異方性 Anisotropy

異方性 Anisotropy
物理的空間と異なる知覚空間がある。つまり、すべての方向が同じ価値を持っているわけではなく馴染みのある地点への方向は比較的正しく再現されるのに対し、よく覚えていない地点は左右にずれて再現されることが多かったりする。それに毎日校庭でサッカーをしていた子どもに校舎を描かせると比較的大きく描くのに対し、写真部で暗室にこもっていた子では小さく描いたりするといわれるが、実際に、客観的な空間が経験的なものによって大きく歪められて記憶されていることが多い。そうした知覚空間のことを認知地図というが、これは人間が自分の経験によって「外界」をかなり主観的に認識していることを示している。

たぶん、これは単に空間の話しだけではなく人間関係などにも当てはまり、人それぞれが周囲の人と自分との関係に独特な認知地図を持って生きていると言っていいような気がする。子どもが描いた絵などを見ると、そこに登場する人の特徴、位置関係などが子どもの内面をよく反映していたりするけど、それはまさに子どもの絵は、自分が「外界」をどのように理解しているかという認知地図であるからであろう。