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広重ブルー -世界を魅了した青 (前期)

2014-04-08 21:30:00 | 美術
見てきました

太田記念美術館

会期は2014年4月1日から2014年5月28日。
この展示、前期と後期に分かれています。
前期は4月1日から4月27日。
後期は5月1日から5月28日。

今回前期を見てきました。

江戸時代を代表する浮世絵師、歌川広重。
おもに風景を描いたその作品は世界中で愛され、モネやゴッホにも影響を与えました。
広重の大胆な構図、鮮やかな色彩は今見ても新鮮で美しいものです。

まずは肉筆浮世絵です。
歌川広重「待乳山雪中月夜之景」
淡く穏やかな色彩で描かれています。
描かれているのは待乳山聖天とその付近。
月夜の雪積る景色。
傘を持つ人影が見えますが、とても静かな印象です。

《1.広重ブルーの世界 ①天保期の風景画》
ベロ藍が本格的に浮世絵に使われるようになった天保期(1830-43)は広重の才能が開花したときでもありました。
代表作となる保永堂版「東海道五拾三次」は天保4-7年、30代後半で制作されたもの。
それらを含めた作品が展示されています。

歌川広重「東都名所拾景 深川新地」
最初期の作品。
水辺の藍がまだ淡く、そこまで目立つものではありません。
全体的に平坦な印象です。

歌川広重「東都名所 両国之宵月」
天保2年から制作された10枚揃いのもの。
夕闇に満月、ベロ藍の空に赤い雲が浮かびます。
手前には大きく橋脚。
橋脚越しの景色という大胆な構図も面白い。

歌川広重「東海道五拾三次之内 品川 日之出」
大名行列を見送る女性たち。
朝焼けに染まる空と海の深い色がとても美しい作品。

歌川広重「東海道五拾三次之内 舞坂 今切真景」
白抜きの富士山に浜名湖の青い湖面。
オレンジのグラデーションの空。
色鮮やか。

歌川広重「京都名所之内 淀川」
こちらも10枚揃いのシリーズもの。
満月の浮かぶ夜の淀川の旅客船。
月明かりに照らされた水は深い青。
空と水の境はあいまいです。
満月を横切る鳥はシルエットで描かれ静かな夜が表現されています。

歌川広重「四季江都名所 冬 隅田川之雪」
江戸の四季を描いた短冊状の小型版画集の一図。
降り続ける雪の中、棹を操る筏師。
木に積もる雪、水に落ちる雪。
青と白がきれいすぎてずっと眺めていたくなる作品です。

歌川広重「江戸名所之内 両国花火」
両国橋の上に上がる花火。
ちょっと奇妙な形で目をひきます。
深い深い水の色が印象的。
川には屋形船がたくさんあり、夏の賑わいを感じさせます。

《2.広重ブルーの世界 ②弘化期から安政期の風景画》
ここには弘化期から安政期の風景画が展示されています。
広重の画業としては後半。
弘化期から62歳で没するまでで、最晩年の代表作「名所江戸百景」などがメインとなります。
画業は後半とはいえ風景画の主流であった横長のスタイルを縦長にするなど挑戦してるようすもうかがえます。

歌川広重「近江百景 唐崎夜雨」
唐崎水辺は、身の汚れをはらう禊の場として有名だったそう。
暗い夜の中、松や湖面に細い線で雨が描かれています。
水の深い青が飲み込んでいきそう。

歌川広重「六十余州名所図会 對馬 海岸夕晴」
虹のかかる美しい景色。
虹は輪郭線を用いず刷りのみで表現されています。
対馬の島々が描かれていますが、これは実際に目にした景色ではなく、地図の類を参考にした可能性があるそうです。
対馬は江戸時代後半に多く出版された各地の名所図などに取り上げられることはほとんどなかったそう。
と考えるとこれは貴重なのかな。

歌川広重「名所江戸百景 日本橋雪晴」
目録含め120枚という最晩年の代表作。
橋の向こうに冨士、橋の下にはせわしなく往来する船。
雪の白、空の赤、川の青。
鮮やかで美しい作品です。

