しかし、山には雲が掛かっており日の出の太陽を撮ることは出来なかったようです。

 私はゆっくり起きて外へ出ました。
外はガスが切れだして遠くの山も見えてきます。
カムエクの山頂に登り、周囲の山々を楽しみます。
    
     昨年歩いたプラミッドピークからコイカク方面です。

 北側を見ると昨日歩いてきた山並みが見えます。
エサオマンはどこかと思って探しましたら一番奥にうっすらとした群青色に輝いています。
それはとても遠く見えました。
あそこから歩いてきたと思うと、「良く歩いたなぁ」というのが正直な感想です。

 昨日はガスガスの1日でした。
よく考えるとそれが幸いしたと思います。
水の消費量も随分抑えられましたので、まだ十分にあります。
何より、1732mコルからの頑張りがこの余裕を生んでいます。
山頂までの最後の登りは本当に辛かったのです。
でも、それを頑張ったからこそこの景観を見ることが出来るのです。
それは、ここまで頑張った者のみに与えられるご褒美みたいなものです。

    
     目の下には山頂下のテントサイトが見えています。
     皆さんパッキングの最中です。

 6:30分、いよいよ下山です。
カムエクの山頂から昨年歩いた道を下山します。
ここから先は一度歩いた道ですので迷う心配はありません。
まずはピラミッドピークとの分岐点を目指して降ります。

所々岩混じりの尾根ですが、登山道はハッキリしています。
ザックはすっかり軽くなっています。
足取りも軽く分岐点を過ぎ、8の沢カールには1時間30分ほどで到着です。

 ここで沢靴に履き替えます。
雪渓から染み出した冷たい水を腹一杯飲みます。
『美味しい!』ゴクゴク飲むとアッという間に5百のボトルが空になります。

 ここから三ツ股までは難所が続きます。
気を抜かずに慎重に降ります。
    
     三ツ股上部にある滝の巻き道を降るOn氏です。

 この滝の手前に昨年私達がコースミスをした地点があります。
私達は左岸にある巻き道だと思って登ったところが間違いで、そこは、直ぐ左に曲がり沢を渡らなければいけないかったようです。
よく見るとピンクテープが木に巻き付けられていました。

 しかし、このテープが見つけずらいために間違って枝沢を巻き道と思い歩いていく人が多いのです。

 (私達があった人達のいずれもがここでコースミスをしているようです。)

 9:40分、三ツ股に到着です。
ここまで来ると難所は越えたことになります。
時間に余裕があるのでゆっくりと休みます。

 すると、沢の下から登ってくる人影が見えます。
     

どうやら女性のようです。
ポツポツと登ってくる人影を見ているとどうやら3人いるようです。
10分位して私達が休んでいる岩に到着した人達は女性が2人、男性1人の若い3人組です。

挨拶を交わし話をしていると帯広労山に所属している人達でした。

 私達おじさんは、この縦走で会った初めて会った人達にちょっと興奮状態になっています。
しかも若い女性がいるのです。
お互いに写真を写し合い、いろいろな話をしました。

 彼女らと話していると、私が3年前に行ったアンナプルナサーキットで一緒だったOy氏を良く知っている人達でした。

 ここで写してもらった写真です。
    
     左からリーダーのSz氏、私、On氏、Km氏です。

 彼女たちと別れ8の沢出合いを目指します。
ここから8の沢出合いまでがちょっと分かりづらかったです。
巻き道を歩くのですが、右岸の巻き道はあまり使われていないのか荒れています。
そこを強引に降ります。
すると、しばらく歩いているうちにハッキリとした巻き道が見つかります。

12:40分、8の沢出合いに到着です。

3人の人達がテントを張って食事の支度をしていました。
男性2名、女性1名のパーティですが、年は私達より上でしょうか?
ここから会う人達は、ほとんどが3百名山狙いの人達でした。
話を聞くと皆さん本州から来ている人達でした。
8の沢出合いから数回の渡渉をする他は左岸沿いの道や巻き道を使ってドンドン降ります。

 13:35分、中ノ沢付近でOn氏とKm氏が所属している山の会の先輩とすれ違います。
彼らは、昨日入山するはずでしたが札幌が雨のため入山を1日延期したようです。
私は初めてお会いする人でしたが、トムラウシやニペソツの山行記録で読ませていただいた方でしたので初対面とは思えなかったです。
話が尽きないのですが、先を急がなければなりません。
お互いの健闘を祈って別れます。

 8の沢出合いからは巻き道を最大限利用してドンドン降ります。
前方の谷が開けてくると7の沢出合いが近いです。

14:30分、7の沢出合いに到着です。

 ここで、今回の縦走もほぼ終わりです。
ここからは駐車場までの林道歩きがあるだけです。

この林道歩きが疲れた身体には堪えます。
でも、今回の縦走の話などをして歩いているとそれも苦になりません。
途中で1回休みを入れただけで16:30分に駐車場にたどり着きました。

駐車場でお互いに挨拶を交わしました。
ここまで何の事故もなく歩いてこられたことに感謝です。

でも、これでこの山行が終わってしまうことに一抹の寂しさが湧いてきます。

しかし、8月にはコイカクからペテガリを計画しています。
今回の山行で得たものを次回に活かして私達の主稜線歩きは続きます。



  

エサオマンからカムエク縦走 ・ その2 11年7月

2011-08-05 09:54:46 | 日高山系の山
 7月27日(水)

 昨夜は短い時間でしたが雨が降りました。
朝方もテントに当たる雨音を聞きながら「今日は停滞かな?」などと考えていました。
「雨が降っているね~」といいながら取り敢えず起き出します。
寝袋を畳んでいると雨音が消えてしまいます。
こうなると俄然やる気が出てきます。

 テントの外を見るとガスガスですが、雨は降っていません。
体の調子もまあまあです。

 朝食は、昨夜作っておいたアルファ米のご飯をお茶漬けで食べます。
あとはみそ汁にサンマと鯖の煮物です。
お茶漬けは食欲があまりなくても食べることが出来ます。

 5:30分、テントを畳んで出発です。
    
     お世話になったテントサイトです。
     この手前にもう1張り分のスペースがあります。

 ここから十勝側の笹で滑りやすい斜面の降ります。
ハイ松に掴まりながら降るのですが、笹が濡れて滑りやすいので神経を使います。
熊の掘り返しがあちらこちらにあり登山道との区別が難しくなってきます。
そこで、思い切って尾根筋のハイ松に潜り込みます。

以前ここを歩いた方のブログに尾根筋のハイ松にも登山道があると書かれていたのを思いだしたからです。
逆目のハイ松を潜り抜け尾根筋にでると、ありました!
うっすらですがハイ松の枝が切られており登山道があるのです。
といってもハイ松の枝が左右から伸びており足元だけに枝がない状態です。

