気遣い

毎年一緒に旅行したり、マラソンを一緒に走ったりする友人がいる。かつての職場の同僚で、お互いそこを辞めてからも頻繁ではないが、ずっと交流が続いている。

ただ、彼はどんどん金持ちになり、ぼくはどんどんと貧困ラインに近づいている。だから、旅行するときはお互いに気遣いしないとならない。彼は少し我慢し、ぼくは少し無理をする。ただ、それがお互いに面白くもあり、決して過剰な負担になっていない。青春の一時期を共有したってことが「格差」を簡単に乗り越えさせてくれている感じだ。互いにその違いを面白がることができる。

彼が現役引退したら一緒に世界を旅しようということになっているかけど、ぼくはそれまでにある程度の貯金をしなくちゃならない。彼は語学を勉強すると言っている。どちらも未来への「投資」であって、未来に気持ちが向かっているということがお互いに今の支えになっていて、ちっぽけなことかもしれないけど、大切な約束になっている。

未来に向けての約束とか、未来に向かって今を頑張っていく気持ちって大事だと思う。不確実で未経験なものに対して、人はどうしてもおざなりの態度になりがちだ。精神疾患があって今がとても辛い人たちは、こうした未来への計画などほとんど考えられない。時間をかけて、クスリや福祉の助けを借りて、やっと今を生きている。そういった疾患がない自分たちは、幸運だと思う。そして、その幸運を無駄にしないようにしたいし、接することのある精神疾患に苦しむ人たちに対して、おこがましいかもしれないけど、モチベーションになってくれるとうれしい。