11月15日 おはよう日本
2020年の東京オリンピックに向けて工事が進む新国立競技場。
前回1964年の東京大会で旧国立競技場のトラックを手掛けた企業が
再びオリンピックの舞台を目指している。
前回の東京オリンピックの舞台となった旧国立競技場。
そのトラックを作ったのは競技場の舗装を手掛ける大阪の企業だった。
奥アンツーカ 奥眞澄顧問(85)。
当時トラック開発の責任者で
選手側からは
記録を伸ばすため固いトラックを作るよう求められたという。
(奥眞澄顧問)
「選手が力を出して走ろうと思ってもトラックが崩れるようでは記録が出ない。
とにかく固くしてくれ
非常なまでに固くしてくれと。」
当時の素材は焼いた土を砕いたアンツーカ。
水はけがよく競技場に多く使われていた。
それに特殊な材料を混ぜローラーで目いっぱい踏み固めた。
構想から2年半でトラックが完成。
競技場としては例を見ない固さに仕上がった。
本番では11個の世界記録が誕生。
トラックは国内外で最高の評価を得て
日本の技術力の高さを示した。
現在開発を担当する森石清さん。
約半世紀ぶりにオリンピックのトラックを手掛けようと意欲を燃やしている。
時代とともに舗装材の主流派ポリウレタンなどの合成素材に変わり
固さに加えて選手のけがを防ぐクッション性も求められている。
2020年の東京オリンピックに向けて開発した製品。
素材はプリウレタンで
空気の泡をまんべんなく取り込んだことがポイントである。
20キロの重りを落としても凹みはわずか数ミリという固さ。
その一方で泡が衝撃を吸収し
足への負担を大幅に減らす。
2020年をにらみこの製品を千葉にある大学の陸上トラックに使用。
記録が伸びたうえケガも減ったといい
選手からの評判も上々である。
(順天堂大 北川貴理選手)
「走っていてもちゃんと反発もありますし
すごく練習しやすい。」
森石さんはより記録が出やすいようトラックの固さをさらに改良していくことにしている。
(森石清技術部長)
「先輩から受け継いできた技術を肥やしにして
2020年 新たな技術を持ってチャレンジしていきたい。」
工事が進む新国立競技場。
森石さんたちは53年前に得た自信と誇りを胸に挑む。
新国立競技場は再来年の感性を目指している。
森石さんたちの企業はトラックの施工業者に立候補している。