 それでも、笹の斜面に較べると幾分歩きやすいのです。
    
     こんな状態の尾根を歩きます。

    
     皆さん元気に歩いています。
    
     ガスが時々薄くなってきます。

 ガスが薄くなってくると正面に大きな頂が見えてきます。
ナメワッカ分岐のようです。  

 8:00分、ナメワッカ分岐に到着です。
ここまでが一番ハイ松の濃いところと言われていました。
この部分を1時間半ほどで通過できたのは、天気がガス空で直射日光に当たらなかったため体力の消耗が幾分押さえられたためです。
水の消費も最小限で済みました。
しかし、この先春別岳に掛けては岩尾根が続くので油断するわけにはいきません。

 ナメワッカ分岐でゆっくり休むと岩尾根に足を入れます。
岩尾根はハイ松の枝もあまり気にならずドンドン進みます。
このメンバーには岩尾根の方がハイ松の枝を掻き分けて進むより歩けるのです。
多少の恐怖心を呼び起こされる場所もありますが、皆さんの歩調は変わりません。
    
     ゴジラの背のような岩尾根を通ります。
 
 その岩尾根にキキョウの花が咲いています。
    
     鮮やかな紫色が目にしみます。

 右手は10の沢カールです。
カール壁が急峻なガケとなっていますので右手に落ちろとただでは済みません。
注意深く岩尾根を進みます。

 9:20分、春別岳に到着です。
春別岳というのは通称名です。
1,855m峰に付けられた名前なのですが、それくらい堂々とした山容を持っています。
この辺りはガスが濃かったのであまり先が見えずただただ足元を見つめながら歩いたせいで思ったより距離が稼げたようです。

 この先は、1,917mに向かって登ります。
細かなアンジュレーションでいくつものコブを越えていきます。
30分ごとに休みを入れてドンドン歩きます。

Ko氏の足の調子もいいようです。
メンバーの体調も万全です。

 行動食は銘々が用意していますが、最近人気の高いのがマンゴーのドライフルーツです。
これはいいです。
適当な甘みとノドが渇いていてもそこそこ食べることが出来ます。
私は、この他にドライバナナを持って来ましたが口の中で噛んでいとつばが無くなり結局水を飲まないと飲み込めないので行動食としては失敗でした。

  12:00分、何とか1917mピークに到着です。

 ここからは9の沢カールに向かって降ります。
今日の予定は9の沢カールのコルにあるテン場なのですが、On氏がこの時間ならカムエク山頂にあるテントサイトまで行けるのではないかといいます。

 カムエク山頂で1泊する。
何という響きでしょうか!
岳人憧れのカムエク山頂で1泊するなどという経験はそうそうできるのもではありません。
魅力的なことですが、そこまで体力が持つかどうかが問題です。
まずは、9の沢カールのコルに着いてから決めればいいことです。

 9の沢カールが近づいてきました。
お花畑がカール全体に広がっています。
    
    

 前方にテントサイトが見えてきます。
    

 13:40分、1732mコルに到着です。
ここでテントを張るか、カムエク山頂へ向かうか決めなければなりません。
まずはゆっくりと休憩を取ってから決めることにします。
Ko氏はキネシオテープを貼り替えます。

 このコルから10分も降ると雪渓があり水の心配はありません。
稜線から少し十勝側に降った場所にあるテントサイトは風の影響もあまり受けない最高の場所です。

 40分ほど休んで、カムエクの山頂へ向かうことになりました。
Ko氏の「カムエク山頂まで大丈夫、行けます!」という力強い言葉に押され、みんなの気持ちが一致しました。

 14:20分、カムエク山頂へ向かった登ります。
ここから1903m分岐まで細い岩尾根が続きます。
雨がポツポツ落ちてきますが皆さんの足取りに迷いはありません。
黙々とハイ松を掻き分けて進みます。

1903m分岐に到着しました。
ちょっと広い分岐点にはテントサイトに使える場所がありましたが、私達の目には映りません。
ここから最後の登りに向かいます。

 この辺りはガスが濃くなっており山頂が時折ボンヤリ姿を見せています。
何度か偽ピークに騙されましたが、ようやく、カムエクの山頂が見えてきました。

 17:30分、カムエク山頂に到着です。
山頂北側にあるテントサイトは2張りのテントを並べて張ることが出来ます。
テントを張ってザックを片づけているとガスが張れてきます。
春別岳から歩いてきた山々が姿を現します。
    
      正面が1903m峰、その左手が春別岳です。
      真ん中の一番奥にエサオマンの姿も見えてます。

 陽が落ちるまでこの景色を楽しみました。
今日は12時間の行動でした。
良く歩いたものだと自分の身体に感謝します。
 

エサオマンからカムエク縦走 ・ その1 11年7月

2011-08-03 21:05:11 | 日高山系の山
 エサオマントツタベツ岳(1,902m)からカムイエクウチカウシ山(1,979m)への縦走は、昨年取りかかったもののエサオマンジョンクションピークから南行した1,760mピークで悪天候のため敗退という結果でした。

 そこで、捲土重来を期し、再挑戦を試みました。
メンバーはニペソツ以来のおなじみSu氏、On氏に私の3人に新たにKm氏が加わり4人での挑戦となりました。


 7月25日(月)

 夕方3時半に私とSu氏、On氏とKm氏がそれぞれの車に乗り合わせて札幌を出発します。
そして、中札内にある道の駅で待ち合わせをします。
まだ陽がある内に中札内の道の駅に到着。
早速近くのスーパーで買ったお弁当を食べて夕食とします。
ほどなく、On氏達の車も到着。

 夕食後は、まず、カクエクの登山口へ車を1台デポします。
そして、スタートとなる戸蔦別川6号堰提にある駐車場を目指します。
戸蔦別の林道は両側の草が道路に覆い被さり道が狭く感じます。
夜ですので、林道に鹿が出ているかもしれないので慎重に走ります。

 9時過ぎに6号堰提の駐車場に到着。
早速、別に用意したテントを張って寝ます。
上を見ると満天の星空、明日はいい天気のようです。


 7月26日(火)