歌川広重「名所江戸百景 玉川堤の花」
ここの桜は安政3年2月13日に植樹されましたが4月4日には撤去されてしまいました。
一瞬の短い名所でしたが、その話題を逃さず作品に残すところはさすがです。
玉川上水ほとりの桜並木。
右手に見えるのは内藤新宿の遊女屋。
ほとりの緑が眩しいぐらい明るいです。
桜の淡いピンクと合わせても春らしさいっぱいの作品。

歌川広重「名所江戸百景 愛宕下藪小路」
水の青さが雪の白に映えます。
竹に積もる雪と飛ぶ雀はよくある画題ですが、美しい。

《3.広重ブルーの世界 ③花鳥画・美人画・団扇絵》
これまでは風景画が多かったのですが、ここでは花鳥画・美人画・団扇絵の展示です。
特に団扇絵は庶民風俗や説話を小さな画面に丁寧に描いてあり、当時の様子が伺い知れます。

歌川広重「枇杷に小禽」
藍色の背景に白抜きで枇杷と禽。
目にも鮮やか、そして装飾的でおしゃれです。

歌川広重「諸国六玉川 武蔵調布」
柳の木の下で布を洗う2人の女性。
遠くには白く表現された富士山も見えます。
天気のいい日、水の青も美しく、川の水で洗うのも気持ちよさそうです。

《4.浮世絵 色彩革命の歴史》
ここでは浮世絵の初期からベロ藍が多用される天保期以前の作品が展示されています。

二代目鳥居清長「新板江戸八景 五 品川の帰帆」
墨一色で墨摺絵に筆で色をつけた丹絵。
丹とは赤い絵の具のことだそうで、1枚ずつ手作業で色づけをしたそう。
大変です。。。

石川豊信「新田三幅対」
初期の多色摺"紅摺絵"
紅を中心に黄色や草色が付いています。
少しずつ色彩が増え、明るくなってきました。

北尾重政「浮絵安芸国佐伯郡厳島図」
多くの色を摺ることが可能となった"錦絵"誕生以降の作品です。
赤や黄、緑や青などが使われ華やかに。
空が灰色なのですが、青色染料として使われていた露草の退色したものだそう。
ここも青かったらとても爽やかで明るい作品だったのでしょう。

《5.浮世絵界の青の時代》
青色の絵具が藍からベロ藍へ変わるのは天保元年から同2年ごろ。
北斎が「富嶽三十六景」を広重が「東都名所」を生み出します。
ここではその他の絵師の作品です。

歌川国芳「山海名産尽 伊勢鰒」
日本各地の名産品を題材にしたシリーズもの。
国芳のイメージとは離れていますが。。
海に潜る海女さんたちを描いています。
波のうねうねや波の下にある体の表現などが面白い。
もちろん海にはベロ藍がたっぷり使われています。

《6.幕末の青 広重同時代から広重没後》
ここでは広重以外の同時期の絵師、そして没後の作品が展示されています。

歌川国貞(三代歌川豊国)「江戸名所百人美女 薬けんぼり」
女性の着ている着物が何とも個性的!!
なんとタコの模様。
青い着物に濃い青で模様が描かれています。
おもしろい。。

二代目歌川広重「東都名所 吉原仲之町」
桜の季節の月夜。
ベロ藍主体の夜はそれだけでも美しいのに花魁の赤い着物がさらに華やかにしています。

《7.明治の赤 -新時代の色》
幕末から明治時代にかけて舶載の赤色絵具(アニリン染料)が登場します。
浮世絵にも使われ、江戸とは違う色彩の作品が生まれました。

豊原国周「開化三十六会席 王子 扇屋」
東京の料理屋36件を扱ったシリーズもの。
扇屋とは王子にあった有名料亭。
真っ赤な紅葉を眺める2人の女性が描かれています。
団扇の模様も赤く、新しい色をふんだんに使っています。

以上です。
色彩鮮やかで美しい世界です。
後期も行こうと思います。



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