スポンジとのコミュニケーション

ダンサーは球技の苦手な人が多い。ぼくに初めてダンスを教えてくれた人も「あたし、キャッチボールができないんです」って言っていたし、その後もダンスのイントラでボールを扱うって難しいっていう人が多かった。ボールは投げる人の意図や、ボールの形状や材質で独特な曲線を描いて飛んでくる。普通は何も考えないでどんどんうまくなるけど、人に依ってはその特性を読めないで飛んでくるボールやバウンドしてくるボールに自分の体や手を合わすことができない。

最近になって料理を一生懸命やるようになって思ったんだけど、キッチンでも薄いポリプロピレンの袋ややわらかいスポンジ、スティールのたわしなど、意外な反動やべたつきで思い通りに収まってくれないときが多い。こっちが対象の特性をよく理解していないと、思い通りに動かないってことだ。ゴミ箱に投げた袋がふわっと浮き上がって床に落ちたりするとき、球技ができないっていう人の顔が浮かぶ。

要は他者とのコミュニケーションが上手くとれるかどうかなんだろう。