 空が明るくなり、鳥のさえずりで目を覚まします。
時計を見ると3時を少し回ったくらいです。
我慢して寝袋の中でウトウトします。
私はこの時間が大好きです。

 4時、すっかり外が明るくなったので起きます。
お湯を沸かし用意した弁当を食べると出発の準備をします。
皆さん手慣れているので瞬く間に終わってしまいます。

 それでは、と4:50分、いよいよカムエクに向かって私達の縦走が始まります。
最初は林道歩きです。
エサオマン林道(今は廃道になっています。)の分岐からフキなどが生い茂る
これが林道?という道を歩きます。
所々に道路標識やガードレールが残っていますので、かろうじて林道だったのが分かります。
でも、左側からの落石などがあり車が通れる状況ではありません。
小1時間ほど歩くと最初の渡渉点に来ます。

 5:45分、最初の渡渉点で沢の様子を見ましたが水は少なく問題はないようです。
     
 
 さあ、ここから沢登りです。
巻き道や沢の中を歩いていくと最初の滝に出会います。
    
     この滝もすっかりお馴染みになりました。

 沢の水が少ないので巻き道を使うより沢の中を歩いた方が涼しくて気持ちがいいです。
1時間以上歩いていると沢の向こうに北東カールの雪渓が見えてきます。
    

 9:35分、上二股に到着です。
ここにはちょっと大きな滝があり、その上は3百メートルほど滑滝になっています。
    

 登山コースは右股を登りますが、左股には残雪が残っています。
    
 
 右岸の急な草付きの斜面を慎重に登ります。
登り終えると目の前に水しぶきを上げた滑滝が続きます。
    

 滝の岩はあまり滑らないので助かります。
とはいえ慎重に登り、時々、右岸に生えている木の枝なども利用しながら安全第一で登ります。

 滑滝の途中でKm氏が足の不調を訴えます。
どうやら沢水の冷たさでふくらはぎの筋肉に負担が掛かったようです。
Km氏はキオシネテープで患部を治療して沢登りを再開します。
Km氏の歩く様子を見ていましたが、どうやら痛みは軽減しているようです。

滝の水が少なくなってくると北東カールはもうすぐです。  
  
 10:45分、北東カールに到着です。
    

 このカールで十分に休憩を取ります。
ここからは水を汲み上げなければいけません。
1人当たり6リットルを担ぎ上げます。

 そして、稜線歩きに備え夏靴に履き替えます。

ジャンクションピークへの登り口を探します。
大きな雪渓の一番左側にピンクテープが見えます。
どうやら、それが夏道の入り口のようです。

 タップリと休憩を取って11:25分、いよいよ稜線へ向かって登山開始です。
しかし、水と沢靴を背負ったザックは重く足が前へ進みません。
歯を食いしばって雪渓の上を歩きます。
ドンドン傾斜が増してくるので4本歯のアイゼンを付けます。
    

 雪渓歩きに気を取られている内にコースを少し右に取ってしまったようです。
でも、このメンバーなら心配はいりません。
どこでも歩けるメンバーなのです。

 雪渓の最上部は岩だらけの沢となっています。
大きな一枚岩を越えるのがいやらしく念のためにザイルを出します。
ここには、沢山のスリングがありましたので、皆さんザイルを使っているようです。
その岩を越えると浮き石だらけの沢が続きます。
    

 落石の危険がある沢筋から左手の灌木地帯へ方向を変えます。
しかし、この灌木地帯を抜けるのが大変でした。
大きなザックが枝にひっつかかり、急な斜面でもあり全員汗だくになって登ります。

 先頭を歩いているSu氏の「はい松が見えてきたぞー」という声を聞いてホッとしました。
何故かというと、この稜線はハイ松が尾根筋だけに生えているからです。


本来のコースは青色ですが、私達は赤色の線を登りました。

 13:13分、やっと稜線に出ました。
稜線には、エサオマンと札内岳を繋ぐ登山道があります。
この登山道で一息つきます。

そして、10分ほど歩くとジャンクションピークに到着です。
13:30分、ジジャンクションピークです。
約2時間の奮闘ですっかり疲れてしまいました。

    
     JPからは、目の前にエサオマンの山頂がドッシリと聳え、山頂の左手には日高幌尻岳が間近に見えます。 
そして、山頂の右手には2週間ほど前に歩いた伏美岳から北戸蔦別岳の稜線が薄く見えています。

 しかし、私達にはこの景観を楽しんでいる時間はあまりありません。

 今夜のテン場となる1760mピークまでハイ松漕ぎが待っているのです。
そこで、エサオマンの山頂ピストンはあきらめ、今夜のテン場となる1760mピークへ向かうことにします。 

 最初は背の低いハイ松で歩きやすいのですが高度が落ちるにしたがって背の高い灌木が出てきます。
そして一番の敵が笹なのです。
笹原に付けられた登山道は廃道寸前といっていい状態です。
靴幅くらいしか登山道がありません。
笹に足を取られるのでたえずハイ松や灌木の枝に掴まりながら歩きます。
そのため、とても時間が掛かってしまいます。

 しかし、時々目にする高山植物の花々が癒してくれます。
    
     この花を見て癒されるのはほんの一瞬です。

 昨年このコースを歩いているのですが、笹の状態が濃くなっているような気がします。
この道は消えてしまう運命にあるのでしょうか?

 約2時間半ほど掛かって16:25分、やっと、1760mピークに到着です。
ピークに掛かる最後の登りは全員バテバテでした。
でも、何とか歩き通すことが出来ました。
    
     歩いてきた道を振り返ります。
     左端がエサオマンの山頂です。
     右端がPJ、ここから続く尾根を歩いてきました。

 テントを張り終えると、早速、On氏は日本酒を飲み出しました。
ナノゲンのボトルに約1リットル担ぎ上げています。
この元気には脱帽です。

 私もほんの少しですがウィスキーを持ってきています。
それぞれお酒を少し飲んで身体の疲れを癒します。
このピークには、テントが3張りほど張れます。
2張りのテントを向かい合わせに張ります。

 昨年は、風が強くてこのテントサイトが使えませんでした。
しかし、今夜は強い風が吹かない予報なので大丈夫でしょう。 

北部日高(伏美岳→北戸蔦別岳)縦走・その2 11年7月

2011-07-20 15:03:26 | 日高山系の山
 昨夜は風の強い夜でした。
このテントサイトは風に強い地形だと思って安心して寝ていましたが、時折強い風がテントを揺らします。
それでも、テントの下から吹き上がる風ではないので気にしないで寝ていましたが、Su氏が心配になり外の様子を見てくれます。
張り綱の数本が抑えに使っていた石から外れていたようです。
それでテントのばたつきが大きくなっていたようです。

 外が白み出す午前3時を過ぎる頃から風の音がしなくなってきました。
昨夜は疲れもありよく寝られました。
それにしても暑い夜でした。


 7月12日(火)

