10月14日 おはよう日本
タイの日系企業。
10月 麻薬犬による抜き打ち検査が行われた。
倉庫の中に違法薬物が隠されていないか
すみずみまで探っていく。
抜き打ちの尿検査は
当局と協力し
従業員への薬物の浸透を食い止めようとしている。
タイでは今こうした検査が日常的に行われている。
薬物中毒者などを更生するための国立のリハビリ施設では
毎月約4,000人がリハビリを受け
定員を上回ることもあるという。
去年タイで押収された薬物の量は前の年より3割増えた。
以前 薬物に手を染めたことがある日系企業の従業員は
初めて薬物の使用を勧められたのは工場で勤務していた時だという。
(元薬物使用者)
「工場で同僚から誘われて覚せい剤を使い始めました。
最初は少しでしたが
使用量はどんどん増えていきました。
他の同僚たちも使っていました。」
企業に浸透する薬物使用者への対応など危機管理が専門のコンサルタントは
日系企業が薬物が関係する事件に巻き込まれるケースが最近増えているという。
(企業の危機管理 コンサルタント)
「日系工場で麻薬の常習犯が使用した拳銃です。
もめ事があって従業員同士で就業時間内に工場の中で発砲した。
1人は肩に弾があたって重傷を負った。
経営にも影響を与え
非常に大きなリスクになっている。
大きな工場だと中でそういう薬物を売っている方がいて
10%以上の従業員が汚染されている会社もあると聞いている。
そうならないようなケアが必要だと思います。」
どうすれば麻薬の汚染から従業員を守れるのか。
いま注目されているのが新たな検査方法による抜き打ち検査である。
バンコク郊外にある自動車部品製造工場。
従業員の新規採用に合わせ
最新の薬物検査を取り入れた。
この検査は従業員の汗などを採取するだけで済む。
その場で結果が出るため
従来の尿検査で課題だった尿のすり替えなどの不正を防ぐことができる。
結果が出るまではわずか10秒。
数週間までさかのぼって20種類以上の薬物を使用していたか検査できる。
(日本からだ開発 櫻井冨美男さん)
「いきなり朝から来てチェックをします。
事前に予防線を張らないでできるというメリットがあります。」
工場の社長が見守るなか検査を進めると
薬物の成分を検出したことを示す赤い警告が表示された。
覚せい剤である。
(自動車部員製造会社社長)
「定期的に検査をやっているんですけど
新しく入ってきたスタッフかもしれません。」
検査した71人のうち働き始めた6人から覚せい剤などの成分が検出された。
タイでは会社の検査で薬物の使用が発覚しても
“1回目であれば更生する機会を与えるため解雇できない”という法律がある。
授業員は更生すれば職場復帰も可能である。
従業員はその後の検査で問題がなければ
原則雇い続けざるを得ないという。
(自動車部品製造会社社長)
「多少お金とか時間をかけたとしても
定期的にこの検査を
特に新人が入ったら必ずやるようにしていきたい。
そもそもそういうスタッフを社内に入れない雇わないという方向で
入社時の面接として検査を行って
パスしたスタッフだけ入れるようにしていきたい。」
日本の製造業に欠かせないタイで深刻化する薬物汚染。
その対策は待ったなしである。