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結愛ちゃんはえらいよ

2018-06-24 07:00:00 | 編集手帳

6月7日 編集手帳

 

 フランスの詩人ランボーの『朝の思い』はこう始まる。
<夏の朝、
 四時、
 愛の睡気がなおも漂う木立の下。
 東天は吐き出だしている 
 楽しい夕べのかのかおり>
 中原中也訳

人が目を覚ましたとき、
おぼろげに思いだすのは前の夜の幸せな記憶なのかもしれない。
警視庁の調べでは、
その子の起床時間も朝の「4時」だったらしい。
東京都目黒区のアパートで今年3月、
虐待死した船戸結愛(ゆあ)ちゃん(当時5歳)である。

父親の雄大被告(33)の指示で毎朝、
自分で目覚まし時計をかけて寝床から起きだし、
一人ひらがなの練習をしていたという。

<きょうよりかもっともっと 
 あしたはできるようにするから 
 もうおねがい 
 ゆるして 
 ゆるしてください 
 おねがいします 
 もうおなじことはしません 
 ゆるして>。
結愛ちゃんが大学ノートにしるした“朝の思い”である。
こんな切ない詩は見たことがない。
食事を十分に与えられず、
ときに顔を殴られ、
冷水をかけられ、
やがて衰弱して短い命を閉じた。

窓から朝の光がさし始めた頃、
けなげに一生懸命書いていたに違いない。
とってもえらい子だよ、
結愛ちゃん。



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