 4時になったので起きます。
テントから外を見るとガスが掛かり辺り一面真っ白です。
朝食は、昨夜の残りご飯にお茶漬けの元を入れてサラサラと食べます。
おかずはサンマの蒲焼きです。

 6:10分、テントサイトを出発します。

 まずは目の前にある小高い斜面を登ります。
そして降った先が1,769mのコルです。
ここから1967m峰までの辛い登りが続きます。
途中で1回休みを入れ、さらに大きな雪渓の横を歩き、7:03分、1967m峰に着きました。
山頂はあいにくのガス。
それでも、この頂は日高第3番目の高峰です。
3人でがっしりと握手、そしてお互いに記念写真を写し合います。
    
     私にとって1昨年の日高幌尻、昨年のカムエク、そして1967m峰

3年続けて日高の高峰の山頂を順番に踏んでこられたのは幸せなことです。

 ここから北戸蔦別岳に向かって歩き出して直ぐ、何とガスが一瞬にして晴れ出しました。
風に乗って雲が流れます。
するとその向こうに、戸蔦別岳や日高幌尻岳などが姿を現してくれます。

3人して思わずワ~ッと歓声を上げました。
    

    
     雲が無くなると私達が歩いて行く北戸蔦別までの稜線が見えてきます。

 この景色に気をよくした私達は、俄然やる気が出てきます。
しかし、1967mからの降りは岩混じりの細い尾根で気を抜くことは出来ません。
慎重に降ります。
    
     後ろを振り返ると1967m峰が大きな姿で聳えています。

 前方に見える1856mの山頂に人影が見えます。
どうやらこの頂でテント泊をしているようです。
どちらへ進むかと思っていると、私達の方へ向かって降ってきます。

 途中で挨拶を交わします。
彼ら2人は、1昨日伏美岳から登ったといいます。
どうやら伏美岳の駐車場に中止していた軽自動車は彼らの物のようです。
日高幌尻岳までピストンしたようですが、1人は足を痛めたのでテントで待機していたようです。
そして、今日中に伏美岳まで降りたいと話しています。

 この話を聞いたときにちょっと無理ではないかと思いました。
なぜなら、伏美岳からピパイロ岳を越えるだけで昨日は8時間ほど掛かっています。
痛めた足でここから暗くなるまで9時間ほどしかありません。
もし、伏美岳まで戻るならこんな9時近くなって出発するなどあり得ません。

 彼らには、気を付けて頑張ってくださいとだけ言って別れます。

 8:45分、1,856mに到着です。

 ここからの眺めも最高です。
    
    北戸蔦別岳までの稜線が一望できます。

 ここまで来ればもう一度大きく降って、北戸蔦別岳の肩になる1901mを目指すだけです。
3人の足取りは快調です。
昨日とは打って変わって元気を取り戻したSu氏、いつものようにビデオを回しています。

1901m目指して登っていると北戸蔦別岳の山頂に人影が見えます。
それも、14~5人はいるでしょうか?
こんな時間に団体客が?と不思議に思って歩いていると彼らは戸蔦別岳の方に向かって降っていきます。
 どうやら、日高幌尻に登ったツアー客のようです。

 9:45分、北戸蔦別岳に到着です。

 これで、稜線歩きの線が繋がりました。
北戸蔦別岳の山頂標識裏にあるテントサイトを見てびっくりしました。
何と、小さなテントサイトがまるで土木工事をしたかのように石組みで戸蔦別川側が綺麗に土を盛り上げ、おまけに真っ平らに整地されています。
こんな立派なテントサイトに誰がしたのでしょうか?

 離れがたい北戸蔦別岳の山頂ですが、いつまでもいるわけにはいきません。
目の前に大きく聳える日高の盟峰、幌尻岳の姿を目に焼き付け下山します。

まずはヌカビラ岳へ向かって降りますが、途中の尾根に大きな雪渓が残っています。
今まで2回の登山でも目にしたことのない大きな雪渓でした。
これも、ゴルデンウィークに降った雪がいかに多かったかという証です。

10:35分、ヌカビラ岳を通過。

ここから急な斜面の降りです。
転ばないように慎重に降ります。

11:20分、疲れたので一休みします。
もう少し降るとトッタの泉だと思いながら、身体の方がそこまで降ることが出来ません。
水を十分に飲んで休みます。

 ほんの5分ほど降るとトッタの泉がありました。
    
     ほんとに小さな流れですが、冷たくて美味しい水です。

 ここからさらに続く急な斜面を降り、12:10分、沢の出合いに到着です。
ここからは沢に沿って降ります。
かなり疲れてきているので声を掛け合って慎重に降ります。
4~5回の渡渉はすべて岩を飛ぶなどして渡れますが、岩角が滑るところもあり思わず転びそうになってしまいました。
危ない、危ない!

 13:53分、やっと取水口ダムに到着です。
ここまで来れば後は単調な林道を歩くだけです。
最後の休憩を入れて、ここからは千栄えの駐車場へ向かって降るだけです。

しかい、いつも感じますが、この林道歩きは本当に疲れます。
何故なのでしょうか?
ここまで車が入れれば無駄な歩きだと思うから疲れるのでしょうか?

そんな林道歩きも仲間がいれば何とか歩けます。
今回の山行を振り返り、反省会を氏ながら歩いているとやっと赤い橋が見えてきて駐車場に到着です。

 14:50分、デポした車に到着です。
これで今回の山行も無事に終えることが出来ました。

 あとは、伏美小屋に残してきた車の回収です。

 #*#*#*#*#*#*#*#*#*#*#*#*#*#*#*#*

 伏美小屋に残した車を回収するときに登山口の駐車場を見に行きました。
それは、途中ですれ違った2人組が下山したかどうか確認したかったからです。
でも、彼らの軽自動車は私達がスタートしたとき目にした場所に留まったままです。
彼らは、どこまで歩いてきているのでしょうか。
もう午後6時を回りました。
日没まで1時間もありません。
彼らは今夜も途中でビバークするのでしょうか?
 
