11月15日 国際報道2017
ソマリアは“比類なき人類の悲劇”と言われ
10月も350人以上が犠牲となる大規模な爆弾テロが発生。
今この瞬間も多くの命が危険にさらされている。
このソマリアの問題解決に向けて
これまでにない形で取り組んでいる日本人の青年がいる。
「元気かい?」
「元気だよ 君は?」
「元気さ。」
「よかった。」
永井陽右さん(26)は過激化するおそれがあるソマリア人の若者を支援するNPO法人の代表である。
電話の相手はギャングだったソマリアの青年。
もとはテロから逃れ隣国ケニアに渡った難民だった。
ケニアには30万人を超えるソマリア難民が暮らしている。
しかし待っていたのはケニア人からの差別。
苦しい生活の中で多くの若者が窃盗や暴力などの犯罪に手を染めるギャングとなり
イスラム過激派組織に勧誘されているという。
(永井陽右さん)
「武装勢力がギャングを活用しているという情報は得ていたので
ギャングにアプローチをするのは価値があるのではないかと考えた。
もしかして同じ年の僕らにできること
僕らだからできることがあるのではないか。」
きっかけは大学1年生の夏休み
旅先のケニアでの出来事だった。
(永井陽右さん)
「『ソマリア人?だめだめ』『あいつらはテロをやる』『全員難民で全員犯罪者だ』
みんな口をそろえて言う。
それで興味を持ったし本当かなと思い調べた。」
そして半年後
永井さんは友人の紹介でケニアに暮らすソマリア難民の若者と知り合い
共に支援活動を始めることにした。
“テロリストではない未来を目指そう”
永井さんたちはギャングたちの悩みを聞いたり職業訓練を行って
若者の過激化を防ぐ活動を行っている。
しかし当初 多くの大人から反対されたと言う。
去年出版した著書「僕らはソマリアギャングと夢を語る」には
「永井君ねえ
いまソマリアに行ったら必ず死ぬよ。」
「永井君がソマリアに行っても邪魔なだけだし
何もできないわよ?」
(永井陽右さん)
「僕なんか『この野郎てめえ・・』みたいになって
あんたができないから僕らがやるんだと
『だったら僕らがやりますけど』と。
一番ひどい一番難しいけど
誰もやれない
やる人がいない
『だったら僕がやらなきゃ』みないた青臭い使命感があった。
『何歳?』『19』『本当?俺20』『超近いじゃん!』とまず盛り上がって
『誰も助けてくれない』と言われた。
『俺は自分の身を守るためギャングになった』
『父親も母親もテロ・紛争で死んだ 俺は1人だ』
そういうことをすごく言ってくるので
まずそれをちゃんと受け止めてあげる。」
しだいに永井さんに心を開いていったがギャングたち。
今年の夏
ついに90人が所属するギャング団の解散を実現した。
20歳になったチチャリートさんもその1人である。
今は永井さんが運営するNPOの現地メンバーになり
若者の更生に取り組んでいる。
(チチャリートさん)
「夢はパイロットかコンピューターエンジニアになること。
永井さんのサポートに感謝しています。」
(永井陽右さん)
「うれしいですよ。
ギャングが云々というより友だちとして
僕も彼らに顔向けできる人生というか取り組みをしていかなければと思う。
『負けないぞ!』みたいな感じになります。」
永井さんが大切にしているのは「若者=YOUTH(ユース)」の力である。。
いま日本各地で講演を行い国際協力を目指す大学生たちに語り掛けている。
(永井陽右さん)
「誰かにしかできない国際協力も歴然としてあります。
その“誰か”に誰がなるか
“誰か”になることを期待されているのがほかでもないユース(若者)だと思っています。」
(学生)
「大学1年生からソマリアに行くという行動力がすごい。」
「私たちもできることってもっとあるんだなと自覚しました。」
(永井陽右さん)
「同年代だから対話の場が設けられて
本当に対等な仲間として議論できる。
まさに学生だからできる。」
「重要なのは人を殺さない
犯罪に手を染めない
その上で
若者として何か問題解決に対して日々努力する。
“ユース・リーダー”“若者リーダー”と呼んでいるが
職もない
全部厳しい
人生に目標も持てない中でどう生きるか。
気高く若者として自分は何かやらなければという人材を作っていくのが目標です。