ベンチプレスで腕が限界に達したとき、歯をくいしばり思わず「力をください」とこころの中で叫んだ。筋トレは自分との戦いだ。たとえトレーナーが傍らにいても、最後は自分自身にどう勝つかだ。
筋トレするとその負荷で細胞は壊れていく。でも修復過程で壊れた以上の細胞を生成し筋肉を大きくする。不思議だけど、大人の筋肉は痛めつけて壊さないと成長がないのだ。ベンチプレスでも、誰にともなく、「力をください」とすがるような気持ちになったときに不思議な力が湧いて、それまで挙がらなかったウェートが挙げられるようになることがある。違いは、必要とされるものがたんぱく質なのかロマンなのかということなのか。
錦織とツォンガの全仏準々決勝の試合を見てて、人間ってたんぱく質と同様に気持ち=ロマンがないと成長できないというのを感じた。ツォンガにしても最近の不調から世界ランクを下げているけど、フランスの名誉にかけてもう一度結晶の舞台に進まないとこれでは終われないという気持ちがあった。第三セットから第四セットにかけて逆襲されてしまったものの、また第五セットでは意地を見せた。
錦織も素晴らしい気迫を見せた。テレビ東京のアナウンサーと解説者のスポーツバーレベルの話しで白けてしまったけど、これまでの日本人テニスプレーヤーと比較して文句のつけようがないハイレベルなテニスをしている。見てて胸が熱くなった。野球でいえば、彼は若くしてイチローの境地に近づいているような気がした。根拠のない熱血を嫌い、冷静に自分を見つめ、自分にしかできないものを見極め、足りないものは謙虚にコーチと一緒になって解決策を探している。大会ごとに彼の成長を感じないのはぼくだけだろうか。
人にはいろんな「力」が必要だ。成長するためにも、今の自分に満足してしまわないようにも・・・
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