 


北部日高(伏美岳→北戸蔦別岳)縦走・その1 11年7月

2011-07-18 20:51:23 | 日高山系の山
  今年初めての日高挑戦を計画しました。
7月10日(日)の午後に札幌を出発して11日から登山開始、12日までの実質的には1泊2日の計画です。
 このコースを歩くには出発点となる伏美岳(1,792m)の登山口と下山口となる北戸蔦別岳(1,912m)の登山口に車を回送しておく必要があります。
私達は、札幌に近い新ひだか町の千栄からチロロ林道にある北戸蔦別岳の登山口に車をデポして出発地点となる伏美岳(1,792m)にある伏美小屋に1泊して歩くことにしました。

 今回のメンバーは、ニペソツ山に挑戦したメンバーの内O氏はこのコースを歩いたことがあるのでパス、その代わりにKo氏が新たに加わり、このコース初挑戦となる私にSu氏の3人で歩くことになりました。
Ko氏は芦別岳本谷を一緒に登った方です。


 7月10日、午後3時半に私とSu氏が札幌を出発します。
Ko氏は先に札幌を出発しており日高町の道の駅で合流する手はずとなっています。
午後6時に道の駅でKo氏と無事に合流、早速、コンビニで食料を買い込み北戸蔦別岳の登山口へ向かいます。

 チロロ林道にある北戸蔦別岳の登山口に到着。
この林道は、昨年まで林道ゲートに鍵が掛けられいたのですが、今年から解放されています。
駐車場に私の車を駐車して、Ko氏の車に乗り換えて伏美小屋を目指します。
9時頃、ようやく伏美小屋に到着です。
先着者がいればテントに泊まろうと考えていたのですが、幸いに誰もいないので小屋泊まりに切り替えます。

 日高町の道の駅にあるコンビニで買ってきた弁当を食べて、そうそうに寝ることにします。


 7月11日、 伏美小屋で快適な1夜を過ごしました。
目を覚まして外を見ると晴れています。
さあ、急いで出発の準備をします。

   
    伏美小屋は赤い屋根が特徴の可愛い小屋です。
    トイレは外の別棟にあり、炊事場は小屋の前の沢水を引いて作られてます。

 5:50分、いよいよ私達の縦走が始まります。
10分ほど歩くと大きな駐車場がありここが登山口です。
軽自動車が1台駐車しています。

 伏美岳までは快適な登山道です。
しかし、所々急な斜面がありドンドン上がる気温のため汗が噴き出してきます。
今回は、稜線での1泊用にSu氏が4リットル、私が3リットル、Ko氏が1リットルの水を担ぎ上げます。
その水の重さと高い気温のため給水用の水がドンドン消費されます。

 あまりの暑さに30分から40分ごとに休憩を入れます。
その度にノドを潤さなければ唇が乾いてくるのです。
水がドンドン消費されます。

 9:10分、ようやく伏見岳(1,792m)の山頂に到着です。
私にとって3度目の山頂です。
今までの山頂はいずれもガスで眺望がゼロでした。
しかし、今日の山頂は北部日高の山並みを見せてくれます。

   
     山頂から正面に戸蔦別岳、その奥に日高幌尻岳が見えています。

 しかし、何といっても存在感のあるのがエサオマントッタベツ岳です。
   
    左右に見える雪渓のある斜面がカールです。
    左が北東カール、右が北カールです。
    そして、両カールを従えている真ん中に山頂があります。

 この北東カールに昨年1泊しました。
しかし、残雪の量は昨年を遙かに超えています。
今年は、どこも、稜線の残雪量が多いと思います。
これは、5月の連休に降った雪の量が半端ではなかったということなのでしょう。

    
    左手奥にあるピークが日高幌尻岳です。
    右手のすっきりとした三角形のピークが戸蔦別岳です。

 戸蔦別岳の山頂左側の沢を40年ほど前に登ったことがあります。
この時は、この白く見える沢を詰め国境稜線を越えて7つ沼カールで2泊しました。
遠い昔のことですが、自分の登った足跡が確認できるのは素晴らしいことです。

 40分ほど伏見岳の山頂で休み、いよいよ水場のコルへ向かって降ります。
林の中をドンドン降りますが、林の中に熱気がこもり暑くてしょうがありません。
温度計を見ると20度もあります。

 噴き出す汗を拭きながら降りますが、なかなか水場のコルへ降りることが出来ません。
10:50分、しょうがないので昼食を取ることにします。
久しぶりの1泊装備が肩に堪えます。
しかし焦りは禁物です。
幸いに天気がいいので、ここはじっくり攻めるしかありません。

 昼食を取って少し元気が戻りました。
1時間ほど歩いてやっと水場のコルに着きました。
さあ、ここからはピパイロ岳までの急な登りとなります。

 Su氏の調子があまり良くありません。
どうやら脱水症状が現れているようです。
残雪がありますので足を冷やして体温を下げます。
そうして、荷物を少なくするためにSu氏が担ぎ上げている水を飲むことにします。

ピパイロ岳(1,916m)まで3度の休みを挟んで14:05分、山頂に到着です。
ここでゆっくり休憩を入れます。
今日のテントサイトは、ピパイロ岳の先に見える1911m峰辺りと考えています。
ここまで来れば先が見えてきました。

    
     ピパイロ岳の山頂下にテント1張分のサイトがあります。
     右に見えるピークが1911m峰です。
     この峰から北に向かうと芽室岳へ行けます。

 でも、私達はもう少し先を目指すことにします。
ピパイロ岳から1911m峰へは小さな起伏があるだけです。
少し眺めの休憩を入れたのでSu氏が少し回復してきました。

 14:30分、1911m峰目指して進みます。
 
 岩混じりの尾根を慎重に歩きます。
でも、踏み分け道がついているので迷うことはありません。

 14:50分、1911m峰に到着です。
しかし、1911m峰は岩だらけの山頂です。
どこにテントサイトがあるのだろうと思い少し降ることにしました。

   
    1911m峰から見たピパイロ岳です。

 1911m方を少し降った尾根上にテントサイトを見つけました。
しかし、このテントサイトは風の影響をまともに受けそうです。
その上、近くに雪渓もないので水を手に入れることが出来ません。

前方を見ると右手の斜面に細長い雪渓が見えています。
その上部にテントが張れそうな気がします。
ザックをこのテントサイトにおいて様子を見に行くことにします。

 3人で5分ほど降るとちょっとしたコル状の地形があり明らかにテントサイトとして使っている場所です。
風も幾らか防げそうです。
おまけによく見ると雪渓のある斜面に踏み分け道が付いています。
3人の意見がここにテントを張ることで一致します。
早速、ザックを取りに戻ります。

 15:25分、テントサイトに到着です。
   

早速テントを立てると、雪渓に向かって降ります。
踏み分け道をほんの2分ほど降ると雪渓が目の下に見えてきます。
ビニール袋に残雪を詰めてテントサイトに戻ります。
この雪を融かして水を作れば、もう水の心配はありません。

 今回、残雪を溶かして水を作るときにゴミを漉し取るためにコーヒフィルターを持ってきました。
ニペソツ山で雪を融かして作った水は細かな砂粒やゴミが多かったのです。
このゴミを漉し取るのにコーヒーフィルターを使おうと思ったわけです。

