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インド“硫酸攻撃” 声を上げ始めた女性たち

2017-05-11 07:15:00 | 報道/ニュース

4月19日 国際報道2017


女性に対する性犯罪や暴力などが後を絶たないインド。
中でも問題となっているのが
「アシッド・アタック」と呼ばれる
硫酸を使って女性の顔を傷つける犯罪である。
この卑劣な犯罪に立ち向かおうと
これまで社会とのかかわりを避けていた被害者たちが声を上げ始めている。

インド北部の都市アグラ。
3年前 ここに小さなカフェがオープンした。
従業員は7人。
全員アシッド・アタックの被害に遭った女性たちである。
被害者を支援するNGOが社会復帰の場を提供しようとつくった。
リトゥ・サイニさん(21)は高校生だった5年前に被害にあった。
夕方 見知らぬ2人組の男たちに襲われたと言う。
(リトゥ・サイニさん)
「ここでいきなり襲われました。
 男たちから突然硫酸をかけられたのです。
 何が起きたのが分からす
 顔を手で触ると皮膚が剥がれ落ちました。」
犯人はリトゥさんのいとこだった。
リトゥさんに結婚を迫ったが断られ
その腹いせに男らを雇って襲わせたのである。
子どものころからバレーボールに打ち込み
将来はインドの代表選手になることを夢見たリトゥさん。
事件によって人生は一変した。
顔の9割にやけどを負い
左目は失明。
バレーボールを続けることは出来なくなった。
他人に顔を見られるのが嫌で
一日のほとんどを自宅にこもって過ごすようになったのである。
(リトゥ・サイニさん)
「退院して初めて鏡を見た時
 死んだ方がましだと思いました。
 生きている意味は無いと・・・」
(リトゥさんの父親)
「娘のことを考えると涙が出ます。
 女の子だから結婚させてあげたかったです。」
女性に生涯消えない傷を負わせるアシッド・アタック。
背後にはインドに根強く残る男尊女卑の意識がある。
犯行の多くは恋愛や結婚などをめぐる男女間のトラブルで
プライドを傷つけられた男性が復讐のために行う。
発生件数は年間約250件にも上る。
犯行に用いられるのはトイレの掃除などに使われる硫酸。
政府は販売の制限に乗り出しているが
一般的な商店で簡単に入手できるのが実態である。
リトゥさんのように被害者が社会とのかかわりを絶ってしまい声を上げないことも
対策の遅れにつながっていると言われている。
そんな中でリトゥさんが外に踏み出したきっかけは
被害者を支援するNGOの紹介で出会ったある女性の存在だった。
カフェで働いているニートゥ・マホールさん(25)。
3歳のときに酒に酔った父親から硫酸をかけられ
以来視力はほとんどない。
それでもいつも笑顔を絶やさず前向きに生きる姿に心を打たれたと言う。
(リトゥ・サイニさん)
「彼女は子どものころからずっと暗闇の中で生きてきました。
 それでも頑張る姿を見て
 私ももっと頑張れるはずだと思ったのです。」
自らもカフェで働き始めたリトゥさん。
始めは客と言葉を交わすことすら抵抗があったと言う。
それでも自らの体験を話すと多くの人が耳を傾けてくれることに次第に手ごたえを感じていった。
(リトゥ・サイニさん)
「おそわれたとき周りに大勢の人がいたのに
 誰も助けてくれませんでした。」
自分のような被害者が声を上げることで
人々の意識も変わるかもしれない。
リトゥさんはそう考えるようになった。
(リトゥ・サイニさん)
「多くの被害者は表に出たがりません。
 だからこそ私はこうした活動を続けていきたいと考えています。」
いまリトゥさんはカフェの外にも積極的に出かけている。
この日向かったのは首都ニューデリーの大学。
自分と同じ若い世代へ向けて講演を行った。
(リトゥ・サイニさん)
「私たちにはこの凶悪な犯罪を無くす責任があります。
 一歩踏み出しましょう。
 社会の意識や人々の考え方を変えなくてはいけません。」
(参加者)
「つらい過去を語ってくれた彼女に心を動かされました。
 問題は私たちの意識にあると気づきました。」
卑劣な犯罪に目をつぶってしまう社会を変えたい。
リトゥさんの新たな人生が動き出している。
(リトゥ・サイニさん)
「モノクロだった私の世界は彩りに満ち
 新しい自分に生まれ変わることができました。」





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