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伝統か差別か オランダの祭り

2020-01-11 07:00:00 | 報道/ニュース

12月11日 NHKBS1[キャッチ!世界のトップニュース」


オランダでは毎年クリスマスより早く各地で盛大な祭りが行われる。
しかしこの祭りの伝統が社会に大きな波紋を広げている。

11月 オランダ デンボス。
赤い服に長いひげ。
シンタクラース」と呼ばれ
サンタクロースの原型と言われている。
オランダ各地では11月半ばから12月にかけて盛大な祭りが行われる。
そしてシンタクラースのお手伝いのズワルト・ピート(黒いピート)も人気者。
子どもたちにクッキーを配って回る。
(市民)
「オランダ人には大切な伝統の祭りです。」
この祭りをめぐってオランダでは論争が続き
「ズワルト・ピートの論争 ヒートアップ」とニュースでも盛んに取り上げられている。
楽しいはずの祭りがなぜ論争の的となっているのか。
その謎を解くカギがベルギー王立図書館にあるという。
ベルギー王立図書館の書庫。
1897年のクリスマスに発行された新聞の挿絵。
「オランダのクリスマス」と題されている。
シンタクラースの横には黒人の少年が描かれている。
さらに1943年の版画では黒人の少年が重い荷物を背負わされている。
ズワルト・ピートのルーツはシンタクラースに仕える黒人奴隷だったと考えられている。
奴隷制度を思い起こさせるとして
激しい論争となっているのである。
ズワルト・ピートに反対する全国的な運動がある。
率いるのはガーナ出身のジェリーさん。
「これら携帯電話とPCが私の武器です。」
ジェリーさんは今から28年前
10歳の時に父親とともにオランダに渡ってきた。
伝統の名のもとに
“黒人は白人に仕えるもの”という構図が保たれ続けているのはおかしいと
9年前に反対運動を始めた。
ズワルト・ピートを廃止しようという支援者は年々増え
今年は国内12の都市でデモを行った。
(反対運動を率いるジェリーさん)
「1850年ごろ
 奴隷の労働力を得てから今の形に変わってきました。
 黒人は2級市民でいるべきだということなのです。」
この日ジェリーさんは仲間とオランダ中部の町でデモを行うことにした。
これまで警察による排除で何度も手荒くされケガも負ったことがあるジェリーさん。
仲間に細心の注意を払う。
「事前に決めたパートナーと離れるな。
 弁護士の電話番号を腕に書いておくこと。」
到着するとジェリーさんたちは祭りに集まった人たちに呼びかけた。
しかし運動を快く思わない人たちも多くいる。
(市民)
「伝統なのに
 反対する人を見ると胸が痛みます。
 異なる人たちがやって来たから緊張が高まっているんです。」
(反対運動を率いるジェリーさん)
「この国が目覚めるまで
 黒人が対等になるまで戦い続けます。」
こうした対立を避けるため
今年行われたアペルドールンの祭りでは新たな試みが取り入れられた。
真っ黒ではなく顔の一部だけやや黒いズワルト・ピート。
“煙突のすすで横れた”ということにしたのである。
(市長)
「子どもたちは肌の色など気にしません。
 伝統はこれまでも変わってきました。
 小さな変化ですがとても重要なのです。」
しかし沿道の脇に現れたのは
真っ黒な顔の昔ながらのズワルト・ピート。
移民に反対する極右団体のメンバーである。
伝統どおりに祭りを行なうことを訴え続けていくと主張している。
(極右団体「ぺギータ」代表)
「何十年と続く伝統だ。
 これを見て育った。
 ルールを決めるのは我々だ。
 移民ではない。」
専門家は
単なる文化論争にとどまらず社会の分断を反映していると指摘する。
(ティルフルフ大学 アフテルベルフ教授)
「文化的に寛容であるか
 拒絶するか。
 教育レベルの違いに大きく関係し
 その違いはますます広がっています。
 この分断線はオランダだけでなく
 フランスやイタリア スイス ドイツでも見られるものです。
 これは新たな政治的分裂なのです。」




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