さあ、コッヘルに水を少し入れてから雪を沢山入れます。
お玉で雪を崩しながら水を作っていきます。
そして出来た水をフイルターで漉します。
最初はなかなかいい調子で漉し取れます。
でも直ぐに水の流れが悪くなります。

なぜかと思いフィルターをよく見ると黒い小さなツブツブが一杯見えます。
どうやら黄砂のような細かな砂粒で目詰まりしているようです。
これには参りました。
500ccも濃し撮る前に目詰まりしてしまいます。
少し多めに用意してきたフィルターが無くなってしまいます。

仕方がないので残りはタオルで濃し取り、大きなゴミだけ取り除くことにしてこの水は調理用にします。
こんな事で、必要な水の確保が出来たので腹一杯水を飲み事が出来るようになりました。


   

チロロ岳 11年6月

2011-06-28 06:46:16 | 日高山系の山
なかなか天気に恵まれない6月です。
でも、26日の日曜日は天気がいいようですので日帰りでチロロ岳(1,879m)に登る計画を立てました。

 チロロ岳は日高山脈の主稜線の西側にあるため北日高の山並みが一望できる山なのです。
2つの沢を登るというちょっと変わった登山コースであるのも興味のあるところです。
パンケヌーシ川の曲り沢を登り、尾根を乗り越して今度は2の沢を詰めて山頂へ至るというコースです。


 さて、チロロ岳の登山口である曲がり沢へ行くには昨年までは林道を閉じているゲートの鍵を借りて入林しなければなりませんでした。
それが、昨年起きた林道ゲートに掛けられている鍵の合い鍵が広く流通しており、森林管理署に入林許可申請をしないで勝手に合い鍵でゲートを開けて入林している。という問題を契機に入林許可と林道ゲートの在り方が検討されました。

その結果、今年から大幅に林道ゲートを解放するという措置に踏み切ることになりました。
そのため、チロロ岳に登るためのパンケヌーシ林道や事の発端となった北戸蔦別岳に登るためのチロロ林道のゲートも開放されています。


 朝5時に札幌を発ちます。
最初は一人で登る計画でしたが、急遽Iさんが一緒に行くことになりました。
今日の天気は晴れのち曇り、まあまあの天気です。

 7時過ぎにパンケヌーシ林道にある曲がり沢の登山口に着きます。
登山準備をして7時30分、いきなりの急坂を登ります。

 登り初めて直ぐに沢の様子が変わっていることに気がつきました。
沢全体に岩がゴロゴロとしており、橋が無くなっているのです。
直ぐ上流にある取水ダムに来るとその変わり様に驚きました。
    
     取水ダムの左岸には鉄の柵がありその柵を乗り越えて草付きの道を歩いた記憶があるのですが、ごらんのように岩だらけに変わっています。
何よりビックリしたのは、取水ダムのすぐ上に3~4メートルは有ろうかという大きな岩がドーンとあるのです。
いったいこの岩はどこから流れてきたのでしょうか?

 このように曲がり沢が土石流で荒れたのは、昨年夏の豪雨のせいだと思います。
昨年、トムラウシ川を地獄谷へ登ったときも沢の様子が一変していました。
札幌近郊の定山渓天狗岳の登山道もそうでした。

昨年夏の豪雨が全道の沢の及ぼした被害は想像以上のものがあります。
これから沢登りをする方は、昨年までの情報が使えないかもしれません。
十分に注意してください。

   
    沢は、雪代と数日前の雨が一緒になってかなりの水量があります。

 今回は、沢靴を持ってきていません。
夏靴での沢登りとなっています。
渡渉しなければいけない場所が4~5個所あるのですが、それは何とか岩を飛んで渡ろうという作戦です。

   
    それにしても沢全体が岩だらけです。
その岩を階段を上がるがごとく登っていきます。

   
    1個所だけ掛けられている梯子です。
    この梯子は、昨年と同じでした。

   
    やっと稜線が見えてきました。
    この辺りから上流はあまり変わっていないと思いました。

 8:50分、下二股を通過。

 9:15分、上二股を通過します。
   
    上二股の左股は直ぐ先から雪がビッシリと沢を埋めています。

 上二股の右沢を登っているとこちらも直ぐに雪の沢に変わります。
もう少しで沢の乗り越しかと思っていると上から2人が降りてきます。
かなり年配の方達でしたが、足元は沢靴でした。
沢靴でこの雪の上を登ったようですが、降りはフエルト底が滑るので大変のようです。
ヘルメットに沢ベルト、完全装備です。
簡単に挨拶して別れます。

 10:25分、やっと、尾根乗り越しです。
ここから次の沢、2の沢が見えますがビッシリと雪で埋まっています。

 2の沢に降りましたが。ほんの20m先から雪です。
ここから延々と雪の沢を登ります。
   

 やっと、西峰の稜線が見えてきました。
   

 後ろを振り返るとペンケヌーシ岳(1,750m)が見えています。
   

 11:20分、西峰との分岐に到着です。
ここまで来るとチロロ岳の本峰が見えてきます。
   
 本峰はハイ松に覆われた丸い山容です。

 コルに着くと北日高の大展望が待っていました。

左から、ピパイロ岳、中央が1,967m峰、右側の雲が掛かっているのが日高幌尻岳、
北日高の山並みです。

そして足元には日高キンバイソウが咲いています。
   

 後ろを振り返ると西峰が見えています。
   

 さあ、ここから山頂へ向けてハイ松の中にある踏み分け道を登ります。

12:20分、山頂に到着です。
   
    山頂から北日高の主稜線にある山を眺めながら昼食を取ります。

 山頂は風が無く気温が低いものの穏やかです。
寒いのでフリースとウインドブレーカーを着て山頂下のハイ松の陰に隠れます。

 コーヒーを湧かし、至福の時間を楽しみます。
北日高の山は天気に恵まれず、今までも伏見岳に2回、十勝幌尻岳に2回登っていますがいずれも雲のため眺望に恵まれなかったのですが、今回はすべての山が姿を見せてくれています。

 12:55分、雲が少しずつ低くなってきたような気がしたので下山します。
せっかくここまで来たので、西峰も寄っていくことにします。
分岐まで降り、西峰に向けて雪の斜面を登ります。

雪の斜面を登ると踏み分け道を見つけるのが大変なのです。
ちょっと心配しながらの登りでしたが、上手く道を見つけることが出来ましたのでロスなく西峰へ到着です。

 13:42分、何の表示もない西峰に到着。
ここで思わない発見がありました。
西峰の重なり合う岩の南側にカムイコザクラの紫色の花を見つけました。
同行のIさんはこの花を見るためにヌカビラ岳へ登ろうとしていたのですから喜びもひとしおでした。
夢中になってカメラのシャッターを切っています。
   

