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ゆめと心理と占いのはなし
Por donde, amor, he de ir?
 Rosalia de Castro

浅間山に登る男たち

2011-10-22 17:07:08 | 日記
先日、軽井沢に行って知り合いを通じて何人かの人たちとお話しすることができた。2,3人を除いて、みんなよそからこの地にやってきてペンションやレストランをを経営していた。

食べて飲んで、話しは生活の苦しさ楽しさに及んだ。地元民の人も役所勤めでもしてない限り、一年を通して収入がある人はほとんどおらず、農家をしている人たちも10月から4月までは何も畑で作れないから、出稼ぎに行くと言っていた。ペンション経営の人もフル稼働するのは8月だけで、それなりに客が来るのも年に3カ月だけだという。

だから極端に20代の地元民は少なく、みんな都会に出ていってしまうらしい。軽井沢に土地を持ってるとか生活していると聞くとセレブっぽいものを連想するけど、実際はかなり違うみたいだ。でも、新しく不動産を求め、生活を始める人たちは確実にいて、それぞれに「夢」があって、仕事のめどをつけてやってくる人たちで、冬の寒さ、夜の暗さ、カメムシの襲来にもめげず住みつく人たちだ。

そんな人たちと話していたら、急に浅間山の話しになった。ルートによっては山頂まで登れるという人がいて、皆が「え?どんなふうに行くの?」って聞いた。もちろん冬場は行けないし、基本的に火口を臨むような頂上は立ち入り禁止になっている。ガスが出ているので危険ななのだ。
「風向きによってはあっちから行けるし、別に禁止の札も立っていないし、○○研究所の人も行ってるみたいだよ」と言う。

そうしたら、新住民の男たちが「じゃ、明日行ってみよ」とみんなが口をそろえた。みんな何かやることがあるようで、それを終えてから登るのだが、面白かったのは、誰も「一緒に行こう」とは誘い合わなかった。仕事が終わる時間がまちまちなのも理由だろうけど、基本的にみんな一人で行きたいみたいだった。

車でかなり高いところまでいけるようで、その駐車場から頂上までは1時間とかからない。新住民の男たちは、普段から、この雪が積もる前の時期はよく一人で行くらしい。軽井沢とは反対側に広がる嬬恋のキャベツ畑は、上から見ると最盛期は白っぽく見えるらしく、夏が過ぎるとだんだんその白い部分が茶色になるという。自分が住んでる家もだいたいのところは見えるらしく、グーグルの地図じゃなく、肉眼で上から町の変化をみていると、自分を見つめなおす力のようなものが降臨してくるのかもしれない。

浅間山のふもとで生活する男たちのこころの内を垣間見たような気がした。ぼくもいつか登ってみたいと思った。

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