MELANCOLICO∠メランコリコ!

ゆめと心理と占いのはなし
Por donde, amor, he de ir?
 Rosalia de Castro

ダルビッシュ

2012-01-21 13:01:27 | 日記
日本語は音節が多いので、長い名称はだいたい2音節に省略される。ダルビッシュもダルで親しまれた。でも、英語だとDarvishは全部で2音節になるので、アメリカ人はそのまま使うか、Yuになるか…。

ついにレンジャーズ移籍が決まり、今日のスポーツ紙web版はダルビッシュ記事で埋まった。テキサスのFortWorth Telegramの一面もDarvish記事を載せた。レンジャース社長のノーラン・ライアンは「4年かけて12人のスカウトがいい仕事をしてくれた」と、ダルビッシュ獲得の経緯に触れた。1億1千万ドルを投資するには、球団もそれなりの時間と労力をかけた仕事をしているわけだ。

記事の中にあった動画では、昨年の「最悪の契約」として6人が紹介されて、移籍しても活躍できなかった選手を「1時間で1億円?」とこき下ろしていたけど、欧米のメディアは高給を食むプロ選手に対して期待も大きいが、結果を出せなかった場合は辛辣だ。日本のメディアは、少なくとも日本人選手にはこうした表現は使わない。なれ合いがある。

Fortworth Telegram紙を読んだ限りでは、これまでメジャーで成功した選手は野茂だけとなっている。その野茂も11年在籍で34億円(現レート換算)しかもらってないわけで、ダルビッシュに対するアメリカでの期待は自ずと膨らむ。5年前、当時総額60億円でヤンキースに移籍した井川慶はメジャー2勝で終わった。彼に対しては昨年New York Timesが「市街から遠い2A、3Aに降格されても、入団当初に球団から用意された中心街の高級マンションから移らなかった男」として、ヤンキースの放漫さと、彼の頑なで孤独な内面を特集していた。松坂も防御率が悪く、昨年はこれまでの投げすぎによる故障で戦列を離れ、「5年総額1億ドル」という期待が裏切られたファンの恨み節が地元紙に時折載っている。

両選手とも「強い自分の誇示」が肥大化して、「他者の視線」に対する防御が目立っていた。日本での活躍と、積まれたお金で万能感が膨れ上がり過ぎて、適応への謙虚な姿勢が欠けていたようにだった。たぶん、ダルビッシュはそのあたりを十分に研究しているはずだ。入団会見を日本語で通したことをはじめ、「直球はみんなが思うほど速くないが、変化球はいい球が投げられる」「プレッシャーに関しては頭が悪いのか、あまり感じずにできると思います」といった、肩の力の抜けた受け答えに安心感が生まれる。

去年、入札金10数億を呈示したアスレティックスと入団交渉が決裂した岩隈久志は、今年、マリナーズで投げる。アスレティックスは4年12億円ほどのオファーをし、岩隈は7年100億円を要求したとされる。今年のマリナーズはFAの岩隈に1年1億5千万円+オプション2億円のオファーだ。何とも後味の悪い移籍となった。今年活躍して、ぜひオフの契約で「損失」を取り返してもらいたい。彼はダルビッシュに引けを取らない実力を持っている。あとはいろんな意味での適応が試されている。

なにはともあれ、羽曳野の野球少年・ダルビッシュがメジャーの舞台でどこまでやれるのか、ファンにどう受け入れられるのか楽しみである。プライベートはベールに包まれているが、25年間で見てきたこと、体験したことを肥やしにして、「自分の投球」ばかりにこだわらず、ぜひ「勝てる投球」を意識して頑張ってほしい。彼がレンジャーズ入団に前向きになったのが「1月初旬にテキサスを訪問した際、球団の人たちが家族のように迎えてくれたこと」だったという。「家族」の中でくつろぎながら、自分の役割を全うし、メジャーでの日本人2人めの成功者になることを心から祈りたい。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