 その他に、シラネアオイの花も咲いていました。
   
    札幌近郊ではとっくに散ってしまった花です。

 思わない花に巡り会うことも出来た満足のいく山行でした。
さて、ここからは落ちる日差しとの競争で下山です。

 雪の大斜面の2の沢をスケートをするように滑りながら降ります。
登山靴のそこを滑らせて急な斜面を滑り降りるのです。
バランスを取るのが大変なのでスリル満点です。

 14:50分、尾根乗り越し到着。

 ここからさらに狭い沢を降り、15:35分、上二股に到着。
さすがに降りは早いです。
でも、岩だらけの沢で浮き石も多いので慎重に岩を見極めながらドンドン降ります。

 15:53分、下二股に到着。

さらに降って、16:50分、曲がり沢登山口へ戻ってきました。

や~あ、楽しい1日でした。

 

トヨニ岳(南日高)・敗退、11年5月

2011-05-05 07:21:57 | 日高山系の山
ゴールデンウィーク後半は南日高にあるトヨニ岳(1,493m)へ行きました。

 5月3日の午後札幌を発ち、天馬街道にある道路情報センターを目指します。
この情報センターには広い駐車場とトイレがあります。
ここで前泊してトヨニ岳を目指すというのが今回の計画です。

 道路情報センターに着くと駐車場に数台の車が止まっています。
トイレの中へはいると入り口の中に寝袋を開いて泊まる準備をしている人が数人います。
ここは暖房が入っており暖かいのです。

 私は駐車場脇の芝生にテントを立てるつもりでしたが外は冷たい風が吹き寒いので車中泊に切り替えました。

 5月4日、朝、目を覚ますと曇り空です。
でも上空は明るいので登山準備をしてトヨニ岳の登山口となる野塚トンネルの十勝川入り口へ向かいます。
先客の車が3台止まっています。
雪の状態を見ると2週間前よりは大分少なくなっていますが、尾根を登ることは出来そうです。

    
    駐車している車のフロントガラスにうっすらと霜が付いています。

 5時40分、準備が整ったので出発します。
まずは渡渉をしなければなりません。
沢が開いているので慎重に渡渉点を探します。
幸いに駐車場の直ぐ裏にいい場所がありました。
    
    この渡渉がうまくいくか心配していたので、まずはホット一息です。

 しかし、ここから稜線に出るまでは急登が続きます。
雪の状態は、表面が少し固いのですがその中はサクサクの状態です。
深く蹴り込むとこの固い表面の雪を突き破り膝まで埋まってしまいます。
足を取られながら辛抱の登りが続きます。
登るにしたがって空が明るく感じるのが唯一の楽しみです。

 稜線に近づくにしたがって小雪がチラチラしてきます。
でも、風が全くないのがすくいです。

 7時35分、約2時間かかってやっと稜線です。
視界は2百~3百メートルといったところでしょうか。

     
     野塚岳方面はこんな具合です。
この稜線を2週間前に歩いてきました。
今日はここから反対方向に向かって歩きます。

 かなり少なくなった雪を繋ぎながら稜線を歩きます。
時々風が吹いてきますが、それほど強くないので先へ進みます。
コブを越えたところで前方に緑色のテントが見えてきます。
     
     「こんにちは!」と声を掛けると「だれですか?」と返ってきます。
 テントから顔を出した人は私と同年代の男性でした。
2人で昨日ここまで登ってきたと話してくれます。
「昨日は登る時に足を取られて参りました」などと話してくれます。

「今日はどうするのですか?」と聞きますとこの天気なので下山しようかと思っていますが、お酒がまだ残っているのでもう少し様子を見ます。」といいます。

私は、「もう少し先まで行ってみます。」といって別れます。
ここからも小さなコブを幾つか越えて歩きますが、なにせ、視界がドンドン利かなくなってきます。
    
    雪庇の上を歩きますが、それでも時々足を取られて膝まで沈んでしまいます。

 また、狭い岩稜となっているところもあり、そんなところはハイ松の上を慎重に歩きます。
少しずつ風が強くなり雪も強く降ってきます。
吹雪模様になってきたので引き返すことにします。
     
     この先の稜線です。

 8時20分、ここから引き返したのですが、次第に風雪が強くなり左の頬が冷たくなってきます。
左の眉毛に吹き付ける雪が凍り付きつららができます。

先ほどのテントの横を通るときに「吹雪になってきたので、先に降ります。」と声を掛けます。
稜線は先ほど歩いた足跡が雪で隠れています。
視界も利かなくなってきているので慎重に足元を確認しながら歩きます。

 9時15分、尾根を上ってきた地点人にたどり着きます。
ここからは駐車場に向かって降るだけです。
稜線から少し下ると風が一気に収まります。
ここで一息ついて、飲み物とチョコレートを食べます。

 ここからは一気に降ります。
といっても油断すると表面の固い雪を踏み抜き膝まで埋まってしまうので転ばないようにバランスを取って降ります。
40分ほどで沢に着きます。

 10時ちょうど、駐車場に戻ってきました。

やれやれ、こんなに吹雪くとは思っていませんでした。
駐車場の車に2~3センチの雪が積もっています。
    

 道路の路面も白くなっています。

 私の車は夏タイヤに交換してありますので、雪の路面だとスリップしてしまいます。
道路を行く見るとまだシャーベット状の雪ですので、気を付けて走れば大丈夫でしょう。

 しかし、トンネルを抜けて日高側に出ると道路に雪は積もっていません。
ホッとして一路札幌を目指して帰路につきます。


  今回のログ
  

 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
 
  ゴールデンウィークに雪が降る!
 北海道では珍しいことではありません。
 最近は暖冬といえ、後ルーデンウィーク明けまで油断は出来ません。
 石北峠や日勝峠など峠越えをする場合には冬タイヤを替えません。
 早朝や深夜などに走行する場合、路面の水が凍っている場合もあります。

 今年のゴールデンウィークは天候が悪いせいもあり成果のある登山が出来ませんでした。
 残雪期のシーズンも終わってしまいます。
 でも、今月中に芦別岳の本谷を登る予定です。
 晴天になればいいな~ぁ!

