2021年4月19日 NHKBS1「キャッチ!世界のトップニュース」
ツイッターの創業者の1人
ジャック氏がサービスを起ち上げて一番初めに投稿した“史上初のツイート”が
3月 約3億1,000万円余で落札された。
インターネットで検索すればこのツイッターは誰でも見ることができるが
そのツイッターを3億円で買うということはどういうことなのか。
そのカギを握るのがNFT(Non-Fungible Token)
日本語では「非代替性トークン」と訳されている。
他のものでは替えがきかない ただ1つ
もしくは
数が限られたもの
という意味である。
ーアメリカABCが伝えたリポートよりー
コレクションを見れば思い出をたどれる。
トレーディングカードや人形 スニーカーを集めていた人もいるでしょう。
今はそれがデジタルで行われているのです。
「成長著しい市場です。」
デジタル上にある商品を売り買いする新しい仕組み
それが“NFT”です。
(アート競売サイトの責任者)
「例えばインターネット上にある画像や映像などは誰でも見ることができるが
NFTは
それらを所有するのに必要な唯一のデジタル証明が付与されたものである。」
アート 音楽 スポーツ
市場は急拡大しています。
アーテイストの作品は75億円で落札されました。
無名なアーティストの作品も高額で取引されています。
2月には動画が6,000万円で落札。
無料で見られるのに
なぜ大金を?
(NFT取り扱い企業の広報)
「モナリザの写真を撮ることができても自分のものにはできませんよね?」
中学校の教師だったダニエルさんもこの新しいNFT市場にのめり込んだひとりです。
(元中学教師 ダニエルさん)
「始めて2か月で口座の残高が数千万円増えた。」
市場はさらに拡大すると言われています。
(デジタルアートの専門家)
「NFTはあらゆるクリエイティブ産業やコレクション市場に革命を起こすでしょう。」
音楽界でキングス・オブ・レオンがNFTでアルバムを発表。
The WeekendもNFTを活用すると予告している。
ツイッターの創業者の初ツイートは3億円以上で落札。
NBAの提携サイトはトレーディングカードを発売。
レブロン・ジェームズ選手のダンクシュートは2千万円以上で売れた。
(デジタルアートの専門家)
「現実とバーチャルの境界がこれまでになく曖昧になって
まさに今その境界が消えようとしている。」
(ジャーナリスト)
「多くの人がネットにどういうものをアップして
それにどんな価値・値段をつけるか考えるようになるでしょう。
これはデジタル化された経済が拡大していくことを示唆している。」
このNFTとはデジタルの世界で本物とコピーされた偽物を明確に分けられるようにする技術のことである。
たとえば
デジタルの世界にしか存在しないアート作品や
スポーツのスター選手の動画のトレーディングカード
前出の世界最初のツイッターの投稿など。
たとえ他にコピーが作られたとしても
本物だと間違いなく証明できるようになったということである。
それによって
それを所有したり
他人に売ったりすることができるようになった。
このNFTは世界中で盛り上がりを見せており
世界最大のNFT売買サイト(OpenSea)には1,400万店以上が登録されている。
NFT業界サイト(DappRadar)によると
今年の第1四半期の取引額は1,600億円以上にのぼるという報告もある。
中には何十億円もの価値が就くこともあるNFT。
どういう仕組みなのか。
(慶応義塾大学 酒井教授)
「コピーがいくらでもできるデジタルの世界に希少性の概念を持ち込んだのがNFT。
コピーができないというのはデジタルの世界では画期的。
デジタルの世界はほとんどただで無限に複製が作れる。
NFTはコピーと本物を明確に区別できる。」
そのカギを握るのがビットコインなどの暗号資産で使われるブロックチェーンの技術である。
記録の改ざんがほぼ不可能であるブロックチェーンの特徴を利用し
デジタルデータにも本物であることを示す証明書を貼り付けることができるようになったのである。
この仕組みを移用することで
デジタルの世界でもアート作品や音楽などを数を限定して発売することが可能になったと
坂井教授は解説する。
(慶応義塾大学 坂井教授)
「例えば
この曲は100人しか聴かれていませんと
100個限定のNFTで売る
希少性のある音楽を歌手が発行できるようになる。
NFT=版画。
版画作家は何枚も刷ることができる。
ところが多く作ると値崩れしてしまう。
だから版画作家はあまり多くの版画を刷らない。
一定枚数刷ったところで原版に傷を入れるとか割るとかして刷れなくしてしまう。
買い手に対して希少性が担保されることを信頼してもらう。
同じことがNFTによってデジタル空間でもできるようになった。」
(慶応義塾大学 坂井教授)
「コンテンツ産業が強くなることが期待できる。
スポーツ業界とNFTは相性がいい。
ファンが持ちたいと思うものをNFTで発行する。
新たな収益源が得られる。
それが非常に大きい。」
「日本はNFTを扱う会社は成長している。
1つはブロックチェーンゲーム。
ゲームの中で得たアイテムを外の世界に持ち出すことができる。
ゲームの中から取り出したアイテムを他の人に売ることができる。
ゲームのアイテムに資産性がつく。
そういうブロックチェーンゲームが有力な企業というのが日本にはいくつかある。
かつて日本はブロックチェーンや暗号資産で先進国になりかけた。
ところが金融庁が厳しい規制を敷いてしまい
今では先進国ではない。
政府がNFTに規制をかけると
せっかく育っているNFT産業がつぶれてしまう。
法律の網をかけないで自由に産業を発達させた方が国益になる。」