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イスラム教と男女平等 揺れるチュニジア

2018-06-23 07:00:00 | 報道/ニュース

5月30日 国際報道2018


2011年 中東各地に広がった「アラブの春」と呼ばれる民主化運動。
きっかけとなったのが北アフリカのチュニジアである。
混乱はあったものの
民主化は進み
“唯一の成功例”と言われてきた。
そうしたなかイスラム社会ではタブーとも言われてきた
遺産相続の男女間の不平等を是正しようという動きが強まり
波紋が広がっている。
チュニジアは1950年代から一夫多妻制が禁止され
女性の参政権も認められるなど
アラブ諸国の中で女性の地位向上が進んでいる国である。
「アラブの春」のあと2014年に定められた新しい憲法で男女平等が明文化された。
選挙では各政党は候補者を男女同数にすることが義務付けられている。
去年には女性がイスラム教徒ではない外国人と結婚することも認められ
家庭内でも夫の妻に対する暴力DVについて
より厳しい罰則が投入された。
そしていま焦点となっているのが遺産相続である。
イスラム教の聖典コーラン第3章第12節にこんな記述がある。
遺産は男児には女児の2人分と同額
つまり男女の兄妹の間では女性は男性の2分の1の額を受け取るとはっきりと書かれている。
このため議論の余地すらないと言われてきた。
しかしその遺産相続について男女平等にすべきだと議論が持ち上がっている。

人口のほとんどがイスラム教徒のチュニジア。
しかしアラブ諸国の中で
世俗的で
スカーフを被らない女性も多く見られる。
今年3月 首都チュニスで女性たちを中心にデモが行われた。
遺産相続は男女平等であるべきだと訴えた。
4月には公開討論会が開かれ
女性が経済的に自立するうえでも遺産相続の権利を平等にする改革が重要だと強調した。
(主催者)
「遺産相続の不平等は女性の貧困の一因です。
 相続の平等化は男女格差の解決に役立ちます。」
改革を主導しているのが世俗派のカイドセブシ大統領(91)である。
5月6日は女性の地位向上に尽力したブルギバ初代大統領の命日。
それに合わせて開かれた式典で
大統領は改革の実現に改めて意欲を示した。
(チュニジア カイドセブシ大統領)
「まもなく女性は男性と同じように遺産を相続をする。」
一方で
法律を改正しコーランとは異なる遺産相続の配分に変えることには
根強い反対意見がある。
イスラム法の相続の専門家であるザイトゥーナ大学のビンファラハ教授は
遺産が男性により多く分配されることには何の問題もないと言う。
コーランでは
男性に妻の扶養義務付けているほか
結婚の際に花嫁に持参金を渡す必要があるなど
男性だけに課した義務があり
全体では公平だと指摘する。
(ザイトゥーナ大学 ビンファラハ教授)
「記述は絶対で変えようがない。
 イスラムの相続制度は富の分配の神聖な指針です。
 遺産相続の規定は全体的に見るべきです。」
しかし遺産相続の平等化に期待を寄せる女性は少なくない。
ラシダ・ベンキラニさん(64)。
4年前に母親がなくなり最近兄妹の間で遺産分割の話が持ち上がったと言う。
小さな旅行会社を営むラシダさん。
32歳で離婚したあと女手ひとつで息子と娘の2人の子どもを育て上げた。
男性に頼らずにやって来たという自負がある。
遺産相続でなぜ男性と差をつけられるのか納得がいかない。
(ラシダさん)
「女性も男性と同じように働いているのに平等でないなんてことがありますか。」
ラシダさんは自分の財産は息子と娘に平等に分け与えたいと考えている。
しかし娘のナイラさんは全く違う意見を持っていた。
(ラシダさん)
「相続について分かっていないわね。」
(ナイラさん)
「なぜそんなことを?」
(ラシダさん)
「女性が自由になって男性より大きな責任を負うようになったのよ。」
(ナイラさん)
「イスラム教では遺産相続を平等にはできない。
 男性は多く受け取るべきよ。」
(ラシダさん)
「娘の考えに驚きました。
 私は次の世代のために遺産相続の平等を求めたいです。」
親子でも賛否が分かれる遺産相続をめぐる議論。
他のイスラム諸国でも関心が高く
エジプトでは討論番組で取り上げられた。
「コーランの解釈はさまざまです。
 遺産相続については解釈を変えられませんか?」
「記述は絶対で異論の余地はありません。」
イスラムの教えと男女平等の推進にどう折り合いをつけるのか。
イスラム諸国の社会それぞれが向き合っている。




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