野塚岳(南日高)11年4月

2011-04-21 20:43:48 | 日高山系の山
 ニペソツ山を登り次の山をどこにしようかと話し合ったところ南日高にあるピリカヌプリはどうだろうかということになりました。
 O氏は登ったことがあるものの私とS氏は登っていません。
早速、日程を調整して4月16日から18日の2泊3日で計画を立てます。

 私達の計画にSa氏とIさんが加わることになりました。

 天気予報をチェックしていると低気圧の通過により16日夕方から雨、17日は強風とのことです。
多少の風ならと思いましたが、高度1800m辺りで20メートルを超える予報では、さすがに当初の日程通りは無理と判断し、予定を1日繰り下げ17日から19日に変更しました。

 17日は札幌も風が吹き、浦河町に向かって車を走らせても風が強く、それでも、登山口となる野塚トンネルで判断することにして現地へ向かいます。

 野塚トンネルでは沢筋を強風が吹き荒れています。
晴れていれば目の前に見えるトヨニ岳も雲の中です。
これでは、今日の入山は無理だと判断して時間つぶしに「アエル」でお風呂に入って時間を潰すことにします。

 天気は昼過ぎから晴れてきたものの風の強さが変わりません。
ここでピリカヌプリをあきらめ日帰りで野塚岳からオムシャヌプリを往復する計画に変更します。


 4月18日、天気は快晴、風も収まっています。
ところが昨夜のお酒が利きすぎたのか全員が朝寝坊をして4時起きが5時に目を覚ます有様です。
脱兎のごとく朝食を食べますが、Iさんは昨夜から頭痛がするとのことで体調が悪く朝食もいらないといいます。

それでも、山には登るとのことですので朝食を済ませ日帰り装備を確認して野塚トンネルの十勝側の入り口にある駐車場を目指します。

 6時40分、予定より遅れましたが野塚岳に向かって北尾根を目指します。
まずはカリカリになっている雪の斜面を登ります。
最初からアイゼンを付ける人もいましたが、私は表面の雪にキックステップが効くのでそのままツボ足で登ります。

 1時間ほど登り最初の休憩でほぼ稜線上の1147mのコブに達します。
    
    この1147m地点からトヨニ岳が真っ白に輝く姿が見えます。

 ここで休憩を取り後続を待ちます
そして私はここから先はアイゼンを付けます。

 後続が追いついてきたところで行動食を食べますが、Iさんはうずくまりお腹の調子がが悪いといいながら吐いてしまいます。
S氏がIさんにポカリを飲ませたり面倒を見てくれます。
少しやすむと幾分落ち着いたようです。
こういう気遣いはS氏にかないません。

 尾根に出ているのですが風もないので歩いているとうっすらと汗がにじんできます。
ウィンドブレーカーも脱いで、私は快調に歩きます。
Iさんの調子も少しずつ良くなっているようでそれほど遅れずに歩いてきます。

ところどころ尾根が狭くなっており雪庇の大きいのが出来ています。
しかも亀裂が入っているところもありますのであまり近づかずに歩きます。

 8時50分、1223mのピークまで来ました。
 目の前に大きな斜面が見えてきます。
    
    野塚岳の山頂へ続く大きな雪の斜面の尾根です。

 この斜面を30分ほどかかって登るとやっと山頂です。
 10時25分山頂に到着です。

 この山頂からは南日高の大眺望が広がります。
 まず北の方向にはトヨニ岳が大きく翼を広げたように見えます。
   

 南にはオムシャヌプリから十勝岳、その奥には楽古岳が見えています。 
   

  この野塚岳の山頂に着いた時点でオムシャヌプリへ行くことはあきらめました。
何故かというと、このメンバーで野塚岳からオムシャヌプリを往復するのには4時間は掛かってしまいます。
いくら天気が良いとはいえこのメンバーでは荷の重い行程です。

 トヨニ岳の山頂と東峰の合間にピリカヌプリの山頂が顔を覗かせています。
   

 さらに東の方には中部から北日高の山々が見えています。

 北にあるトヨニ岳に続く雪の斜面を見ているとこのまま登ってきた尾根を下る気にはなれませんでした。
そこで、私はトヨニ岳に向かう国境稜線を歩き直接野塚トンネルの入り口に向かうコースを下りたいとメンバーに告げます。

 ところが、Sa氏が途中の尾根にストックを置いてきてしまっていました。
そこで、Sa氏とIさんが登ってきたコースを下ることとして、私にS氏とO氏の3人はトヨニ岳へ続く稜線の途中から下山することにしました。

 11時ちょうど、3人と2人の二組に分かれ下山します。
山頂からいきなりの急斜面をドンドン下ります。
この稜線には数日前に歩いたようなトレースが残っています。
10分ほどでコルまで降り、ここから少し登ります。
この登り終えたコブが西野塚岳と称したところです。

 登り終えたところで野塚岳方面を見るとSa氏とIさんがちょうど野塚岳の山頂を下ったようでした。
真っ白な尾根にごま粒のような黒い点が見えています。

 このコブからまた下っていると前方に雪で作ったブロックが見えてきます。
そばに行って見るとテントサイトの跡でした。
   
   高さ1メートルくらいのブロックが野塚岳に向かって
  コの字型に積み上げられています。

 稜線に残っていたトレースはこの人達のもののようです。
ブロックの大きさからすると3~4人用のテントが張られていたようです。

稜線に残されている雪尻に気をつけながら歩いているとトヨニ岳の東側に大きな山が見えてきます。どうやら神威岳のようです。

これらの景色を楽しみながら下降点に着きます。
野塚岳の山頂からまだ1時間も経っていません。
思ったより早く歩けています。

 稜線に別れを告げ急な斜面を掛け下ります。
一応雪崩れに気をつけるため尾根場の斜面を選んで下ります。

 雪面の表面は太陽に熱でうっすらと溶けてきています。
アイゼンの爪を効かせながら快調に下りますが所々堅く凍った斜面があるので足を取られないように下ります。

中腹辺りで1時間ほど経ちました。
「休憩しますか?」とメンバーに聞いたところこのまま下まで降りようということになり
さらに下ります。
   
   直ぐ下にトンネルの入り口と駐車している車が見えます。

 下るに従って雪が柔らかくなり足が埋まって転びそうになります。
O氏はシリセードを使いながら上手に下っていきます。
私はアイゼンの爪が邪魔になるのでアイゼンを外しツボ足で下ります。
急な斜面を降り終えて沢に出るとそこはもう野塚トンネルの入り口でした。

 12時40分、トンネル入り口にある駐車場に着きました。
ここで、別ルーツで降りてくるSa氏とIさんを待ちます。

40分ほど経ったところでSa氏とIさんが降りてきます。

 今回の登山は天候に恵まれずピリカヌプリへ行くことは出来ませんでしたが、野塚岳からほんの少しですが国境稜線を歩けたのでヨシとします。

 胸の中には消化不良でモヤモヤした気持ちですが、「この次は、きっとピリカヌプリの山頂を踏むぞ」と心に誓って野塚トンネルを通り抜け札幌へ向かいます。